予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
- 早川書房 (2008年11月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152089793
作品紹介・あらすじ
行動経済学研究の第一人者がわたしたちを動かすものの正体をおもしろく解説する全米ベストセラー行動経済学入門。
感想・レビュー・書評
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面白かった…!借り物だったけど手元に置きたくて買おうと思うくらい。
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図書館で予約して半年以上待った人気の本だけあって、めっちゃおもしろかった!2008年の本なのに、人気が衰えないなんてすごい!
人間は合理的に考え合理的に行動するという前提に基づいて経済学は成り立っているそうですが、実際の人間は合理的には程遠い。
特に興味深かったのは、
・相対性の真相:AとBの選択肢でAを選ばせたい時は、Aより少し劣ったA’を加えて3つの選択肢にする。
・無料は特別な値段:「すごく安い」と「無料」は全然違う。
・社会規範と市場規範:市場規範が持ち込まれると社会規範は消えてしまう。無償なら喜んでやることが、低い報酬ではやりたくなくなる。
・プレセボ効果:心の力はすごいなぁ
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心理学の参考書としても使える
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人は不合理な生きもの、合理的に行動できるものじゃない。それも規則正しく間違えてみせるし、何度でも間違うんだ。
行動経済学の考え方を分かりやすく教えてくれる。楽しい一冊だ。ここで紹介される実験を考え出したことが、何より素晴らしい。そして笑っちゃうほど人間って愚かなんだなぁ。普段の自分そのものだ。 -
13章の1文を読んでから中身に入るべき。
その1文とは、
「本書の各章では、私たちの行動に影響を及ぼす力(感情、相対性、社会規範、初期設定、無料!の力、性的興奮、先延ばしと自制心の関係、高価な所有意識、選択肢を残すこと、予測効果、価格の力、品性)をひとつずつ紹介してきた」
まずは全体を把握。
上記の影響を受けると、人間は合理的な判断をしているつもりでも、実は不合理な行動を取ってしまう。
・黒真珠に価値なんてなかったのに、ダイヤと並べて高価で販売したら高級品として定着
・自分の持っているものは必要以上に高価だと感じる
・高価なものは、安価なものよりもより効果的であると感じる
など。
以上の説明を実験を通して説明している。
日常生活で知っているような事が多い。
10代や大学の下級生などの若者が読んだらいいと思う。 -
人生は決断の毎日だと思います、決断に際しては合理的に行動すべきだとは思ってはいるのですが、後から自分がとった行動を冷静に振り返ってみると、自分でも首を傾げてしまうことがあります。その謎をこの本の著者(ダン博士)が行動経済学を用いて実験をすることで解明しています。
自分の行動を振り返る意味でも参考になった本でした。特に始めに書かれていた例(おとりを敢えて置くことで購入を誘導する:p34)には納得させられました。
また、ある仕事を報酬なしでは受けられても(社会規範に基づく行動)小額の報酬では断わられる(市場規範に基づく)は面白い解釈(p109)でした。
以下は気になったポイントです。
・わたしたちは、身の回りのものを常にほかのものとの関係でとらえている、購読案内において、1)ウェブ版(59ドル)、2)印刷版(125ドル)、3)印刷+ウェブ版(125ドル)とすると、2)と3)の比較から、3)にお得感があり、3)を選ぶ人が多くなる(p30)
・2つの商品(A,B)を2つの特性(例えば、品質と美観)で見た場合、おとりであるA’を加えることで、Aとの単純な相対比較ができるようになる(p34)
・あなたが独身で、魅力的なデート相手の候補を捕まえたいと思う場合、身体的な特徴がだいたい「あなた」と同じで、あなたより少しだけ魅力的でない友人(あなた’)を連れて行くと効果的(p41)
・給料に対する男の満足度は、妻の姉妹の夫より多く稼いでいるかで決まる(p45)
・15分かけて(時間をかけて)節約できる7ドルの商品がある場合、その価格が455ドルのスーツの時と、18ドルの万年筆の場合では行動が異なる(p47)
・最初に支払う価格はほとんど恣意的に決まるが、いったん決まると(最初の価格=アンカー価格)関連のある品物にどれだけ出すかまで方向付けされてしまう(p58)
・無料のせいでまずい決断をしてしまうことがある、靴下を1足買うつもりが、2足組で2足目が無料というセールを見ると、それにつられて購入してしまう(p87)
・無料の本当の魅力は、恐れと結びついている、無料のものを選べば目に見えて何かを失う心配は無いが、無料でないものを選ぶと、心配になる(p90)
・商売をしていて、お客を集めたいのであれば、何かを無料(買い物の一部を無料)にするのがポイント(p100)
・お金の話抜きで仕事を頼まれる場合、社会規範を適用して、進んで自分の時間を割く気になったが、中途半端な額では考えの中に市場規範が入るため断られることがある(p109)
・社会的交換に市場規範を導入すると、社会規範を逸脱して人間関係を損ねることになる(p115)
・学生に課題を与える場合、学生に締め切りを決意表明できるようするツールを与えるだけで、いい成績を取るようになる(p161)
・所有意識に関する奇癖として、1)自分がすでに持っているものにほれ込む、2)失うかもしれないものに注目する、3)ほかの人が取引を見る視点も自分と同じと思い込む、である(p186)
・いったん所有物を変えてしまうと、並大抵のことではもど戻せない、所有意識によって見方ががらり変わるから(p191)
・プラセボを働かせる仕組みは、1)薬等を世話してくれる人に対する信頼、確信、2)条件付け、である(p241)
・アメリカにおける従業員による職場での盗みや詐欺は、年間およそ6000億ドル、これは強盗、窃盗、車の盗難等の被害額(2004年、160億ドル)よりも大きい(p262)
・同じ不正の機会を与えられた場合でも、代用貨幣がからむと、そのレベルは大きくなる、現金を直接はとらないがそれに相当するもの(引換券)では不正は大きくなる(p292) -
予想以上に面白く、ビジネスにもすぐに応用できる本。
人の行動は、経済学が前提にするのとは逆で、まったく不合理だが、その不合理もある規則性にのっとっているということを、具体意的な実験で教えてくれる。
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人はどうしても相対的に判断してしまう。
おとりの選択肢があることによって、判断に影響が出ることを示す実験。
1.エコノミストWEB版の購読料・・・59ドル
2.印刷版の購読料・・・125ドル
3.印刷版+WEB版のセット・・・125ドル
2つ目の選択肢のあるなしで、1:3の割合が変わる、などなど。