偶然の科学

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制作 : Duncan J. Watts  青木 創 
  • 早川書房 (2012年1月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152092717

偶然の科学の感想・レビュー・書評

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  • 「モナリザ」がなぜ世界的に有名な作品となったのか?→それはモナリザが最も「モナリザらしい」作品であるからだ。

    シェイクスピアがなぜ著名な作家となったのか?→それはシェイクスピアの作品が最もシェイクスピア的な要素を持っているからだ。

    一見なんの事だか分からない記述だが、要は何がヒット商品の決め手となるのか、何が有名になるための要因だったのか、等は調べてみても合理的に説明のつく事は見つからず、「偶然そうなった」の一言で片付いてしまうのではないか、という事。
    考えてみれば、成功したビジネスの要因も後付けで説明されているのが常で、じゃあ次も同じことが成功になるかというとそんなことは無い。そもそも成功した環境が何度も用意されているわけではなく、歴史は常に変化しているので、全く同じ環境が二度とそろうことは無い、と考える方が無難。

    最近仏教系の人生論もよく読むが、未来を自分で作り出そうとするのではなく、起こる現象をありのままに受け入れる、ということが人生では重要な気がしている。そんなに未来を変化させられるような力は人間には持たされていないのではないかと。

  • 世の中の出来事は複雑に絡み合っており、起きたことすら因果関係をきちんと説明することは事実上不可能なのに、将来の「予測」なんてできるはずがない、ということを様々な観点から主張する本。仕事では将来予測という茶番が避けられないこともあるかもしれないが、自分が生きていく上では、将来に関する言明は何も信じない方がよい。
    本書では、「歴史を学んでも役に立たない」という主張が繰り返されているが、これは将来予測の役に立たないという意味であり、その他の効用については言及されていないことに注意すべきである。たしかに史実を丹念に調べたところで将来を確実に見通すことは不可能だが、一般人の常識的な感覚では「考えもしないこと」が実際にはいくらでも起こりうる、ということを歴史は教えてくれる。たとえば、国を失った民族が筆舌に尽くしがたいほどの悲惨な目に会うかとか、通貨の価値が一瞬にしてゼロになるとか、無実の人間が権力者に捕えられて財産を没収されるとか、一族郎党皆殺しとか、そんな史実は掃いて捨てるほどある。近未来の日本だって、このようなことが起きないという保証はない。本当に注意して生きないとね。

  • 「マートンの言葉は正しい。社会科学はいまだに自分たちのケプラーを見いだしていない。しかし、アレクサンダー・ホープが人間の適切な研究課題は天井ではなくわれわれの中にあると説いてから300年後、われわれはようやく望遠鏡を手に入れたのである。

    さあ、革命をはじめるとしよう...」

    え〜っ!!
    その革命の本だとおもったのに。
    現実は甘くはないということを思い知らされました。
    自分で考えないとね。

  • 複雑系の話とハロー効果と社会哲学のお話。
    どの分野も一冊づつ読んだことがあるが、以前読んだ本がくれた考察にプラスαされていた。
    しかし邦題の「偶然の科学」は誤解を誘う。
    タイトル通りの内容を期待していたので肩透かしを食らった(それでもおもしろかったけど)
    原題に忠実に「すべては自明ー答えを知ったならばー」にする方が良かったと思う。

  • 『偶然の科学』という題名にはわくわくせざるをえない。
    偶然と思われていた現象が科学で証明できたのかもしれない,あるいは科学の大発見は偶然に見つけられたものなのかもしれない,,,
    ところが題意は期待に反し,「偶然が偶然であることを科学で証明する」という極めて地味なものである。この邦題はいささか誤解を与えやすい。
    しかし「偶然が偶然であることを証明する」ことは意外に難しい,それこそが新鮮な驚きである。

    我々は常に常識と直感を重視し,感覚でものごとを捉えがちである。
    天気予報はあたらない,あの人は優秀で勤勉だから成功した,大きな原発デモが起きるのも無理はない,飲酒運転は最低だ,,,
    主観的な直感やあやふやな情報が,論理や判断をかくも容易に決定している。その感覚を疑うことこそが必要であると著者はいう。常識や直感,感覚,つまりは自分を疑い,ものごとをフラットに観察し判断する力,つまりは客観的になる力,“客観力”こそが今求められているものなのである。
    それを説明するために,多くの論文引用や実験結果を論理的に組み立て,わかりやすい比喩を多用しながら展開していく文章は魅力的だ。社会学と世の中の多様な現象の関わりについても良く理解できる,様々な分野の人にオススメしたい一冊。

