オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下

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制作 : 大田直子  鍛原多惠子  梶山あゆみ  高橋璃子  吉田三知世 
  • 早川書房 (2013年4月4日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152093677

オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下の感想・レビュー・書評

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  • 本著はアメリカ現代史を権力に対して批判的な観点で描いたもの。詰まり歴史を教科書的には触れられていない側面から考察しているところに面白さがある。
    特にアメリカという国は自由を標榜する啓蒙主義的な側面と産業資本・金融資本を背景とした実利主義的な側面の両面があり、それを意識しないと国家の在り方を正しく理解できないのだと思う。

    本編は主に第一次世界大戦から第二次世界大戦までをテーマにし、特に最後は広島、長崎への原爆投下の深層について明らかにしていく。
    原爆投下不要論は既論評として認識していたが、過去の歴史を遡ってみるとその納得感も高まる。
    日本人は自国のこととして様々な観点を理解しておく必要があるのだろう。

    アメリカが『世界の警察』になったのは然程昔のことではない。次編以降を読むことでその辺りの理解も深まるのではないか。
    2016年大統領選に向けて、アメリカの世界への関わり方が大いに議論されているところでもあり、この歴史的な変遷はよく理解しておきたいところ。

  • ウッドロー・ウィルソンのまさしくTPP条約ISD条項を彷彿させる発言。
    「門戸を閉ざしている国々には、その扉を叩き壊してでも開国させねばならない……。資本家たちによって獲得された利権は、たとえそれに反感を抱く国々の主権がその過程で蹂躙されようとも、我が国の使節によって保護されねばならない」
    これが1907年プリンストン大学総長時代の言葉であるとは。
    19世紀末の相次ぐ恐慌がアメリカをモンロー主義を放棄させ、太平洋へと向かわせる。様々な紆余曲折を経ながらも、自由主義国は小さな国々の主権やそこに暮らす人々の暮らしよりも、資本家の財産権を優先させてきた。グローバリゼーションの動きは、TWOからFTAへとさらに貿易の自由化を推し進めている。その先に何が待っているのだろうか。あと15年もすればその姿が見えてくるであろう。

  • アメリカの建国から第一次世界大戦そして第二次世界大戦の経緯をオリバーストーン氏
    によって詳細に語られた良書です。

  • アメリカの歴史の裏側を記述した内容。
    面白いが、アメリカの傲慢さ・帝国主義に腹立ちを覚える。
    原爆投下は、不要であった。ソ連に対する自己顕示であったのか。トルーマンをはじめ、愚かな人間が米国大統領になることの怖さを知る。

  • 「誰が儲かったのか?」「誰が得したのか?」

    というのが物差しになっています。
    イデオロギー、正義、悪、ではありません。
    こういう近現代史の本、読みたかったですね。
    読み物としても、とっても英語的なちょっとした皮肉を交えながら、実に滑らかによどみなく進みますし、ドラマチックに描かれていて、飽きさせません。
    そして、アメリカの近現代史というのが、当然ながら全て日本に跳ね返ってきます。
    読みながら、日本の近現代史なんて、アメリカや欧州帝国主義の歴史を把握しないと、事実や年号だけ記憶しても何の意味もないんだなあ、と思わされました。
    思った以上に、娯楽的にも実に面白い本でした。続きも読もうと思います。

    2013年に日本語訳で出た本のようですね。
    映画監督のオリバー・ストーンさんと、履歴は知りませんがアメリカの大学教授さん、つまり専門的な歴史学者さんなんだと思いますが、ピーター・カズニックさんという人との共著。
    当然ながら、少しでも売れるように、読まれるように、という意図からこういうタイトルになっているのだと思われます。


    簡単な話は、「アメリカの近現代史」なんです。
    とは言ってもアメリカは、日本と比べれば建国以来歴史が若いので、そのほとんどが近現代史なんですけど(笑)。
    そしてそれも、

    「学校や政府では教えないけれど、実はこういう裏事情があったのよ」

    というお話に特化して書いています。
    ただそれも、推測的な陰謀論に基づくものではなくて、基本的にちゃんと歴史的な資料があって書かれています。
    (まあ、この辺は情報公開法含めて、アメリカはある部分とてもオープンなんだろうなあ、と思います)
    思想的には、前述したように特定の視点から固まって書かれているものはないです。と、僕は思います。
    ただ、「アメリカ政府、アメリカ人はいつでも正しい」という心情の人から見れば、あまりに懐疑的で左翼的すぎるのかもしれませんが(笑)。
    (最近は笑っていられないのが、「〇〇政府、〇〇人はいつでも正しい」「〇〇政府、〇〇人は悪者だ」というような唖然とするしかない根拠のないコトバを、大真面目でのたまう人が、どうやら僕が住んでる国でも増えてきているらしいことですね。うかうかするとすぐに「非国民」という言葉が復活しそうで。怖い怖い…)

