黒猫の接吻あるいは最終講義

著者 :
  • 早川書房
3.64
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本棚登録 : 747
感想 : 112
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152092977

作品紹介・あらすじ

黒猫と付き人がバレエ「ジゼル」を鑑賞中、突然ダンサーが倒れた。 五年前のバレリーナ死亡事件と繋がるようだが、黒猫は関わるなという。事件と黒猫の関係が気になる付き人は、一人調べ始めるが……

第1回アガサ・クリスティー賞受賞作『黒猫の遊歩あるいは美学講義』の続編です!

感想・レビュー・書評

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  • 2作目と知らずに読んでしまいました。特に続いているお話ではなかったので問題なく読めました。

    バレエを題材にしているのですが、芸術に対する考察が難しく感じて入り込むことができませんでした。
    自分には向いていなかったようです。
    時間をおいて機会があれば、このシリーズの別の作品を読んでみようと思います。

  • 黒猫シリーズ第二作!
    第一作の「黒猫の遊歩・・・」よりも、長編でしかも読みやすい。

    バレエの「ジゼル」について書かれていて、バレエのことを全く知らない私でも何とか読めました。少し、知っていた方がより読みやすいのかもしれませんが。

    バレエ「ジゼル」を「黒猫」と「付き人」で鑑賞中、ダンサーが倒れる事故があった。
    5年前にも同じ舞台、同じ演目でバレリーナが死亡する悲劇が起きていた。
    その事件の謎を解くために、黒猫の手を借りずに付き人だけで調べていく。
    しかし、黒猫が亡くなったバレリーナと同居していたことに動揺する付き人。


    恋心を抱く付き人、黒猫も彼女(付き人)のことが気になっているのかどうか分からないが、あっさりした恋愛でまたそれが魅力的。


    事件も気になるけれど、二人の関係がどうなっていくのかが、魅力な第二作目でした。

  • 黒猫シリーズ第2弾(発売から言うと、間に1冊あるらしい…)。第1弾が短編集だったので、そのままの流れかと思いきや、まさかの長編。バレエ演目の「ジゼル」に沿った5年前の主役の不審死と、同じ演目を演じることになったプリマを巡るミステリー。頭を切り替えながら、読まなければならない短編と違い、文章の癖も分かってきて、一気読み。とにかく「美学」に則り、謎を解決していくところから、犯人の動機に寄り添えない部分はあるけど、黒猫と付き人の話として読めば、結構面白い。続けて読むことは決めているけど、2作目にして黒猫がパリに行ってしまうことになり…この後の展開はどうなるのだろう?

  • こちらも美学。「遊歩あるいは~」の方と比べてむしろ読み易い感も。
    黒猫の過去の出来事に読み手もドキドキ。
    相変わらず、美しいの一言に尽きますが、「最終講義」なだけに完結?
    続きが気になる!是非続いて欲しい。
    登場人物たちの存在感はアレでいいと思います!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「「最終講義」なだけに完結?」
      ホームズも「最後の挨拶」が最後じゃなかったから大丈夫ですよ(勿論根拠無し)。
      「「最終講義」なだけに完結?」
      ホームズも「最後の挨拶」が最後じゃなかったから大丈夫ですよ(勿論根拠無し)。
      2012/08/22
  • 今回は長編で、しかもメインはバレエだが、しっかり美学とポーも絡めてきて、面白く読めた。文章がぎっちぎちのびっしりでないおかげで、黒猫の語る美学の講義もゆったりとした状態で噛みしめながら読めるため、比較的頭に入りやすい。そして気になる恋の行方……ところどころで掛けられる黒猫のモーションに、どうしてもにやにやしてしまう(笑)。

  • 黒猫シリーズ、2作目。前作の”黒猫の遊歩~”は短編集だったが、今回は長編となっている。前回はどちらかというとポオ作品ありきの展開だったが、今回は彼らの周りで起こる事象ありきのポオ他作品という印象が強い。しかし、やっぱりバレエ”ジゼル”がメインといえばそうなのかもしれない。また、今回は作品全体を通してこの”ジゼル”がネックになっており、事件も5年前に起きたプリマドンナの死がキーになっている。1巻目より、”黒猫”を”私”がただの腐れ縁ではなく、恋心を抱いていることを自覚しながら動いているので、読みやすくなったように思える。相変わらず、黒猫と”私”、または教授陣や塔馬との会話や推論は理解し辛いところがあるが、1作目よりは親しみやすい作りになっている。そして”黒猫”と”私”の関係性の進展もあったようななかったような。”黒猫”は分かりやすいっちゃあ、分かりやすいのかもしれないが、恋心を一方的に抱いている側としては分かり辛いだろうし、勘違いさせやすいタイプの男性なのかもしれない。今回は始終この路線は”勘違い”が起きていて、非常に楽しい。最後の最後までハッキリとお互い告白したワケではないけれど、”黒猫”は”私”の気持ちに気づいているだろうし、それを受け入れていると私は読み取っている。ただ、ストレートに「好き」という言葉を使わないのは、彼の美学ゆえなのかもしれない。それとも、”私”に出された暗黙の課題なのかも。しかし、”黒猫”の世界にとって”私”はとても重要な位置にいるのは間違いない。どうでもいい相手を自宅に招いて手作りのご飯を食べさせる…って女性でもなかなかないし、カフェで大好き?な苺パフェを自分が口をつけるスプーンで相手に与えたりって…まずないもんね。だから、割と露骨に表現しているんだと思うんだけど、”黒猫”はやっぱりちょっと変わってるから、”私”も裏を読み過ぎてるのか…”私”が鈍感すぎるのか。ベタな王道の恋愛ものが好きな人は不向きな作品かもしれない。

