不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」

  • 早川書房
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感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152091758

作品紹介・あらすじ

行動経済学によって、さまざまに系統的な不合理さが見えてきた。手をかけることが高評価をもたらすIKEA効果、やる気をそいでいる高額ボーナス、自分で思いついた(と思わせられた)意見は好ましい、雑用は一気に片づけるほうが楽…。行動経済学研究の第一人者が、わたしたちがなぜ、どのように不合理な行動をしてしまうのかをユニークな実験で紹介。わかりやすい数々の実例で経済の真の姿を解明し、よりよい決断へとつなげる話題作。

感想・レビュー・書評

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  • 人間の感情、シンパシーなど、非合理的思考を理解しようということか。経済学で仮定する合理人への揶揄かと思う。
    合理的思考からはリープ leap は生まれない。

  • 筆者の体験や聞いたストーリーがほとんど占めていて、それから言えること書いているが、章末にまとめが書かれているので、それを見れば十分です。
    しかも、然程初めて聞くよなことは書かれていません。

  • 人間が不合理な生き物であること、不合理が自分に及ぼす影響を自覚していない事、それがゆえに上手くいっていることがある事を実験事例を用いて説明した本。全413ページで読みごたえあるが、人間は合理的な行動をする前提でいた自分にとってはインパクトが大きく、非常に面白い内容だった。

  • 高すぎる報酬は、逆効果になることが多い。単純な課題よりも認知スキルが要求される課題の場合に、この傾向が強い。

    何かをするのが好きな人を集めて意味のある仕事条件に置けば、仕事をすることの喜びに駆り立てられて、自ら労力を増やす。

    が、仕事に同じだけの情熱や意欲を持っていても、意味のない仕事条件に置かれると、仕事から得られるはずの本源的な喜びが、最も簡単に失われることがある。

    例えばレゴ好きな人に指定したレゴを組み立てさせ、完成した瞬間にバラバラに戻し、また組み立てさせる仕事。シジフォスの神話、三途の川の小石積みも同様。

    仕事へのやる気を奪うのは簡単、逆に仕事に意味を与えることで、モチベーションを高める機会があるとも言える。

    自前主義バイアス
    自分で生み出したアイデアには愛着を感じ、高く評価してしまう。自分で考えたという思い込みでも生じる。

    愛着が過ぎれば、他人の優れたアイデアを排除してしまうが、逆に目の前の課題に打ち込めるよう工夫出来る。

    順応
    人生を変える出来事にも、いつか順応する。

    良いことが起きても思ったほど幸せにならないし、悪いことが起きてもそれほど不幸にならない。

    順応するプロセスを中断すると、順応が遅くなる。
    これを利用して、厄介なことは一気に片付け、楽しいことは休み休みやれば、満足度は大いに高まる。

    顔ある犠牲者効果
    人は大勢の苦しみより、1人の苦しみに心を動かされるように出来ている

    感情に任せて行動してはいけない
    感情はすぐ消えるが、いっときの感情に任せた決定が、長い間にわたって行動を左右することがある。

    全く無関係な感情さえ、決定に影響を及ぼす。

    強い感情にとらわれているときは、決定を下さないのが賢明。

  • ●IKEA効果
    労力をかけて何かをこしらえると、その作品に愛着を感じ、過大評価するようになる。
    プロジェクトに時間や労力をかけることで、モチベーションを高めることも可能だ。
    (アイデアを募集して、具現化すると、ヤル気を上げられる)

    ●人間の不合理な性質を考慮に入れない、商品やサービス、市場は必ず失敗する。

    ●顔のある犠牲者効果
    人は大勢の苦しみより、1人の苦しみのほうに心を動かされるようにできている。
    心理的に近い存在、鮮明な出来事、自分の行動が大きな違いを生むと言う確信が、感情のスイッチを入れ、人助けの行動を促す。
    合理的思考は感情移入を阻害する。

  • 【所蔵館】
    総合図書館中百舌鳥

    大阪府立大学図書館OPACへ↓
    https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000846099

  • アリエリー教授の人生についても少し書かれていて読み応えがあった
    最初から最後まで面白くないところがなく、為になった


    ゴキブリもあがるときはあがるよ!

