- Amazon.co.jp ・本 (637ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152090904
作品紹介・あらすじ
進化論は「論」とつくからには、単なる理論なのだろうか。いまだに国民の半数近くが進化論に不信を抱いている国もあるというではないか…それは違う、と本書の著者ドーキンスは言う。名作『盲目の時計職人』で進化論への異論をことごとく論破したドーキンスは、本書では珍しい生物の戦略や素晴らしい実験の解説などを随所に配したうえで、著者一流の周到な論理展開により、進化論ではなく、進化そのものが理論の産物ではなく事実だということの証明を試みる!-緻密な論理で説得しつつ、想像を超えて精緻な生物の仕組みに読者の想像力を広げる…ダーウィン生誕200周年、『種の起源』刊行150年を記念するダーウィンイヤーに重ね、ドーキンスが満を持して放つ、唯一無二の進化の概説書。
感想・レビュー・書評
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2010.02.07 朝日新聞に掲載されました。
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とても良い。進化に関してしっかりとした認識を作ることができる。非常にこまかく、非常にくどく、そして非常に創造論者をこき下ろしていたとしても…
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凄い。進化論がいかに正しいか証明するための本。これを書かなければならないほど創造論がいかに根を張っているかということの証明でもあるな。
進化論が正しいという話だけでなく、なぜダーウィンの種の起源の初版に触れていたり、イヌみたいになったキツネの話とか、とにかく最初から最後まで飽きずに読める大著。 -
「これまで書いてきた本をふりかえったとき、進化を支持する証拠そのものについてはっきりと論じたところがどこに[も]なく、それは、埋めなければならない重大な空白(ギャップ)であるということに、私は気がついた。」(「はじめに」、42ページ)というだけあって、進化が事実であることを示す証拠がこれでもかと示されている。進化は、何万年、何億年という気が遠くなるほど長い時間をかかて進むものだと思っていたが、第5章「私たちのすぐ目の前で」で紹介されているように、一人の人間が一生のうちに観察できるくらい急速に進む場合もあるということが一番の驚きだった。
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宗教に対する追撃はまだ手を緩めてなく、この本でも再三語られていますが、本業にしっかり内容の重心を移していて、進化論の現在到達地点を知るに格好の書です
科学者の仕事としてはもちろん素晴らしいし、またそれを抜きにしても何十億もの人を敵にまわしてまでも、誠実であろうとする氏の姿勢には激しい共感を覚えます -
ドーキンス、の名で読むと少々拍子抜けだが、創造論をいちいち潰していく文章がまたドーキンスらしく溌剌(笑)どうしても進化論をわかってもらいたいというあっつーい熱意が伝わるし、一般向けなのでややこしくもない。学校で教わった通りに進化論を受け入れている日本人は読んでおくべきだと思う。教科書に書いてあるからね、ハイハイ、じゃなくて、自分の頭で考えるべき。
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「創造論」はとっていなくても、「インテリジェンスデザイン」、すなわち生物の機能、目や手足の機能などは効率的に最適化されるようデザインされているといった考えは漠然と支持していました。
例えば昆虫の擬態などは生存上有利なので戦略的に採用されているといった考えです。しかし、「進化論」をつきつめればそのような擬態もあくまで自然淘汰の観点から説明できるのだと改めて気づかされるきっかけとなった本で、人間とはなんなのかを考える一助となりました。
人はどこから来てどこへ行くのかを考える上では、哲学も面白いですが、本書や「銃・病原菌・鉄」などの本のほうが科学的で参考になります。 -
超強烈な進化論者リチャード・ドーキンス氏による創造論者を批判する意味も込めて地球上で起こってきた進化の歴史を読み解く一冊です。原題は「地球上での偉大なるショー」、生命の進化の変遷をダイナミックな描写で説明してくれています。
進化論についてはみなさん知っているだろうと思うのですが、少し特異な性質を持つ生き物がどのように進化をしていったのか、がもっとも興味深い点だと思います。たとえばイルカなど水中で暮らす肺呼吸をする哺乳類や飛ばなくなった鳥類、逆にコウモリなどの空を飛ぶ、あるいは滑空する機能を持つ哺乳類の性質は具体的に考えてみると実に興味深いです。
小学校中学校でも進化については教えられますが、その当時の印象としては方向性を持って進化してきている、という認識でした。結果としてはそれは違って、あくまで自然淘汰、性淘汰の結果なのですが。
多少創造論者批判にページを割き過ぎな感じはありますが、「利己的な遺伝子」で衝撃を与えてくれた著者の一作は相変わらず面白いです