    オリバー・ストーンさんという映画監督さんは、割と実は「いつも重くて辛そうな映画ばかりだから、あまり観ていない」監督さんなんです。恥ずかしながら。
    ただ、「JFK」と言う映画は、たまたま見てしまって、うんざりするほど長かったのに、見たら、息を呑むほど面白かったんですね。
    ことほど左様に、エンターテイメントでもありますが、骨太なタッチの作家さんでもあるんだなあ、と。その個性はこの本にも発揮されています。

    同名のドキュメンタリーが先行したそうで、それも観てみたいなあ、と思いました。










    ################以下、個人的な備忘録###############

    ●第1次世界大戦、第2次世界大戦は、民主主義の解放とか帝国主義打倒とかと言われることもあるけれど、真っ赤なウソである。
     結局は植民地主義帝国同士の奪い合いに過ぎないし、アメリカもその例外ではない。

    ということであるとか、

    ●ウォール街と投資家たちの私利私欲の果てに導かれた「怒れる葡萄」的な不況。

    ●それを社会主義的傾向で歯止めしたセオドア・ルーズベルトの施策と、それに対する資本家たちの反発。

    ●反発の結果、資本家たちが立てた「言いなり政治家」ハリー・トルーマン。

    ●19世紀以降、アメリカで、どれだけの社会主義、共産主義運動があったか。つまり言い換えれば、資本家がどれだけ酷いことをしてきたか。そして、どれだけ無茶苦茶な逮捕弾圧が、加えられてきたか。

    ●20世紀以降、アメリカがどれだけ南米中米で無茶苦茶な介入をして、都合のいい政府を作り、その政府の暴虐や虐殺を事実上支援してきたか。そしてそれでどれだけ、アメリカ大企業がぼろもうけしたか。

    ●二つの大戦で、どれだけ武器製造業がぼろもうけしたか。

    ●つまりアメリカ政府=ウォール街、銀行家、巨大企業は、とにかく商品を買ってくれないと困るわけである。
    商品を買う相手を作る為に、海外に進出する。
    だから、いちばん困るのは社会主義国家だったりする。この単純な行動動機は、産業革命と帝国主義の勃興から、基本的に変わらない。
    21世紀の今も変わらない。
    正義の戦いなんて、存在しない。

    ●資本家が儲けるための戦争で、なぜ労働者のうちの息子が死ななければならない?という声が、どれだけアメリカでもあがっていたか。
    どれだけそれが報道されないか。あるいは、歴史としての語られないか。

    ●第2次大戦で日系在米人が受けた、迫害、収容、そしてなにより財産と事業の没収。巨額の金が簒奪された。

    などなどが豊富な例証と事例で語られます。

  • 赤坂Lib

  • 各時代で著名な大統領ごとに、主に外交を中心に語る。全体として極めて批判的。

    原爆投下についての話、トルーマン時代の商務長官、本来なら彼が副大統領ひいては大統領になるかもしれなかった、の話は興味深かった。

  • 科学者の戦争 科学は平時には人類に属し、戦時には祖国に属する

    トルーマンの人種差別意識、皆殺しも辞さぬ反日感情

    原爆の使用は、壮大な見せ物、 ソ連への牽制

  • 資料ID:21302208
    請求記号:253.07||S||1

  • 第一次大戦から第二次大戦原爆投下までの歴史。アメリカのリベラルな立場から語られている。内容はかなり重く、考えさせられる。アメリカは第一次世界大戦の時には化学兵器であるマスタードガスを大量に製造していたが使うチャンスがなかった。しかし、原爆はそれを開発し使用した。マスタードガスの話は知らなかったが、原爆の話はその使用に大いに議論のあるところだ。そもそも、第一次世界大戦の前からアメリカの銀行家のためにアメリカ軍が彼らの利益を守るために利用されていたこと、そして、彼らが死の商人として大いに利益を上げていたことが語られる。また、第二次世界大戦ではアメリカではドイツ、イギリス人とは違い人種差別により日本人は駆除されるべきゴキブリ程度にしか思われていなかったこと、日本の降伏は時間の問題だったにも関わらず、原爆は投下されたこと、トルーマンがなぜ副大統領になったのかなど様々な内容が語られる。無差別戦略爆撃や原爆の使用がナチスドイツとそれほど変わらないと考えるアメリカ人がいることに救いを感じる。それでもやはり勝てば官軍で結局は彼らの都合のいいように歴史は語られてきたように思える。

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オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下の作品紹介

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