  • 1

  • ・部下のやる気をなくしたいのなら、部下を無視したり、がんばっている様子に気づかないふりをするだけでいい
    ・仕事に意味があるかないかで、モチベーションに大きなちがいが生じる
    ・労力をかけて何かをこしらえると、その作品に愛着を感じ、過大評価するようになる(イケア効果)――プロジェクトに時間や労力をかけることで、モチベーションを高めることも可能だ
    ・自分で生み出したアイデアには愛着を感じ、高く評価してしまう
    ・『シュレック』は、ウォルト・ディズニーを首になったジェフリー・カッツェンバーグの、ディズニーのおとぎ話を茶化し、当時のディズニー社長を悪者にしたパロディー(この映画を見るときには、復習がいかに建設的かを味わってみる)――復讐は人間の奥深い本能。復讐心をバネに成功する人も多い
    ・つかの間の体験(スキューバーダイビング)と、しょっちゅう触れるもの(新しいソファ)のどちらにお金をかけようか悩んでいたら、つかの間の体験を選ぶ――ソファが長い間にわたって満足度におよぼす影響は、思っているよりずっと小さい。スキューバーダイビングが与えてくれる楽しみと記憶は、思ったよりずっと長続きするもの
    ・厄介なことは一気に片づけ、楽しいことは休み休みやれば、満足度が高まる
    ・人はおおぜいの苦しみより、(顔のみえる)一人の苦しみに心を動かされるようにできている
    ・いっときの感情にまかせた決定が、長い間にわたって行動を左右することがある――強い感情にとらわれているときは、決定を下さいないのが賢明だ
    ・わたしたちには、不合理な傾向がたくさんある。自分が何に駆られて行動しているのか、よくわかっていない――直感や習慣を疑ってかかる必要がある

  •  あまりに高い報酬を与えると逆に成績は下がってしまう。
     仕事には意味を与えるかどうかでモチベーションに大きな違いが生じる。
     時間と労力をかけて何かを完成させると、大きな愛着が生じる。 
     自分で生み出したアイデアには愛着が生じ高く評価してしまう。
     人は、大勢の苦しみより一人の苦しみの方に心を動かされる。
     感情が物事の決定に大きな影響を及ぼす。それが、決定に関することとまったく無関係なものであっても。

    特に印象的なのは、人間は、痛みや快楽を感じると次第に順応して何も感じなくなってしまう。すなわち、良いことが起こってもそれほど幸せにはならないし悪いことが起こってもそれほど不幸にはならない。
    もしかするとこれが、豊かになった現代の日本人が幸福感をほとんど感じられないという背景なのかもしれない。
     
    軽妙な語り口で、身近なテーマをとりあげつつ、著者自身の大やけどの体験と麻酔なしで皮膚を切り取る治療の痛みやC型肝炎への感染によるインターフェロンによるつらい治療なども語られ、これらの体験が今の著者の研究を形づくっているのだと知らされる。
    また、自分のスピーチの失敗談も披露したり、アウディの新車で事故起こした後の自動車会社の対応へのいらだちなど、飾らないところに好感が持てる。

    さらに、人間がとる不合理な行動を理解しないオンラインデートや保険の勧誘などは、うまく行かないと批判する。
    政府がとる政策には、本当に効果があるかどうか疑わしいものも少なくない。効果があるかどうかを検証するためには、人間が実際にどのような行動をとるのか事前に把握しておく必要があるとの著者の主張は重い。
    これはアメリカ政府に対するものではあるが、当然日本にも当てはまる。

    人間が合理的な行動をとることを前提に組み立てられた経済学に対する強力な反証をいくつも示しているとともに、経営や政策のありかた、そして幸福論までも根本から見直すきっかけを与えてくれる好著である。

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