ウルフ・ホール (上)

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制作 : 宇佐川 晶子 
  • 早川書房 (2011年7月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152092052

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ウルフ・ホール (上)の感想・レビュー・書評

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  • 本書は、16世紀の英国、おそらく英国史上もっとも有名な王ヘンリー8世の宮廷を政治家トマス・クロムウェルの視点で描いた歴史小説。
    2009年度、英国で最も優れた長編小説に与えられるブッカー賞と、全米批評家教会賞というふたつの権威ある賞を受賞した。
    でも、あれ?ブクログ読者の評価、低いですね(笑)日本人受けはしないのかな?

    当時ヘンリー8世は王妃であるキャサリンの侍女であったアン・ブーリンとの結婚を望んでいたため、キャサリン王妃との婚姻の無効化を望んでいた。
    (カトリックは離婚を認めていないため、それまでの結婚そのものを無効とするよう教皇クレメンス7世へ認可を要請した)
    このくだりは映画『ブーリン家の姉妹』にも詳しい。
    映画をご覧になっていなくとも、シェイクスピアのヘンリー8世をご存知の方は多いだろうから、その下地にはなじみがあるだろう。
    だが、本書では枢機卿ウルジーは悪人ではないし、クロムウェルその人もまたそうである。
    ヘンリーの宮廷の「ヒキガエル」とも比喩されるクロムウェルだが、本書では悪役の立場は大法官トマス・モアと逆転している。
    そういう意味において、本書はもう一つの別の視点にたった歴史劇『ヘンリー8世』だ。

    ヘンリー8世の治世は、後に”中世からの脱却”したといわれる時代だ。
    歴史的には、アン・ブーリンと再婚するためにカソリックから離脱し宗教改革を成し遂げ、イングランドはそれまでのローマとイングランド王との二重支配を終わりにした。
    本書に描かれるクロムウェルも、中世的な人物ではない。
    貴族出身ではないことが致命的だったこの時代、聖職者でもない彼は自分の力だけでありないほどの出世をした。
    本書の彼はヒキガエルなどではなく、現代的な実務家である反面、人間的な優しさ、道徳を備えてもいる。
    枢機卿にかわいがられ丸暗記しているほど聖書にも通じていたが、カソリックの教えー子供しか信じないようなことを信じるよう強いてきた権力を信じてはいない。

    大法官トマス・モアは自らの信念において、異教徒に次々と非人間的な拷問と処刑を行うが、クロムウェルは流される血を抑えようと奔走する。
    クロムウェルとモアは対照的に描かれる。子供時代の境遇もさることながら、信仰を貫き、異教徒を殺すのに何のためらいもみせないモアと、親しい友人である学者や商人をモアに殺されてなお、逆にモアを裁く立場になったとき、モアが少しでも苦しみから逃れられるよう王に慈悲を乞うよう助言するクロムウェル。

    これまでのトマス・モア像は人々に尊敬される聖人だったが、ここでは立場は入れ替わる。
    かたくなに信仰を貫こうとし、それ以外を否定するモアと、実際のところ何も信じてはいないクロムウェル。
    個人と信仰はどちらが貴まれるべきなのか。ヒラリー・マンケルは冷ややかに問う。

    アン・ブーリンはこの物語の幕が下りた後に断頭台に消える。そして次の王妃になったのは、クロムウェルが密かに思いを寄せた女性、アンの侍女であったジェーン・シーモアだった。
    アンの時代、シーモア家は近親相姦というスキャンダルから、「ウルフ・ホールー狼の(ように野蛮な)館」と呼ばれ蔑まれた。
    けれども最も節操なく近親相姦がはびこった獣の巣窟だったのは、何を隠そうヘンリーの宮廷だ。

    クロムウェルも、その後4番目のお妃選びの際での失態がもとで断頭台に送られている。彼を苦しませるために、王はあまり経験のない処刑人を選んだとまで言われた。

    「肉を食べ飽きた犬は、骨までしゃぶりつくすはらぺこの犬にとって替わられる。名誉で太った人物が去れば、痩せた男がやってきます。」
    この歴史劇は、リベンジとリピートの物語ともいえるだろう。だがどこか滑稽で乾いている。

