解任

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152092915

感想・レビュー・書評

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  • 企業に勤めていれば、1つや2つ知りたくない事実を知ってしまい、それを呑みこんでおくか、吐き出すか迷うものである。

    もし自分が、著者と同じくらい重大で悪質な会社の事実を知ってしまったら、著者と同じ行動を取れるか、という観点で読むと、非常に勇敢で正直で正義の塊のようでその異質な信念の強さを持ち合わせてなきゃ無理だろうと思う。そして、その欠片程度しか自分にはないな。

    企業人たる者は、会社にとって正しいことをすべきであり、その結果が社会貢献であり、利益の追求である。著者の行動が会社にとって正しいのかどうかは、これからのオリンパスにかっかっている。

    カメラも作っているメーカーだけに、将来へのピント合わせが大切ね。

  • 詳細なレビューはこちらです↓
    http://maemuki-blog.com/?p=9786

  • 組織のもつパワーの脅威を感じた。また多少おおげさな表現もあるのだろうが、マイケル氏の正義感と責任感、勇気はすごい、と思った。

  •  元オリンパス社長マイケル・ウッドフォード氏のインタビューを見て、内部告発に至った経緯を自ら著した「解任」を今さら衝動買い。社長解任動議のあった取締役会直後から日本を離れるまでの描写など非常に生々しいものでした。菊川元会長などオリンパス重役たちの言動も、かなり冷静に分析されていて、それだけに何故彼らがあの様な行動に出るのか理解できないという、当時の動揺や混乱が窺えます。

     巻末に、ウッドフォード氏の協力者だったオリンパス元専務の宮本耕治氏が文章を寄せており、そこに書かれていたキーメッド社創業者レディホフ氏のウッドフォード氏を評した言葉がリーダー論として強く印象に残りました。
     引用すると「企業は間違ったことをやらないこと、正しいことをやりとおせることが大切になる。グッドナンバー1とグッドナンバー2の差は、この点に関するスタンスの強靭さの差である。修羅場に臨んでも、絶対に揺るがない強靭な軸を持つこと、これが経営トップに求められる最大の資質だ」。ウッドフォード氏は20代でキーメッド社社長に大抜擢され、さらにその後、親会社のオリンパス社長となるわけですが、まさにここで言われたとおりの人物であることを証明し続けて、結果、会社から弾き出されてしまいました。どう考えても、おかしい話です。
     このような高潔な人物を受け入れることが出来ないというのが、果たしてオリンパス一社だけだったのか、日本における組織というものの在り方自体に問題があるのではないか、と思うと気分が暗くなります。


     個人的には、ウッドフォード氏の復帰を頑なに拒み続けた人たちの本音に興味があるんですが、こればっかりは当分は分からないんでしょうね。会社に対する間違った忠誠心と、とにかく臭いものに蓋をして次の経営陣に回してしまいたいという責任回避の気持ちはあっても、ウッドフォード氏個人に対する悪意はなかったんだろうと思うんですが…それだけに罪悪感もなかったんだろうなぁ…

  • 例のオリンパス元CEOウッドフォード氏の手記である。英の販売代理店経由とはいえ、オリンパスグループ内の生え抜きだった同氏が日本人取締役たちの手によって解任を受ける始終とその後の委任状争奪戦、そして社長復帰をあきらめる本年3月の時点までの出来事がヴィヴィッドに記されていた。メガバンクからの新社長を抱えて再出発となったオリンパスの事は心配していないという。大笑いしたのは、「何千という優秀な技術者を抱えており、トップがそれほど有能でなくても、それなりの成果を残せるポテンシャルがあります。」の一文。髙い能力を持つ製造業の一つの代表のオリンパス、そして更なる成長と改革の可能性を持つ日本への愛情にあふれた手記でもありました。

  • It's a typical Japanese company's organization or Asian style or everehere in the world, isn't it? If I were him, can I do it? 这是日式公司的意思吗?我会要他的意思吗?

  • GWに読書。ウッドフォード前CEOの内部告発の是非よりも、ビジネスマンとして、自分の身の回りは清廉潔白でいたいと思った一作。
    内容として、著者以外の客観的事実が記されていないので、オリンパス事件の真相を知りたい方には少し不満な内容。

  • ウッドフォードさんは本当に反社会的勢力が怖かったんだな、ということが伝わってきた。それ以外は報道やインタビュー記事以上ではなかったのが残念。自分がこの立場だったらどうするか、うーん。

  • 250ページくらいの内容ではあるが、約2時間くらいで読めた。昨年の下期以降世間を騒がせたオリンパス問題。マスコミで色々な報道があったが、当事者の外国人社長の言い分も理解しておこうと思い、購入した。
    彼が何を見て、何を知り、どのような行動をしたのか、そしてそれは何のためか、新聞やテレビの感情的な報道ではなく、オリンパス内部の事実をしりたい思っていたのだが、内容は残念ながら、マスコミ報道と同じレベル。結局のところ、彼はFACTAという雑誌の記事を読んで、それについて、当時の会長・副社長に直談判したが聞き入れられず、その後も、ただ騒いでいていただけであることがわかった。オリンパスの社長であれば、オリンパスの為にやるべきことは、会長・副社長に対し将来のマスコミへの発表用に手紙を書いたり、社外の会計事務所に資料を持ち込んだりするのではなく、粘り強く、周囲を巻き込みながら、事実関係を把握し、大ごとにならないように会長に引導を渡すのが経営者であると思う。しかし、この本を読んでわかったのは、彼は一人で正義感を振りかざし、個人的な感情でつぱっしっただけである。
    正直、自分が購入したことでこの男に印税が入ることすら嫌悪する感情が残った。なぜ最近の日本では、こういう本当の責任感のない、正義感の身を振りかざした人間が救世主扱いされたりするのだろう・・・

  • 読了。
    うーん、と考えさせられます。
    特定の企業がどうとか、同社の旧経営陣の個人がどうとかいうよりも、日本企業のガバナンス体制の問題として。
    まさに、ドラッカーがリーダーの条件の第一として挙げている「Integrity」というのは彼のような思考・行動のことを言うのだろうな、と思います。

    「未来」と題された最終章第17章の著者からのメッセージと、巻末に収録されているオリンパス元常務の宮田耕治さんの「マイケルのこと」が特に心に残ります。

    ※ 現オリンパスの英国子会社であるキーメッドのレディホフ氏による「グッドナンバー1とグッドナンバー2の違い、グッドナンバー1に不可欠な素質」に関する宮田氏とのやりとりの説明は秀逸。秀逸過ぎてそこだけ引用するのはヤボなのでしません。(笑

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