破壊する創造者―ウイルスがヒトを進化させた

制作 : Frank Ryan 
  • 早川書房
3.96
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本棚登録 : 354
感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152091901

作品紹介・あらすじ

鳥インフルエンザやエイズはやがて無害になる?ヒトゲノムはウイルスがつくった?ウイルス学のがん治療への応用とは?ミクロの微粒子が現代ダーウィニズムを書き換える。生命観を一変させる衝撃の書。

感想・レビュー・書評

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  • 自分にとっては画期的な本。進化とは遺伝子の突然変異と自然淘汰によるもの、と思っていた無知を恥じる。
    ウイルスが共生し遺伝子の組み換えや種を超えた伝搬が頻繁に起こっていること、そして遺伝子の発現の制御エピジェネティクスによって同一遺伝子でも個体が違ってくることが具体的な例を挙げて紹介されている。

    これはタイトルで損をした本ではないか。
    原題のVirolution は Virus + Evolution ということで、副題のウイルスが人を進化させたというのがそもそものタイトル。破壊する創造者、は内容をうまく表してはいるが煽り過ぎでトンデモ本の匂いがしてしまう。

  • 読む価値がある本ではあるが、内容が多岐に亘っており、ちょっとまとまりが悪い印象を持った。ウイルスの話がメインだが、あまり関係があるとは言い難いエピジェネティクスの話なども含まれており、話題の焦点が絞り切れてない感が否めない。このような内容であれば、むしろウイルスの話は、トピックスの一つと割り切って、進化の話にしてしまった方が、読み易い感じがある。ただし、内容は濃く、多くの情報が含まれている本であることは間違いない。ただ、翻訳本であることと相まって、読み通すには多少の根性が必要である。

  • ダーウィンは偉大。身体はレトロウイルスでてきている!といっても過言ではない。
    今では少し古い本になってしまったが、冬休みにじっくり読むのに良い本でした。面白かった。
    P.404の図5:進化の推進力の比較がこの本のすべての要約です。

  • ウイルスの遺伝子がヒトの遺伝子に組み込まれたとか、ウイルスによる遺伝子の水平伝播という話はなんとなく知っていて、その辺を詳しく知りたいと思って読んだのだが、かえって混乱した。
    現在進行形の研究だからなのかもしれないが、誰々からこういう話を聞いたとか、こういう論文が発表されたというエピソードの積み重ねで、ポイントがうまく理解できない。翻訳ものの科学書によくあるパターンで、厚い本なのでけっこうしんどかった。ポイントを絞った本を読みたいものだが・・・

  • 人間はウイルスによって進化してきたという内容。関心させられたり驚かされたりで良書でした。「迷惑な進化」シャロン・モレアム著も合わせておすすめです

  • ウイルスと人との共生、という話はどこかでも読んだ。
    そういう流れが、出てきているのだろう。
    私がそのとき読んだ本では、エボラのような、あっという間に人を殺してしまうウイルスは、そのときに体液などに他の人がふれて、爆発的に感染が広まる方がウイルスに有利だから。という説だったが、こちらは、まだウイルスと宿主が出会って間もないので、共生にいたっていないので。
    という、時間の流れでとらえているのがおもしろかった。
    上橋菜穂子の『鹿の王』は、これもイメージソースらしい。

  • 共生と進化論の話だった。

    ところどころ面白いエピソードがあるので何とか読みすすめられるが理解できたわけではない

    特に後半になって「エピジェネティクス」の話になると混乱する。それだけまだわかっていない新しい分野なのだろう。

  • 「鹿の王」の著者が参考にしたと解説に書いてあったので。

    難しすぎた。
    最初の用語解説からちゃんと読んだけど、
    それでもわからなかった。

    面白かったのは、
    新たな動物とウイルスが出会い、
    その動物をほとんどを殺してしまった後、
    攻撃性を弱め生き残った動物と共存している状況で
    よく似た別の動物と接触した場合、
    別の動物へのウイルスの攻撃性は高く、
    死に至らしめることのよってその動物を排除し、
    元の動物に利益をもたらしているのではいか、という仮説。

    大腸菌どうしが互いに遺伝子をやりとりしてるとか、
    地衣類は菌類と藻類の共生生物だったとか、
    「初期の現生人類とホモ・エレクトスの間に異種交配があった」という説があるとか、
    知らないこともたくさんあったし、
    とにかく私には難しすぎた。

  •  タイトルの通り、遺伝子だけじゃなくてウィルスとの共生によってヒトは(生き物は)進化してますよと言う本。
     はっきり言って、一度読んだところをもう一度読み返してもきずかないくらい理解してないけれど、単純に遺伝子だけで進化してるのではなく……生命と言うのは有機的につながっているのだなぁと面白く読めた。
     たぶんあと5回くらい新鮮な気持ちで読める自信がある。

  • p7
    インテリジェントデザイン 生命をはじめとする宇宙の精妙なシステムの誕生には、何らかの「知性ある設計者」が関与したとする説。「生命は、進化によってひとりでに生じたにしては複雑すぎる」と考える。
    p20
    まず驚きだったのは、ヒトゲノムの「サイズの小ささ」である。ヒトゲノムに存在する遺伝子の数は、約二万個にすぎない。
    p24
    自然選択だけではもちろん、進化は起きない。突然変異はその理由の一つだったわけだが、そのほかにも、「共生」や「異種交配」などが変化を引き起こす原因となり、進化の大きな推進力となっている。
    p73
    幼い子供のように、ただ、目の前の事実を見つめよう。あらゆる先入観をいつでも捨てる覚悟をするのだ。
    p84
    「それは面白い考えですね…ウイルスと宿主がたがいに利益を与えあっている、という明確な例を私は今のところ知りません。ただありえない話ではないでしょう」
    p103
    その問いに対する私の答えは簡単だ。「AIDSウイルスは、まだ人類という宿主に適応するように進化してないから」である。
    p148
    たとえば、ウイルスにウイルスが寄生するということもあるわけです。つまり、何らかの「自己複製子」さえ存在すれば、ウイルスはそれに寄生する可能性があります。
    p215
    何より大事なこと。それは己自身に正直であるということだ。ウィリアム・シェイクスピア
    p290
    生殖細胞を作る際には、染色体を二つに分けなくてはならないが、三組を染色体を二つに分けることはできない。そういう理由から、異種交配は必然的に不妊につながるというわけだ。
    p354
    彼はそのプログラムが存在するだけでは不十分ではないかと考えた。DNAに働きかけ、そのプログラムがスタートするきっかけを与えるような仕組みが必要なのではないかと考えたのだ。
    p363
    「DNAの配列である遺伝子が転写され、タンパク質が合成される。一つの遺伝子は必ず一つのタンパク質に対応する。遺伝子さえ見れば、その人がすべてわかる」というような考え方が誤りであることは、もはや明らかである。
    p369
    「ブルーヘッドベラ」は、雄が死んだり、ハーレムから姿を消したりすると、不思議なことが起きる。なんと、雌のうち、もっとも体の大きいものが性転換するのだ。卵巣が収縮して、新たに精巣が出来はじめる。

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