  • 突如誘われたバレエのついていけば、彼の友人に会うわ
    その恋人は公演を放棄してしまうわ…。
    呟かれた言葉に、5年前という言葉。
    一体何があったのか。

    気になる相手には直接聞きにくい。
    それは確かです。
    しかし相手が『彼』であっては…単刀直入の方が早いかと。
    思っていても、聞けませんけどw

    前回と違い、ネタばれはなしですし、ジゼルの解釈が色々で
    それだけでも面白かったです。
    男の勝手物語、というよりも、この時代って拍手を送りたいくらい
    男本位の世間だな、と。

    プライドが高すぎた姉妹。
    踊り疲れた彼。
    しかし、警察って、遺書で踏みとどまってくれるものなのでしょうか?

  • 前回より読みやすかった。

    そして後半のときめき要素にときめきすぎてしまった…。素敵黒猫。

    事件の真相はなるほどなと思いつつ切なかったです。

    切ないなーと思っていたら、最終章でキュンと。
    うん。嫌いじゃないです。

  • 前回の作品はポーの短編と絡めたお話が5、6篇入っていたので、今回もそういう構成なのかな、と思っていたら、今回は1冊でひとつのお話でした。

    1篇だけ、と思って読み始めたのに、気付いたら1冊読み終えていましたw

    今回はジゼルの方が目立っていて存在感は薄かったですが、一応ポーの『大鴉』も絡めてありました。

    自分は教養もないし、文章の深い意味を理解することも出来ないタイプなので、作中で引き合いに出される作品の解釈にたまについて行けないところもありましたが、とても楽しめました。

    そして、黒猫と主人公の関係!

    なかなか進展しないふたりは見ていてとてももどかしい…!

    だ が 、 そ こ が い い ! !

    ……これはこの先のお話もいずれ出るんですかね?

    タイトルに『最終講義』と書かれていたから、読む前はこれでこのシリーズはおしまい、ということなのかと思っていたのですが、読んだ感じだとまだ続編がありそうですよね…?

    少なくとも、「はい、オシマイ」という終わり方ではなかったはず。

    続編が出ることを期待して待っていよう……。

  • 若き天才美学者・黒猫と彼の付き人との、美学講義ミステリ第2弾。
    前作『黒猫の遊歩あるいは美学講義』のポオ作品の解釈や美術にまつわるあれこれが興味深かったので、本作も読んでみました。
    今回は長編です。

    バレエ「ジゼル」の上演中に、ダンサーの1人が転倒するハプニングが発生。
    その事故で思い出すのは5年前、同じ演目の同じ場面でプリマが死んだ事件のこと・・・。
    2つの事件に関係はあるのか?
    そして付き人の知らない、5年前の黒猫のことも気になります。
    「事件に関わるな」という黒猫の忠告よりも不安と好奇心が勝ってしまった付き人は、事件の調査を開始します。

    前作よりも黒猫先生の美学談義がレベルアップしていたように感じたのは、わたしだけ?
    何度か読み返した結果、「まあ、そんなものかな」と思いながら読み流してしまったところもちらほら。
    ポオ作品とジゼルと2つの事件に、だんだんとつながりが見えてくるにつれ、おもしろいと思いつつ「そんなに都合よく行くのかな?」とも思いつつ。
    でも、結局はおもしろさが勝ちました。
    特に、物語は付き人の目線で書かれているので、黒猫の解釈でガラッと美術作品や文学の色彩が変わる様を付き人と一緒に驚きながら楽しめるのがよかったです。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      2作目で長編に挑戦?
      「前作よりも黒猫先生の美学談義がレベルアップ」
      良いですね!
      2作目で長編に挑戦?
      「前作よりも黒猫先生の美学談義がレベルアップ」
      良いですね!
      2012/06/25
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著者プロフィール

1979年、静岡県浜松市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。日本大学大学院芸術学研究科博士前期課程修了。ライターとして漫画脚本などを手掛けながら小説の執筆活動を続け、『黒猫の遊歩あるいは美学講義』で第1回アガサ・クリスティー賞を受賞(早川書房刊)。同作は続刊も刊行され、「黒猫シリーズ」として人気を博している。ほか、『名無しの蝶は、まだ酔わない』(角川書店)の「花酔いロジックシリーズ」、『ホテル・モーリス』(講談社)、『偽恋愛小説家』(朝日新聞出版)、『かぜまち美術館の謎便り』(新潮社)などがある。

「2021年 『使徒の聖域』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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