偶然の科学

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152092717

感想・レビュー・書評

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  • 未来は偶然の産物であり、ある程度までは予測の確率をあげることはできるが、予測をしようとするのは難しいことをいろいろな観点から述べている。歴史でさえも解釈の後付けがついて回り、参考にして未来を予測しようとすることは慎重にしたほうが良い。ひどければ、単なる固定観念で解釈してしまう可能性さえある。偶然という要素をしっかり捉えたうで、予測・計画をしていくべきということが勧められている。


    以下注目点
    ・常識に過大な信頼を置かない。
    ・デフォルトの設定が、我々の選択に大きな影響を及ぼす。

  • 未来は予測できない、歴史上のできごとも偶然以上の説明ができない、的な。

  • ヤフーリサーチ研究員であり社会学者であるダンカン・ワッツ氏の著作「偶然の科学」を読了。買ってから随分たっているので内容が既に過去の物となっているかと思ったがまあ社会学に関しての考察なので古くはなっていない気がした。社会科学の必然性・偶然性を踏まえ、本当に将来を予測することができるのか、出来ているとするものの実体の脆弱性を指摘し、基本社会的事象に関しての予測はいかにビックデータを使おうと現時点では難しいというのがこの本の根底にあり、良く我々が支配されている情報によって作られた「常識」による予測、計画というものがいかに無意味な物かということを様々な事例を持って思い知らせてくれる本だ。現時点では賢い意思決定は現時点ではアパレルブランドZARAが行っているような現状を測定しその結果を実験しそれに基づき意思決定していくことがネット社会では確実だとの論だ。鵜呑みには出来ないがいまいちど自分のなかの「常識」を疑ってみようとは思った著作だった。一読の価値はありだと思う。

  • 社会学、というジャンルについて、そこに含まれる不確実性を主題としています。
    世の中に常識として考えられる多くのアイデアが、実はきわめて限定的な条件のもとで成り立つ合意であり、必然的な因果関係として扱われる多くの事象が実は偶然としか言えないほど不確定な要素に左右された結果である、という事実。
    そして、『科学』としては未熟に思われがちな社会学においても、ビッグデータの時代に定量的な分析が進む一方、どこまでいっても、物理学のような絶対的な学問にはならない、ということが強調されます。
    それでも社会学は続く学問である、ということは述べられています。社会のあり方を問う社会学とは、ある意味で人間の本能的探究心に基づいているのかも。おもしろい学問だなあと思えます。

  • ⚪︎⚪︎の科学という本を何冊か読んでいるがどれも自明のことが小難しく書いてあるだけで何ら新しい面白い発見が書いてあるわけでもない。

  • 「スモールワールド現象」を証明したことで著名な社会学者の最新刊。世に溢れる「予測」や「計画」や「戦略」は、作り手の「常識」によって「偶然」の要素が捨象されるため、失敗する確率が高くなる。逆に、偶然成功した計画や戦略も、結果論的に「成功の要因」が特定され、それを「学習」した人々の「常識」がさらに強化される。

    著者は、自然科学のように明確な「法則」に基づいて結論が得られる世界と異なり、社会とは一人ひとりの「人間」が有する必ずしも合理的とはいえない感情等の要素が複雑に折り重なって構成されているものであることから、経済予測やビジネス戦略は、宇宙工学のような分野よりも実は難易度が高いのだと主張する。

    従って、ミンツバーグが提唱する「創発的戦略」のように、「現在」を的確に「計測」し、迅速に「対応」することこそが重要であり、その意味では、WebやSNSの発展は大きな機会となっている。また著者はそのような機会を最大限生かすことで、自然科学がたどり着いたような普遍的な法則を、社会科学の分野でも発見できると考えており、一つの着眼点が壮大な知の営みへとつながっていく。

  • 新進気鋭の社会学者のネットワーク社会学といったところか、1998年にIts small world.の理論証明は現在のSNSの社会を予想した素晴らしい回答だと思います。こういった若手の研究者が社会理論をSNSを使って証明していくんでしょうね。とにかく面白い一気に読めました。

  • 本書で参考文献として上げられている「予想通りに不合理」「幸せはいつもちょっと先にある」を既読の上で本書を読んだ。
    比べてどうかと言えば本書は企業向け・政治向けの話が多くてそこが退屈だ。私は社長ではないし政治家でもない。

    本書が強調するのは常識の役立たなさと偶然の多さ。
    偉人がアメリカで好まれるのは代表的個人に語らせたがることとハロー効果によって一人の人物の功績が多大に評価されるとある。
    累積的効果によって些細な違いな莫大な差を生む。人間は大きな差があればそれに相当する大きな原因を求めがちという常識に反して、これは事実なのである。

    楽しく読めたところもあるがつまらないところもあった。翻訳は固い。まどろっこしい。もっと省略して書けたと思われる表現が多多ある。

  • ○コロンビア大学社会学部教授のダンカン=ワッツ氏の著作。
    ○社会科学の必然性・偶然性を踏まえ、本当に将来を予測することができるのかなどについて、論じたもの。
    ○「常識」というものが、こんなにも自分自身を支配しているということが、様々な根拠により明らかにされるなど、読んでいて“ハッ”とすることが多かった。
    ○特に、ソニーやアップルの例などを引用しつつ、成功はあくまでも「偶然」。未来を予測するのではなく、現実を測定し臨機応変に柔軟な対応を行うことこそが、重要であるという点が、一番印象に残った。

  • 予測を立てるのは無理、リアクションをよくすることが未来に対応する方法ということか。

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