開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド)

著者 :
  • 早川書房
3.95
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  • (9)
本棚登録 : 1730
感想 : 330
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152092274

作品紹介・あらすじ

18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室から、あるはずのない屍体が発見された。四肢を切断された少年と顔を潰された男性。増える屍体に戸惑うダニエルと弟子たちに、治安判事は捜査協力を要請する。だが背後には、詩人志望の少年の辿った稀覯本をめぐる恐るべき運命が…解剖学が先端科学であると同時に偏見にも晒された時代。そんな時代の落とし子たちがときに可笑しくも哀しい不可能犯罪に挑む。

感想・レビュー・書評

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  • やっと読めた~!ずっと読みたかったけれど、ちょっと読みにくそうなイメージだったのと、図書館で借りて二週間の間に読み切れるか不安で…いつも手に取っては本棚に戻すを繰り返していた本。やっとやっと読むことができました。
    18世紀のイギリスを舞台に、解剖学を学ぶ若者たちと殺人事件が絡み合い、全く思っていなかった真実に到達した時には思わず息を飲んでしまった。主従関係というか、恩を忘れない気持ちというのは良いものだ。物語の結末としては少し切なかったが、これって結構ハッピーエンドかも。

    • taaaさん
      まっき~♪さん

      コメントありがとうございます(^-^)

      読みましたよ~頑張りました!
      勇気を出して借りてみて良かったです。
      ...
      まっき~♪さん

      コメントありがとうございます(^-^)

      読みましたよ~頑張りました!
      勇気を出して借りてみて良かったです。
      読み始めると結構面白くて、
      どんどん読めちゃうので
      心配は杞憂だったなと(^_^;)

      また、まっき~♪さんの感想も
      楽しみにしています(*^^*)
      2014/12/09
  • 解剖医ダニエルと盲目の治安判事ジョン、詩人志望のネイサンの3人の視点から語られるミステリー。それぞれの暮らしや18世紀ロンドンの生き生きとした描写と、どこが着地点か最後までわからない謎に引き込まれた。グロテスクな描写も多かったけど面白い!皆川ワールドを堪能。

  • 18世紀、ロンドン。
    外科医で解剖教室を主催するダニエルが、違法に入手した妊婦の屍体を解剖しようとしていたところに、取締りの役人が踏み込む。
    秘密のからくりで難を逃れたかに思われたが、直後に治安判事の娘に踏み込まれたところ、隠した屍体とは別の四肢を切断された少年の死体が見つかる。そしてさらにもう一体の顔を潰された死体が…


    皆川博子さん、初読。
    たまたま図書館で、美しくグロテスクな表紙のイラストにつられて手に取った。
    先進的すぎて異端の存在であるダニエルとその個性豊かな弟子たちの、愛情あふれるとぼけたやり取りが、セリフの多い喜劇のよう。
    そして盲目の治安判事と、その娘で男装の麗人の活躍もまた、何とも魅力的。
    そして殺人事件の解決、ほろ苦い幕切れ。

    猥雑で退廃的な時代の空気の中で繰り広げられる謎解きは、あまり他で感じたことのない面白さだった。
    続編もあるそうなので、この空気を忘れないうちに読んでおこう。

  • 題名がわたし好みすぎて、楽しみに読みました。途中まで名前がややこしかったけど、それぞれの特徴もあってだんだんと登場人物達に愛着がわいてきました。グロいシーンや残酷な描写もあったけど、ダニエルと弟子達の存在にホッとさせられた。

  • キャラクターの魅力、舞台の雰囲気、ミステリーとしての面白さ、全て期待以上だった。お人好しの天然マッドドクターのダニエルとか、男装強がりっ娘のアンとか超萌えるし、盲目の判事もアクロバティックな思考の一切入らない、超堅実な探偵ぶりで最高。作者が80歳とは思えない感覚の若さ。ただ感嘆するばかり。

    ラストシーンでダニエルが2人からの質問の答えを思い返して後悔するくだりは、まさに「その時になってみないとわからない」という返事が率直なものだったことの証明とも言える。エドは父を失った悲しい事件から、ナイジェルは直接描かれはしないけれども<薔薇亭>での行動などから、2人とも満たされない思いや世の中と相容れない感覚があったと思われる。だからこそ、ダニエルの飾ることを知らない率直な態度と言葉が特別に響いた。そして、「そのとき」になっても自分たちを愛してくれることを確信していたんじゃないだろうか。
    あのシーンはダニエル視点で書かれているからああいう表現になってるけど、ダニエルは天然さんだから、十分に愛を伝えられなかったと勝手に後悔してるだけで、2人は本当に晴れやかな気持ちで去れたんじゃないかと思う。

  • 18世紀の退廃的なイギリスが大好きな私にはとんでもないご馳走でした…。
    ミステリーもシリアスなのにどこかコミカルで気づいたら読み終わっていた。心地よく読めます。

    終わらないで!!と思いながら読んだ本は久しぶりでした。本当に面白かった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「18世紀の退廃的なイギリスが大好き」

      続編の「アルモニカ・ディアボリカ」は読まれましたか?
      「18世紀の退廃的なイギリスが大好き」

      続編の「アルモニカ・ディアボリカ」は読まれましたか?
      2014/03/11
  • 18世紀ロンドンの、解剖医とその弟子たちの物語。

    登場人物たちの思惑が複雑に絡み合い、読者から真実を遠ざけます。

    読んでいる最中、もしかしたらこうかな?という推測はいくつも浮かぶのですが、なかなか真相へ辿り着くのは難しかったです。

    当時司法という存在はあってなきが如し、むしろない方がよいのでは……と言いたくなるくらい有名無実化していて、あらゆる裁判も、エドを駆り立てた出来事も本当に哀しい。
    白い目で見られていた解剖学のみならず、古いイギリスの時代背景が興味深かったです。

    わたしも小悪魔なナイジェルの虜の一人となってしまったのですが、彼の正体が気になります。

  • ロンドンに浸れた。

  • 盲目の判事の存在が巧みだなと思った。犯人の表情で確認できないだけに、聴覚と触覚を駆使し言葉の裏を読むという経験を読み手もなぞっていく。そして助手の言葉による現場の説明を、私も一緒になって聞き頭の中で状況を整理していった。
    最後までどうなるか分からない展開に引き込まれ、すべてが怪しく見えてきて楽しみながら読んだ。登場人物の名前や時代背景が頭に入りだしてからはあっという間だった。
    死のにおいを漂わせながら、賢く美しい青年たちの思惑通りにすべてが進んでいたのが良かった。

  • 最後の最後まで分からないストーリーは面白かった。文体のせいか読み進めるのに時間がかかった。会話があまりに淡々としているせいか。時代設定や人物はとても好み。

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著者プロフィール

皆川博子(みながわ・ひろこ)
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、『恋紅』で第95回直木賞を、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。

「2023年 『天涯図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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