重力の再発見―アインシュタインの相対論を超えて

  • 早川書房
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152090898

作品紹介・あらすじ

アインシュタインの一般相対論は、われわれの宇宙観を一新させた。これまで何度も検証されてきたこの理論だが、銀河や銀河団の力学へと適用範囲が広がるうちに矛盾を示す観測結果が得られるようになった。つじつまをあわせるダークマターやダークエネルギーの存在が仮定されたものの、多くの努力にもかかわらず、その正体はいまだ明かされていない。ダークマターはなぜ見つからないのか、じつはアインシュタインは間違っており、修正された新たな重力理論が必要なのでは…。重力理論研究の権威が、パラダイムシフトの瀬戸際に立つ最新宇宙論を語る。

感想・レビュー・書評

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  • 量子論のなかでも謎が多い重力。

    なにしろこれだけ素粒子などが次々と観測されながらももいまだに重力波は観測できていない。

    この本は宇宙物理学では当然あるとされているダークマターの存在を「無い」としたMOG理論を展開。

    もしこの理論が実証されれば今後の物理学が大きく変わりそう。

    相対性理論を理解出来ているのかと言われればおそらくこの本に書かれている内容の10分の1もちゃんと理解できてないと思う。

    わらかないことだらけ。

    でも読んでて面白いんだよね-。

  • サンフランシスコ行きの飛行機に乗る日に、何の本をもってくか、錬金術の世界はさすがにデカすぎる、、と思って、これを手にしたんだけども、よくよく考えると、もう一冊持ってた文庫本は湯川秀樹で、物理学ばっかりもってきてしまった
    ギリシャ思想から現代につなげるところは面白い
    そう、僕が現代物理学が好きなのも、アリストテレスやブルーノが好きなのとつながってる
    つまり、世界とはいかに、と、いずれも問うているわけで、ガリレオがそこに数学をうまく取り入れたことで方法や精度が激変するにしても、同じことをずっとやってきてるのだから。

    とはいえ、やはり、アリストテレス、プトレマイオス、コペルニクス、ケプラー、ガリレオ、ニュートン、アインシュタイン、、、という流れなのである。
    どうして、エピクロスやブルーノ(ちょびっと出る)がもっと重要視されないのだろう。
    今の物理学に一番近いのは、方法としてはアリストテレスからにつながるだろうけども、結論としては、エピクロスに近いのに
    そして、エピクロスのもうひとつの結論こそが、今日のこの数多ある説を決めかねる、ということへの答えであるのに

    後半、いろんな説を網羅的に紹介してくれてるのはとても良いのだけども、どれも内容を理解するには当然浅く、そうすると読んでも意味はわからない、という感じになっていく。
    もったいないけど、これはやむなし、か。そのため、できることといえば、これをガイドに色々勉強するか、へー色々あるけど、何が確かかは、よくわからないってことやね、と納得するか、しかない。

  • サイエンス

  • 現在の理論物理学の関心事は、どちらかというとミクロ的な世界のほうにあって、物質を分解して行くと究極的にはどうなっているのか、そこがわかれば、宇宙全体も分かるかもしれない、という感じのアプローチが中心である感じが素人としてはする。

    つまり、論理的に矛盾する相対性理論と量子力学の溝を、ミクロ的に物質を分解することで埋める事ができないかという感じかな。

    では、マクロ的な宇宙は、相対性理論で説明できているかというと、実はそんなことは全然なくて、ダークーマターやら、ダークエネルギーやら、まだ見つからない物質やエネルギーを仮定することによって、かろうじて辻褄をあわせている状態。

    なので、現在の物理学の世界では、ダークマターやダークエネルギーを発見すべく膨大な労力、資金が投入されているというわけ。

    という状況に対して、著者は、ダークマターやダークエネルギーは、かつて存在を仮定された太陽と水星の間にある惑星バルカンや空間を充填していて光を伝達すると想定されたエーテルのようなものではないか、それらはないものとして理論構築はできないか、と提案する。

    素人なので、著者の提案する修正重力理論(MOG)の確からしさ、もちろん評価できない。

    が、著者の問題意識のありようとか、現在の物理学の抱える問題については、とてもよく分かった。

    でも、素人なりにも、なかなかMOGが受け入れられないだろうなー、というのも、なんとなく分かる気がする。

    つまり、今、求められている理論は、ダークマターやダークエネルギーの謎を説明するマクロ的な重力理論であるとともに、量子力学と相対性理論の矛盾を解決するものでなければならないという気がするからだ。