  •  ミルグラムの追試をeメールでやった結果、同様の結果であったが、中心となるような人やハブとなる人はいなかったという結果が丁寧に書かれていた。また、後追いで原因を求めることを歴史にも応用していることは面白い。また経営者の神話で賃金と仕事の出来が関連するということはその通りである。
     ネットワークについて卒論を書こうとする学生は一度は読んでみていいと思われる。

  • 【偶然】あるイベントが発生した時に、多くの人はイベント前後の物語を作りたがる。その内容が論理としてきれいであればあるほど、人々の記憶にその物語は残っていき、長い間伝承されていく。しかし、その物語は本当に意味を成しているのだろうか?偶然でしかないことをさも意味があるように飾っているだけではないのか?本書はそういった疑問から偶然そのものに関して掘り下げていっている。

  • 「予測」というのが世の中にあって、それが何の頼りにもならないことは、リーマンショックや東日本大震災で明らかだ。

    もう一つは「解釈」というのがあって、過去に起きたことを分析し、意味づけをする。
    けれど、それは起こった後になって「原因はこれだ」という解釈をするだけのことで、その原因があったら絶対にそれが起こるわけではない。つまり、解釈をしてもほとんど意味はないのだ。

    本書では、「偶然」をテーマに「未来の予測」と「過去の解釈」という手法を否定する。
    その対案として提示しているのは、起こっている「現在」にリアルタイムに対応することだ。
    つまり時間幅を短くすることで「偶然」が入り込む余地を少なくすることが、効果的なのである。

    この観点からは、いわゆる「PDCAサイクル」のうち、「Plan」と「Check」が否定されているように読める。
    しかし、そのサイクルの回転を早くすることで、やはり偶然の入り込む余地を少なくすることは可能だろう。

  • その結果をもたらした理由はどういう論理なのか。いくらもっともらしい説明をつけても、どこか偶然に左右されている部分があり、結果を知っているが故の後付け解釈的なものにしかならない、というお話。

    モナリザが芸術的価値が高い理由を説明しようとすると「モナリザ的要素が備わっているから」ということになるというところがおもしろかった。ハリーポッターもしかり。

    こういうメタ認識の議論は話が難しくて、6割くらいしか内容が理解できなかったが、言ってることはなるほどと思う。『ヤバい経済学』、『ブラック・スワン』、『予想どおり不合理』、『これからの正義の話をしよう』と名だたる行動経済学、社会学の本にも言及しておりよく練られた主張なのだと思う。

    こういう本を読んでしまうとどこかの成功した会社の経営論とか読んでも空々しい気がしてきてしまいそうだ。

  • まだ内容を消化しきれてないが…

    未来の予想はできないから、戦略のパラドックスがおきる
    優秀な戦略が成功するか失敗するかは、すべて最初の展望がたまたま正しいかどうかにかかっている
    インターネットの普及が社会の測定と実験を可能にし、その結果(おそらく単純な事象の)未来予想はできるかも

    冷静に考えて見ると、地球上の生物はそもそも予測不可能な環境変化に対応してきた結果なのだから、存在自体が予測不可能で必然性はどこにもないのだと思える
    それが予測可能になるためには、環境そのものの現状を完全に把握し、その変化が予測できるようになった時だと思う
    すなわち、当面は不可能だと言うこと

    予測可能になることは、生物が効率よく活動するために有利になることであり良いことだが、予測可能な事象と、不可能な事象をはっきりと切り分けて、予測不可能な事象に関しては別のアプローチをしなければいけないということを認識することが重要なんだと思う

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偶然の科学の作品紹介

この世界は私たちの直感や常識が示すようには回っていない。人間の思考プロセスにとって最大の盲点である「偶然」の仕組みを知れば、より賢い意思決定が可能になる-。あのスモールワールド理論の提唱者が、いま最も注目される複雑系社会学の真髄を説き尽くした話題の書、待望の日本語版。

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