ファントマは哭く (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

著者 :
  • 早川書房
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152090782

感想・レビュー・書評

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  • 人類は多様な存在です。

    多様性と共に成り立つ
    人類という理念。

    そして、
    本作に登場する四種の
    知性体。

    覇権を争う彼らですが、

    やがて種の相違を克服
    して、

    つまりは多様性と共に
    理念で結ばれていく。

    そう、
    気が遠くなるほど長い
    尺度で見たとき、

    人類をはじめすべての
    知性体は、

    種の相違を克服して
    その多様性を受け入れ、
    理念で結ばれていく。

    やがて
    個々の意識がひとつの
    集合意識に収斂される
    ような、

    そんな進化を遂げるの
    かもしれません。

  • こちらも一気に読み切ってしまった。おもしろいです。
    地球の軌道エレベータ建設を背景に、地球に縛られる人と宇宙に生まれた人との意識の違いを調味料に、世代間の意識のずれ、人に思考を頼ることの危うさを考えさせられました。

  •  新年の新シリーズ。ようやくあたりを引いた感じがある。今回はうれしい!

     地球にとどまる旧人類と宇宙に出た新人類。両者は戦争後に和解する。加えて放浪する異星人ストリンガーと人類環境で育った分家の異星人。知的生命体は主としてこの4種が登場する。そしてさらに、第5の知的生命体SEの存在がほのめかされる。これだけでワクワクする舞台設定だ。

     ストーリーそのものはミステリー色も濃く、なかなか楽しめるものとなっている。しかしながら、めったやたら出てくる英字の略語や空間的に把握しづらい構造物や各種兵器、センサー類などがスムーズな読書リズムを妨げているのも事実。挿絵でもあれば、そして少しばかり仕組みの解説でもあれば理解しやすいのだろうが、この辺は本シリーズ(AADDシリーズと呼ばれる)をいくつか読んで慣れるしかないんだろう。

     「ウロボロスの波動」「ストリンガーの沈黙」に続く第三作目なのに、前2つを斜め読みもしくは読んでいない状態だから特にとっつきにくいのだろう。やはり最初から読むべきだろうな。

     総じて人物描写がイマイチで人間的ではないことに加えて、下手に人間ドラマ的な要素が入ってくるので安物ドラマに見えなくもないんだが、SFの設定、特に地球外知的生命体の設定や新人類の設定が素晴らしいため、どんどん引き込まれるってわけ。

     「記憶汚染」「進化の設計者」ではだめだしした作家さんであるが、このシリーズはなかなか読みごたえがあってよかった。

     なお、そもそもこの作家を発見したのは、SFアンソロジー「虚構機関」の中の「大使の孤独」なんだが、本作では加筆修正し「プロローグ~大使の真実」として登録されている。つまりオープニングから入り込みやすかったというのが、本作が読みやすかった一番大きな理由だろう。

     降着円盤、超対称性粒子等の難解な用語が頻繁に出てくるため、かなりの下準備をしないと全体イメージがつかみにくい、つまり読者を選ぶ作品であることは間違いない。

  • AADDシリーズ3作目。ぶつ切りで読み進めていたから、あまり全体の様子がわかっていない。最後だけ読むと、こっち側に振ったかということを感じた。そして本当に優秀なひとは、やりたいことを行うのでなく、望ましい結果に導くための行動をするということ。理想のひとつだけど全然できていない。

  • 帯でミスリーディングですか。

    一番動きがあるところで「日本人の変態力」をやってくれます。
    「あれは結構重いから」

  • 太陽系の4種の知的生命体 α、それぞれの感性の違いが考え深い。SFらしさも相変わらずで楽しめた。

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著者プロフィール

林 譲治(はやし・じょうじ)
1962年、北海道生まれ。ナイキミサイル基地訴訟で揺れ、千歳基地が隣接するという環境で育ったため、
幼い頃より軍事や防衛問題に関心を抱く。戦略シミュレーションの原案などで活躍後、作家デビュー。
確かな歴史観に裏打ちされた作品で人気を集める。
著書は『戦艦大和航空隊』『異邦戦艦、鋼鉄の凱歌』『新生八八機動部隊』(以上小社刊)、
『帝国電撃航空隊』『超武装戦闘機隊』(電波社)、『星系出雲の兵站』(早川書房)など多数。

「2020年 『技術要塞戦艦大和 (3) 珊瑚海海戦!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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