    著者の重力理論は、この求められているものの前半へのアプローチなので、それだけでは、今ある確立された理論をすててまで、MOGに移るインセンティブはないだろうなー、と思ってしまった。

    前半はかなり面白いが、後半の著者の理論の説明になると、やや歯切れが悪くなる印象があるので、満足度は★三つにした。

    でも、久しぶりに宇宙論関係の本を読んで、気分転換にはなったかな。

  • [ 内容 ]
    アインシュタインの一般相対論は、われわれの宇宙観を一新させた。
    これまで何度も検証されてきたこの理論だが、銀河や銀河団の力学へと適用範囲が広がるうちに矛盾を示す観測結果が得られるようになった。
    つじつまをあわせるダークマターやダークエネルギーの存在が仮定されたものの、多くの努力にもかかわらず、その正体はいまだ明かされていない。
    ダークマターはなぜ見つからないのか、じつはアインシュタインは間違っており、修正された新たな重力理論が必要なのでは…。
    重力理論研究の権威が、パラダイムシフトの瀬戸際に立つ最新宇宙論を語る。

    [ 目次 ]
    第1部 重力の発見と再発明(ギリシャ人からニュートンへ;アインシュタイン)
    第2部 重力の標準モデル(現代宇宙論の誕生;ダークマター ほか)
    第3部 標準モデルのアップデート(インフレーションと光速可変理論(VSL) 新たな宇宙論的データ)
    第4部 新たな重力理論を探す(ひも理論と量子重力;それ以外の代替重力理論 ほか)
    第5部 MOG宇宙の考察と検証(パイオニア異常;予測可能な理論としてのMOG ほか)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • VSLやMOGを支持する筆者の立場に引っ張り込もうという意図は見えるが、それにしても実によく対象となる物理領域の諸理論を公平に見通している点はなかなかの見識だと思う。

  • 原題「Reinventing Gravity : A Physicist Goes Beyond Einstein」

    現代の物理学の主要な課題は重力と他の力(弱い力,強い力,電磁気力)との統合である.

    この本は,重力理論についてのお話です.

    重力理論と言えば,NewtonからはじまりEinsteinで完成したというイメージが強いが,近年の研究と観測結果から必ずしもEinsteinの相対論が成り立っていない可能性が示唆されている.

    そこで近年,注目されている理論として
    ・Lisa Randallらによる5次元宇宙論
    ・修正Newton理論
    などが挙げられているが,上の理論はダークマターの存在を暗に仮定している.
    しかし,現在ダークマターの存在は確認されていない(超対称粒子が候補).しかも,そのダークマターの性質が何かあやしい・・・

    という問題意識から,ダークマターの存在を仮定しない新理論として「修正重力理論(Modified Gravity Theory:MOG)」という理論を著者が提案している.

    この理論を用いると,ダークマターの存在の仮定は不要になるらしい.
    他にも,ブラックホールの特異点問題が解消されるし,t=0の宇宙の物理量の特異性も解決される(というより,MOGではt=0における宇宙は静的で何もない空間(エネルギー=0という意味ではなく)から,インフレーションが発生するというシナリオらしい)

    本書では,MOGの説明はあまりせずに,MOGから導き出される帰結を他の理論では予測できないからMOGの方が優秀であろう,というロジックで進められる.

    MOGが今後の実験結果の検証に耐えうるかということを期待してしまう.
    LHCの稼働が待たれる(MOGがHiggs場を導入しているかは寡聞ながら不明).

    相対論と量子論はある程度知っておく必要があると思う.

    物理好きならオススメする一冊です.

  • 2010.02.14 朝日新聞に掲載されました。

  • 「アインシュタインは間違っていた!?」という衝撃的な見出しで始まる本。
    著者のモファット氏は、若かりし頃、晩年のアインシュタインと書簡をやり取りしていたのだそう。
    研究者としても、絵画の勉強を経て、独学で物理学を学び、作家の指導により研究者人生をスタートさせたというユニークな経歴の持ち主です。

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