夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語

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制作 : 土屋政雄 
  • 早川書房 (2009年6月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152090393

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夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語の感想・レビュー・書評

  • 読みながら途中で笑っていました。あんまり楽しくて。楽しいだけじゃない、もの哀しさも、こういうしがらみ分かる〜、っていうのもあったけど、短編のせいか気軽に読めました。二編目、楽しかったです。

  • 著者初の短編集だけれど、さすがの上手さ。
    品のいいユーモアと皮肉、人生のシビアさと美しさ。
    それらを縦軸に、音楽と世界の様々な風景を横軸に綺麗に織られている。
    これまでに読んだ彼の長編のように、読み終えた後で胸骨の中で反響し続けるような衝撃は薄いけれど、読んでしばらく経っても情景を鮮やかに思い起こせる。
    最初の短編の女性が再登場していることに、解説を読んで初めて気づいたのが悔しい…読んでいる時に自分で気づきたかった!

  • 「夜想曲」という話がおもしろかった。コメディっぽいドタバタや、登場人物の出合う場所とその風貌や、二人のやりとりがたのしい。映画になりそうだ、そうなったら観てみたいけれど・・・無理かな。

  • 久々の純文学にホッとした気分。イシグロには今どきのライトノベルにはない文学的な品性がある。各短編にオチがないように思うのは、チェーホフ的な人生の一瞬を切り取ってみせたような書き方だから。イシグロは好きな作家で、この作品も評価はしているのだが、短編としては、私はモームやモーパッサン的なドラマ性やオチがあるほうが好きなので、個人的にはちょっと物足りない。

  • すばらしくおもしろい短編集だった。

    ひとすじなわではいかない、
    ハッピーエンドでもなく。
    かといって、よく海外の短編にあるような
    わたしの頭では理解のできない
    意味不明の投げ出し方でもなく。

    バランスの良さが、とても好みでした。

  • 翻訳なのに違和感がなくすいすい読めた。
    途中、シュールすぎて笑ってしまうシーンもちらほら…

    「メグ・ライアンのチェスセットって何だ。駒が全部メグなのか」
    笑ったwww

  • それぞれのある数日を切り取ったような、
    それでいて夢の話でもあるような不思議な魅力に
    あふれた本。
    「日の名残り」の原作者。

  • 切なくもどこかロマンチックな香り漂う5つの小話。「音楽と夕暮れをめぐる5つの物語」という副題にあるように、どの小話も音楽が物語を彩り、黄昏時のような切なさが漂っている。ある人生のある一部分を切り取ったような物語ゆえ、解りやすいようなオチや教訓などは用意されていない。作中で表された苦味、焦り、高揚感、戸惑いは、人生の中でだれもがどこかで感じたことのあるような感情。だから懐かしいノスタルジックな気持ちになるのかもしれない。【以下ネタバレ含むため未読の方はご注意】「老歌手」ベネチアの広場でバンド演奏をしている流しのギターリストが、憧れの大物歌手と出会い、あるサプライズへの協力を依頼される。だが妻に歌を送るというロマンチックな計画に反して、夫の表情は暗い。夫婦の愛の終わらせ方に苦味を感じる。「降っても晴れても」ロンドンに住む20年来の友人夫婦の危機に接することになった、フリーターの中年男性の戸惑い。いまひとつ面白みが解らなかった。「モールバンヒルズ」イギリスの片田舎のカフェを手伝う学生ミュージシャンの青年と、カフェを訪れた音楽家夫婦とのふれあい。傍目には仲良く見える夫婦だが楽天家の夫と神経質な妻の観点の違いは妙に現実味を帯びている。「夜想曲」天才的な中年サックス奏者が心機一転、整形手術を受ける。偶然隣部屋になった女性芸能人と関わることになるドタバタ。どこかで目にした名前だと思ったら1話目の登場人物が再登場している。初めとキャラが若干違う気もするが…。「チェリスト」若きチェリストが音楽の大家の個人レッスンを受ける奇妙な話。素直な青年が女性の手ほどきを受け影響されていく変化が綴られている。なんとも微妙な味わいだ。

  • 静かで、それでいて感情の機微が鮮やかに伝わってくる5つの作品集。どの作品も魅力的だが、降っても晴れても、モールバンヒルズ、チェリストが特に印象に残った。不機嫌という感情を、こんなに淡々とかつ明瞭に描写しているところに惹かれる。音楽を愛し、生業にすることを目指しながら、あるいは生業にしてもなお生まれてくる焦燥や嫉妬。かつて心を通わせあった男女の間にさざなみがたち、ひびが入ること。生きることほど、人生の疲れを癒やしてくれるものはない、というサバの言葉を思い出す。

  • 音楽でいうアルバムのよう。
    カズオイシグロ氏の短編集。
    コミカルな感じで、非常に読み易い作品です。

  • 最初から短編集として出すことを想定して書き下ろされた短編集。「老歌手」「降っても晴れても」「モールバンヒルズ」「夜想曲」「チェリスト」の5編から成る。

    舞台もテイストも扱われる楽器も違うが、いずれも、破綻と紙一重のハラハラ感がある。

    訳者あとがきの情報、短編は長編に比べて、同一作家でも市場が1/4とか、長編を出すと1年半から2年もプロモーションで世界中回らなければならないとか(世界的な人気作家の場合なんだろうけど)、へーっと思った。

  • 短編集。音楽。夫婦。男女。

  • 一曲の音楽を聴くように、一説の短編を奏でられたら。物語りは、音の旋律を感じた人生のひとシーンを切り抜き、身体に染み込んでくる。それはまるで、一人ソファで静かな音楽を聞きながら、小説を読む至福の時のような。物語りと音に浸る。その点において、小説と音楽は全く同質の役割を果たすのだ。

