ファスト&スロー (下): あなたの意思はどのように決まるか?

制作 : 友野典男(解説) 
  • 早川書房
4.16
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感想 : 101
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152093394

感想・レビュー・書評

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  • 読みやすいけど、腑に落ちる感覚があまりない。

    人間の思考について書かれているが、応用先が思いつかなかった。

    上下巻共に読むのに時間をかけすぎた。
    一気に読破すると見えてくるものがあるかもしれない。

    とりあえず寝かせて、数年後にでも戻ってきたい。

  • 下巻では、まず行動経済学として知られることになった人間の選択行動について論じられている。さらに、二つの自己として、経験する自己と記憶する自己の違い、苦痛や幸福の評価軸の違い、について論じられている。双方とも興味深いテーマである。

    第四部は経済的合理人である「エコン」に対して、系統的に誤る「ヒューマン」を対峙させる。この議論が、行動経済学の名で知られる意志決定に関する理論である。プロスペクト理論という名前でも有名で、S字を描く価値関数のグラフで知られている。人の選択において「参照点」「感応度逓減性」「損失回避」の特性を考慮すべきとされている。いったん保有するとその価値以上に手放すことを忌避する傾向「保有効果」も有名だ。

    たとえば、同じ金額であっても選択にあたっては、変化の絶対値よりも割合の方を重視するとか、得る方よりも失う方を重視するというものだ。これらは「システム1」の特質から導き出せる。期待値よりもリスクを嫌う、変化の大きさに反応する、ということが人が適者生存の過程で生き残るにおいて有利に働いたということだ。言われてみればそうだよなというものだが、慎重にデザインされた実験から導き出されたのは最近の研究からだ。この辺りの議論は、本書でも何度も取上げられているがセイラーとサンスティーンの『実践行動経済学』と合わせて読むとよいだろう。

    めったに起りそうもないことに対して過大な重みづけをすることも知られているが、「システム1」で解釈可能とされる。質問の表現の仕方(「10%が死ぬ」か「90%が生き残る」か等)で選好が大きく変化することを示したフレーミング理論も行動経済学の大きな功績とされている。

    これらの選好に関する結論だけでなく、その結果が導き出される実験についても解説が詳しい。本書が長くなっている原因でもあるのだが、非常に重要なポイントでもある。

    第五部は、「経験する自己」と「記憶する自己」の話。
    記憶に基づく評価はピーク時と終了時で決定され、その持続時間には影響されないというものである(持続時間の無視とピーク・エンドの法則)。つまり、記憶されるものは経験されたものと同じではないということである。記憶する自己自体は「システム2」の産物かもしれないが、その快楽の評価は「システム1」から来るものである。それは記憶というものが何のために進化の過程で獲得されたのかをも示している。

    まとめると、これらのことを「システム1」と「システム2」という仮説モデルにて説明したのが、本書である。ある分野の活性化など脳神経学の知見にも一部言及されているが、今後より具体的な研究が進む分野となるだろう。コールドウェルの『価格の心理学』でも参照されているが、実際のビジネスや政策にも適用される分野で広がりが期待できる。

    改めて、細かいところは飛ばしてもいいので、読むべき本。

  • 心理学者にしてノーベル経済学賞を受賞した著者が、直感的・感情的な「速い思考」と、意識的・論理的な「遅い思考」の比喩をたくみに使いながら、人間の意思決定の仕組みを解き明かす。下は第3部第22章〜第5部を収録。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40176573

  • 人間の認知選択の特性はこの本を読んでおけば事足りるのではないかと思えるくらい網羅的に書かれている。
    プロスペクト理論により選択を間違えることはかなり多そうなので、計算に基づいた選択をするように心がけていこう。

  • 展示図書 思考力フルスロットル!!! 
    「考えを学ぶ」「考えを鍛える」「考えを描く」図書
    【配架場所】 図・3F開架
    【請求記号】 141.8||KA||2
    【OPACへのリンク】
    https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/volume/379927

  • 面白い本だった。
    人間のシステムと傾向について、意思決定の側面からの考察が興味深かった。

  • 感想は上巻に同じ。

  • ・結論だけでいいんちゃうか

  • 認知について学べる。が、やや常識的になりつつある話かもしれない。

  • 直感的に働くシステム1と、熟考するシステム2という人間の意思決定について書かれた本。直感であっても、プロが下すものや長年の経験があれば正しく判断できたりするなど、システム1も侮れない。
    より広いフレームで考えること、なるべく多くの選択肢を比較して決定することが大事。そうでないと「見たものがすべて」になり、狭い選択肢で判断してしまうことになる。
    本書でプロスペクト理論と確率決定加重の、行動経済学にこける2つの重要な考えが出てくるので、是非読んでいただきたい。

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著者プロフィール

心理学者。プリンストン大学名誉教授。2002年ノーベル経済学賞受賞(心理学的研究から得られた洞察を経済学に統合した功績による)。
1934年、テル・アビブ(現イスラエル)に生まれへ移住。ヘブライ大学で学ぶ。専攻は心理学、副専攻は数学。イスラエルでの兵役を務めたのち、米国へ留学。カリフォルニア大学バークレー校で博士号(心理学)取得。その後、人間が不確実な状況下で下す判断・意思決定に関する研究を行い、その研究が行動経済学の誕生とノーベル賞受賞につながる。近年は、人間の満足度(幸福度)を測定しその向上をはかるための研究を行なっている。著作多数。より詳しくは本文第2章「自伝」および年譜を参照。

「2011年 『ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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