ブラッド・メリディアン

  • 早川書房
3.96
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本棚登録 : 363
感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152090935

作品紹介・あらすじ

少年は、十四歳で家出し、物乞いや盗みで生計を立て各地を放浪していた。時はアメリカの開拓時代。あらゆる人種と言語が入り乱れ、荒野は暴力と野蛮と堕落に支配されていた。行くあてのない旅の末、少年は、以前より見知っていた「判事」と呼ばれる二メートル超の巨漢の誘いで、グラントン大尉率いるインディアン討伐隊に加わった。哲学、科学、外国語に精通する一方で、何の躊躇もなく罪なき人々を殺していくこの奇怪な判事との再会により、少年の運命は残酷の極みに呑み込まれるのだった-。『ニューヨーク・タイムズ』紙上で、著名作家の投票によるベスト・アメリカン・ノヴェルズ(2006‐1981)に選出。少年と不法戦士たちの旅路を冷徹な筆致で綴る、巨匠の代表作。

感想・レビュー・書評

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  • 現代アメリカ文学の巨匠の傑作。
    修正主義西部劇(Revisionist Western)。
    アメリカ西部開拓時代、
    インディアン討伐隊(別名:頭皮狩り隊)に加わった名もない少年の、
    残虐で極悪な日々を中心に描かれている。
    彼らの行為は容赦なく凄まじい。
    決して討伐隊=悪、インディアン=善という訳でもない。
    読点のない長文が重く圧し掛かってくる。
    心理描写を極力排した、挑発的な神話と言えるかも知れない。

  • 2023年6月13日マッカーシーが亡くなり国境3部作しか読んでいなかったので、知人が激推しされていた本書を読んだ。これはすごい。

    砂埃で血塗れでしかし乾き切っていて、ひどい悪臭。が感じられる恐ろしい物語。

  • 3.96/340
    『ノーベル文学賞最有力候補の代表作が待望の邦訳。 少年は、十四歳で家出し、物乞いや盗みで生計を立て各地を放浪していた。時はアメリカ開拓時代。あらゆる人種と言語が入り乱れ、荒野は暴力と野蛮と堕落に支配されていた。行くあてのない旅の末、少年は、以前より見知っていた「判事」と呼ばれる二メートル超の巨漢の誘いで、グラントン大尉率いるインディアン討伐隊に加わった。哲学、科学、外国語に精通する一方で、何の躊躇もなく罪なき人々を殺していくこの奇怪な判事との再会により、少年の運命は残酷の極みに呑み込まれるのだった――。』(Hayakawa
    Online」サイトより▽)
    https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000008537


    原書名:『Blood Meridian: Or the Evening Redness in the West』
    著者:コーマック・マッカーシー (Cormac McCarthy)
    訳者:黒原敏行
    出版社 ‏: ‎早川書房
    ハードカバー ‏: ‎432ページ

    メモ:
    ・死ぬまでに読むべき小説1000冊(The Guardian)「Guardian's 1000 novels everyone must read」
    ・オールタイムベスト100英語小説(Time Magazine)「Time Magazine's All-Time 100 Novels」

  • あまりにも情報量多過ぎて、初読は消化不良。いつも通りだが、マッカーシーの凄い小説であることは確か。

  • 持っていたのにまた買ってしまいました(><)
    カバーつけて本棚に突っ込んでたからだ!!!

  • 迸るイメージの力強さに圧倒された。ここには情け容赦のない殺戮があるが、不思議と罪の意識が感じられない殺伐とした世界が繰り広げられていく。アメリカの乾燥した不毛の大地の様相が死者の白骨を目にすることで、その酷薄さがひしひしと感じられた。

  • 再読。

    圧倒的な筆致。
    鏖殺の場面と過酷な自然が等しく、硬質な美しい文体で語られる。
    描かれているのは酸鼻を極める陰惨な情景ではあるけれども、ほとんど読点を使わない、一文を長く長く繋いでいく文章によって、まるで神話や叙事詩を読むような気分にさせられる。

    それに留まらず、登場人物があまりに魅力的。
    野蛮な兵士崩れどもにも味があるけれど、彼らの中で「判事」という巨漢の異彩さが際立つ。
    哲学、神学、科学、法学、芸術…あらゆる知識と技能を持ち、穏やかに微笑む万能人でありながら、どの荒くれ者よりも残酷なことを自然に行うさまに、恐怖しながらも目を離せなくなる。

    癖がある、けれど何度でも読みたくなる小説。

  • 舞台がメキシコだからか。
    マッカーシーの文体のせいなのか。
    殺戮に続く殺戮なのに全〜然、ウェットでなく。
    ここのところホラーづいていたせいか?
    これに比べると、ミステリの殺人なんかもつくづく丁寧だなあと。・・・事前も事後もきっちりあるし。

    主人公はきっと少年なんだろうけど、
    ホールデン判事のキャラクタが印象的。
    この人の語りが真骨頂でしょう、この話。

    まあ、米文学で”ホールデン”っつったら主役を張るわなー。

  • 凄惨かつ残虐。やのに美しくて儚い。
    ただただ圧倒的な世界観。

  • 西部開拓時代のテキサス・インディアン戦争が舞台。

    虐殺の描写は本来であればむごたらしいはずなのだが、
    例によってマッカーシ節のため淡々としており、
    まるで日常風景を描写しているようである。

    アメリカの成り立ちの要素として血と暴力がある、
    と主張しているようである。

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著者プロフィール

【著者略歴】
コーマック・マッカーシー(Cormac McCarthy)
1933年、ロードアイランド州プロヴィデンス生まれ。 現代アメリカ文学を代表する作家のひとり。代表作に『すべての美しい馬』『越境』『平原の町』から成る「国境三部作」、『ブラッド・メリディアン』、『ザ・ロード』、『チャイルド・オブ・ゴッド』(いずれも早川書房より黒原敏行訳で刊行)など。

「2022年 『果樹園の守り手』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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