    カズオ・イシグロはじめての短編らしい。彼の語り口調は英語のため、翻訳では分からない。しかし、翻訳調の日本語と、言語を問わない静かなシーンの抜き取り、言葉の拾い方、並べ方は、まさに、夜想曲である。人生を味わい、優しくなれる一冊。

  • 音楽にまつわる5つの短編集。
    どれも読んでいて切なくなるような話でした。
    音楽が癒しではなく哀しみや憐れみを誘うように響いている、そんな感じでした。
    4作目の『夜想曲』がまだ少しだけ主人公の未来に光があるようで良かったです。

  • 悪くはないですが。
    それなりに面白うございましたが。
    サラ・ヴォーン好きだし。
    Neaness of Youも好きだし。

    ・・・・。
    長編で頑張ってください。
    新作を切にお待ちしています。

  • 初の短編集とのこと。
    ものすごく上手だと感じた。出来事としてはささやかだが、感情としてはとても行き詰まってやるせない場面が多かった。

  • 表紙裏 ブッカー賞受賞作家イシグロが切なくロマンチックな調べで奏でる五つの物語。ベネチアのサンマルコ広場を舞台に、流しのギタリストとアメリカのベテラン大物シンガーの奇妙な邂逅を描いた「老歌手」。芽の出ない天才中年サックス奏者が、図らずも一流ホテルの秘密階でセレブリティとともに過ごした数夜の顛末をユーモラスに改装する「夜想曲」を含み、書き下ろしの連作五編を収録。人生の黄昏を、愛の終わりを、若き日の野心を、才能の神秘を、かなえられなかった夢を描く、著者初の短編集。

  • 【哀愁】
    寂しくもの悲しい気持ち。もの悲しさ。

    人生の夕暮れに漂う哀愁。
    夕暮れは年齢的な変化、人生の転機(好転するかはわからない)、男女問題や、過去の歓びを思い出す時間など色んなときにやってくる。

    ミスターチルドレンがアルバム『深海』で歌ったように”男女問題はいつも面倒”。でも生きていくうえでそれは避けて通れないもので、ありふれたラブストーリーなんてものはない。状況や時代が違えば気持ちも変わる。

    個人的には『降っても晴れても』が好き。

  • 壁にかけていた絵の裏側だけ白く残った茶色の壁紙や、
    納屋に積もっている塵のように、少しずつ、しかし確実に澱が貯まり、
    層となっていく世界の中で、同じようなことを繰り返し、
    擦れ違って、また繰り返す人間の悲哀と哀愁。
    今も手のひらからこぼれ落ちる砂のような時の流れを感じず、
    それでも確実に失われた時に縛られる登場人物たちは、
    僕達の一部であり、僕達そのものだ。

    科学や技術は進化しても、人そのものは相も変わらず同じ所を行ったり来たり。
    靴の底だけが減っていき、摩耗していく。
    どこにも行けない、どこに向かっているかもわからない。
    自分で足を動かしているのか、地面が動いているのか、
    後ろから押されているのか、前から引っ張られているのか、
    自分がいつから動いているのかも忘れてしまった。
    そしていつまで動かなくてはいけないのかも分からない。

    僕にわかったのはこの2つだけだ。
    (1)考え方、捉え方の相違の許容
    夕暮れを迎えた時、太陽が沈むと考えるか、月が昇ると考えるか。
    どちらも間違いではなく、どちらも正しくない。
    ただ、同じ人でも時と場合によって違うことを考えるだろうし、
    それが他人ならいうまでもなく。

    (2)再現性とはコピーの量産化
    いかに完璧にたくさんコピーしても、オリジナルにはなれない。表現は一瞬であり、表現されたものはすぐに古びてしまう。
    ベルリンの壁が壊れてからも、9.11があっても、
    2013年になっても、まだ人の持っている時間は24時間のままであり、
    残酷で優しい時の流れは逆行しない代わりに、止まりもしない。

  • 副題の通り、音楽にまつわる短編集。
    いずれの話においても、ある男女が破局の危機に面している。しかし、素敵な音楽を聴いてものごとが丸くおさまる――というような甘い話ではなく。音楽はむしろ展開を加速させる。
    これまで読んだイシグロ氏の本には現実と幻想の狭間のような美しさがあったが(もっとも、決して甘くはない)、これは意外なほど、世俗的。とはいえ、滑稽さがファンタジックかもしれない。何となく「充たされざる者」の老ポーターを思い出し、納得した。

  • カズオ・イシグロの短編集。副題にあるように、「音楽と夕暮れをめぐる」5篇。訳者あとがきによると、時代はベルリンの壁から911までだそうだが、人物はぶつからずに、むしろ衝突を避けることで別の痛みや悲しみを帯びていて、確かに幸せだった時間を通り過ぎて、自分たちはひとところには留まれないと気づいていく過程を描いているようにも思える。ドラマティックな原因-結果の型ではなく、寄せて返す波のイメージ。特に好きなのは「降っても晴れても」「夜想曲」。

  • 音楽家をめぐる五つの短編。ベネチアを舞台とした歌手とギタリストの話が印象的。

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夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語の作品紹介

ベネチアのサンマルコ広場を舞台に、流しのギタリストとアメリカのベテラン大物シンガーの奇妙な邂逅を描いた「老歌手」。芽の出ない天才中年サックス奏者が、図らずも一流ホテルの秘密階でセレブリティと共に過ごした数夜の顛末をユーモラスに回想する「夜想曲」を含む、書き下ろしの連作五篇を収録。人生の黄昏を、愛の終わりを、若き日の野心を、才能の神秘を、叶えられなかった夢を描く、著者初の短篇集。

夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語のKindle版

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