    最初はノンストップで読み通し、その後すぐにじっくり読みかえした。この本は最初よりも二度目に読む方が面白いのだ。
    本当の登場人物は、幸運、自由、基準、偽の外見、追従的暴言、償い、堅忍...といった者たち。
    苛烈な時代の悲劇は、悲劇としてではなく滑稽さをもって描かれる。
    これはこの独特の文体によるところが大きい。柔らかで捉えどころがないようでいて、これ以上ないほど堅実。
    訳者は『レクイエムの夜』の宇佐川晶子さん。名訳だと思う。

  • 発売当時、欧米で大きな賞を総なめにしたという話題の書。これも長らく積ん読だったもの。16世紀のイギリスを舞台に、王妃との離婚を望む国王ヘンリー8世、議会、教会・教皇、貴族たちの思惑や陰謀を、トマス・クロムウェルの視点から描いたもの。登場人物が多すぎて最初はとっつきにくいが、書評にあるようにどんどん引き込まれる。500年も前の歴史小説であれが、人間臭さは現代と変わらず、そこが面白いのかも。

  • あちこちで評価の高い『罪人を召し出せ』に手を出す前に、こちらを…とわくわくと読み始めたのに…なぜだろう。読み進めない。
    前後脈略なく「彼」と出た場合は主人公のクロムウェルを指すのだな、と理解したのはしばらくしてから。時間も突然行ったり来たりするので、いま自分がどの時代の場面を読んでいるのか、なかなか入り込めない…。
    で、図書館で延長に延長を重ねたが、とうとうどうしようもなくなった。やむなく一度返す。でも、近いうちにリベンジするつもり。絶対、面白いに違いないオーラは放っているんだから。
    今度は上下巻いっぺんに借りないよう気をつける。

  • 映像化されると聞き読みました。
    歴史物は登場人物が沢山出てくるので、文字だけだと誰が誰だかわからなくなりますね。
    1つの作品に違うトマスが大量に出てきて混乱したので映像化がたのしみです。日本にも来て欲しい。

    トマス・クロムウェルが叩き上げの人なのにどこかひょうひょうとしているのでくすりとしてしまいます。

    映画のブーリン家の姉妹を観ていたのが助かりました。

    誰がどういう状況なのか理解できたら面白い作品だなと思います。
    ヘンリー八世の時代を基礎知識として知っていないと結構きつい作品だなぁと思います。

  • 翻訳が悪いというか、原文の雰囲気を残そうとしているせいで、非常に読みにくい。ヘンリー8世時代のの歴史知識も要求するので、読み進めるのが疲れる。原文で読んだ方が楽な
    気がする。

  •  読まなくても良かった。ちょっと、読む前に、もっと、きちんと、エゲレスの
     歴史を復習しないと、いけなかったと思う。下巻は、数年後。気が向いたらで
     良いと思う。

  • 『怪物はささやく』の冒頭に、ヒラリー・マンデルの『愛をめぐる実験』が引用されていた。

  • 14世紀イギリスが英国国教会をつくる経緯を、王の腹心トマス・クロムウェルの立場から描いた小説。宗教弾圧のための処刑の残虐さはショッキングです。

  • 16 世紀イングランドを少し勉強してから読むと良いな。
    中世の宮廷、宗教、政治って結構怖い。
    だから物語の素材として魅力的なんだろうが。

    2009 年 ブッカー賞受賞作品。
    2009 年 全米批評家協会賞受賞作品。

  • クロムウェルって誰だっけ?
    はるかかなたの記憶の中に、聞いたことがあるようなないような名前。この機会に知ってやろうじゃないかと読んでみた。

    しかし・・・。
    まず開いたらお約束どおりの人物紹介がある。次のページも、その次も・・・延々なんと7ページ!(しかもやたらトマスだらけ)やっと本文かと思ったら、見開きドーンと詳しい家系図が・・・。
    この段階でかなりくじけておりましたが、一度手にしたら読みきりたい方針なのでとにかくチャレンジ。

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ウルフ・ホール (上)の作品紹介

16世紀のイギリス、ロンドン。息子が生まれないと悩む国王ヘンリー八世は、王妃との離婚を願う。しかし、教皇の反対により、一向に離婚協議は進まない。トマス・クロムウェルは、卑しい生まれから自らの才覚だけで生きてきた男。数カ国語を流暢に話し、記憶力に優れ、駆け引きに長けた戦略家だった。仕える枢機卿の権勢が衰えていくなか、クロムウェルはヘンリー八世に目をかけられるようになるが-16世紀のイギリス宮廷を、希代の天才政治家クロムウェルの目から描いた興奮の歴史大作。ブッカー賞、全米批評家協会賞、ウォルター・スコット賞受賞。

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