リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理

  • 早川書房
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本棚登録 : 438
感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152090362

作品紹介・あらすじ

テロ、死を運ぶ伝染病、環境を汚染する化学薬品、ネット上の小児性愛者…。ニュースでは毎日新しいリスクが報じられている。だが、本当にそのリスクは恐れるほどのものなのだろうか。よく検討すれば、実はそれほど危険ではないリスクも多い。たとえば、ある年の暴力犯罪件数がこの十数年で最大の増加を見せたというさも恐ろしげなアメリカでの事例は、増加は実は数パーセントなのに、これまでの犯罪件数がずっと減少または横ばい状態だったことによる。また、癌の発生件数がこれから増加していくという不吉な予想は、癌の最大のリスク要因である高齢化の影響が大きい。では、なぜそういうリスクにこれほどまでに影響されてしまうのか。私たちがどのようにリスクを判断しているのか、それによって企業、政治家、メディアに恐怖を操られてしまうのかを、多くの実例とともに解説する。

感想・レビュー・書評

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  • 人間のリスク認識が原始狩猟生活時代に発達した認識能力に依存していること
    アメリカにおいて、いかに人が原始時代のリスク認識能力のまま、現代のリスクを評価していること
    例:係留規則、典型的なものに関する規則、実例規則(=利用可能性ヒューリスティック)、良い・悪い規則
    そのために、マスコミが報道する特殊な事態のリスクを重視し、本当に人間を殺している因子を正当に評価しないこと
    恐怖を煽ることで儲ける人はいるが、恐怖を否定することで得をする人はあまりいないこと
    リスクの過大視で稼ぐ人々の実例(犯罪、発がん性物質、テロ)
    ====
    全てアメリカの話だが、他の国では取り上げるリスク要因が異なるだけで、似たような事態は起きているよね。

  • 社会
    思索

  • 恐怖を使って如何に人をミスリードに導くかが良く分かる本。
    様々な観点から詳しく検証されており、また機会を見つけて再読しようと思う。特に化学薬品のところは、また気になると思われる。

  • リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理

  • 人間はなぜこうも、リスクというものを正しく認識できないのかということを、認知心理学を切り口にした本.9/11同時多発テロ、エイズ、鳥インフルエンザ、核戦争、などの実例を基に、それに対する人々の反応が実際の発生可能性から考えるとあまりにも過剰であることが、これでもかと書かれている.正直冗長である.しかしながら、現在福島原発の事故の後、周辺で生産された農産物の風評などの本質的な原因はすべてここに書かれている.ある意味、人間はそういう風に行動してしまうこまった生き物であるということであろう。

  • 認知バイアスについてしっかり社会学として言及したのは本書が初ではないか。正しいリテラシーは決して派手ではなく、時間もかかるが、科学的に多角的に検証した結果でのみ得られるという示唆には括目すべきだろう。ただし、この翻訳はひどい。句読点の付け方の乱れ、二重三重否定「無関係でなくはないのだ」など。「曝露」もしくは「被曝」を何度も「暴露」としていたり、訳すセンテンスが英語順に並べられており、これは訳の正確さを期すためと好意的にとるよりおそらくは手抜きであろう。全体の情報量がとにかく多いので、読みづらいとどうにも苦痛だ。良書なだけに本当に惜しい。星二つ減点は翻訳者に因する。

  • あぶない、あぶない、といって保険屋ははしりまわる!

  • 政治、ビジネス、医療など、世の中リスクが強調され、人々はその情報に感情を揺さぶられて行動を変えたりする。恐怖は売り物になり、恐怖は儲かる。日常を見渡してみても、異常なまでの抗菌、抗臭、反人工化学物質などが溢れているが、性格で信頼できる根拠を示しているものは少ないか、あっても見にくいかのどちらかである。同調圧力、典型規則、良い悪い規則など、知っておくと騙されずに済む。911テロのあと、(圧倒的に安全な)飛行機を使わずに(年間の死亡者は911を上回る)自動車で移動したがために自動車事故で亡くなった人が急増した例もこの典型であり、自分の頭で考えることが難しいがやはり重要と改めて思う。

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