グローバル・スーパーリッチ: 超格差の時代

  • 早川書房
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152094193

作品紹介・あらすじ

世界の富を独占する〇・一%のスーパーリッチはどのように生まれ、いかに格差を広げたか? 《フィナンシャル・タイムズ》年間ベストブックの傑作ノンフィクション。ジョセフ・ステイグリッツ推薦

感想・レビュー・書評

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  • 自分にはまだ難しかった。
    パラパラ読み

    ☑︎超富裕層

  • スーパーリッチの人たちって、格差などの社会問題をどういう風にとらえているんだろうと思っていたが、やはり特殊なイデオロギーにしっかり染まっている集団でしかないということを改めて感じた。それはいい悪いではなく、ある共通の傾向をもった社会集団とでもいおうか。

    その中でもごく一握りの人だけが、バランスのとれた知性と客観性をもっているのだという現実。

    グローバルリッチの世界では、非倫理的な態度が醸成されていくと書かれていたが、環境が心理にどう作用していくのか、その過程にフォーカスしてみるもの面白いかもと思った。

  • [深淵なる富貧クレバス]「上位1%とその他99%の人々の間の格差」という考え方に注目が集まる一方,さらにその上位1%の中の「上位0.1%とその他の人々の格差」に着目した作品。著者が「プルトクラート」と呼ぶその超裕福層はいかにして生まれ,行動し,どのような影響力を社会に行使しているかを詳細に研究しています。著者は、『フィナンシャル・タイムズ』を始めとした各種の経済紙においてジャーナリストとして活躍したクリスティア・フリーランド。原題は、『Plutocrats; The Rise of the New Grobal Super-Rich and the Fall of Everyone Else』。


    まず「プルトクラート」の度肝を抜かれる金持ちっぷりに単純に頭がくらくらしました。ただ単に金がうなるほどあるというのだけではなく,その層が国境をそれほど意識することがなく,主に内輪の者のみで完結する世界に生きているという指摘にはなるほどと感じずにはいられませんでした。もちろん金持ちを追ったゴシップ本ではなく、「プルトクラート」がどういう役割・影響を果たすかについても極めて現実的な見方が提示されているところも高評価ポイント。

    〜重要なのは、実業家のなかの善玉と悪玉の差よりも、自分の社会で適切な規則が定められ、その執行を可能にする監視体制が敷かれているかどうかである。〜

    失礼な言い方になりますが思った以上にしっかりした本でした☆5つ

  • ついに、ピケティ本「21世紀の資本」が日本でも発売されました。圧巻の700ページ、大迫力の5500円でございます。だ、誰が買うんや…と、平積みにされていた本を眺めていましたが、日本でも大ベストセラーらしいですね。NHKでもピケティの白熱教室が放映されるらしい。
    さて、本書はアメリカではピケティ本とほぼ同時期に発売された、1970年代以降の超格差、主に金持ち側を取り扱った本です。
    彼ら大金持ちが誕生する歴史や背景はそれこそピケティやエマニュエルサイズなどを参照しながら、わかりやすく説明してくれますが、これは割とジャーナリスティックな内容の本です。著者はモスクワで働いたことのあるカナダ人であり、ロシアや中国の大金持ちが誕生する背景が描かれた4章以降は興味深いのではないでしょうか。
    合法的腐敗でありながら、規制の困難なレントシーキング。政府が金融機関の言いなりになってしまう認知的国家捕獲など、日本ではなかなか議論されないキーワードもでてきて勉強になります。
    とりあえず、お金持ち大好きで本書を手に取ったはいいけど、金融にも法律にもテクノロジーにも造詣のない先進国のミドルクラスには縁もゆかりもない世界らしいのでがっかりしておきましょう。

  • プルトクラートの話。シンガポールで読んでたので臨場感あって良かったです。

    「常に気配りされる事に慣れてしまうと、世界は自分と自分の必要を中心にして回るべきだと感じるようになる。客観性を失ってしまう」

  • なぜグローバル・スーパーリッチが誕生し、彼らとそれ以外の人々との差が開いたのか? それは、テクノロジー革命とグローバル化の影響から世界経済が再構築され、その結果としての経済的転換が起こったため。また、なぜミドルクラスは空洞化しつつあり、彼ら向けの製品やサービスが廃れつつあるのか? それは、ヘンリー・フォードの時代には購買力のあるミドルクラスを必要としていたが、いまや新興国に増え始めているミドルクラスを顧客にできるので、国内の彼らへの依存度を減らせるからで、グローバル化により人材よりも雇用が流出している。

    プルトクラシーに決まった国籍はないが、決まった学歴はあり、どの名門校に通ったか、MBAをどこで取得したかが重要。また、自分探しに時間をかけすぎる者に対し、勝者総取り経済は容赦がない。所得上位1%に入りたければ、35歳までに年収が10万ドルに達していなければならない。スタート直後に全力疾走しなかった者や、誤った方向に走った者には、セカンドチャンスはほぼなくなっている。

    革命的変化に対応するためには、地域の公立学校から名門校に進んだ学生のような主流のパラダイムを客観視できる人物が理想で、適切な時に適切な場所にいたかどうかなどの運も必要。生き残るために大胆な行動をとる必要はないが、成功のためには大胆になる必要があり、変わらないことは最大のリスクとなる。「昔は大きな魚が小さな魚を食うと言われていた。いまや速い魚が遅い魚を食う時代」なのだ。著者もこの後ジャーナリストを辞め、政界進出を果たしている。

    所得上位1パーセントと残りの99パーセントとが対峙している現状は深刻で、「ウォール街を選挙せよ」運動だけでなく、アラブの春やオレンジ革命でさえ、民主化運動ではなくビリオネアに対するミリオネアの反乱であるとする。スーパーリッチにとって、世界を分かつのは国境線ではなく、金持ちと貧乏との境界線である。

    最上層の富が大きく増加した場合、所得分布の下部の停滞が見えづらくなるため、景気回復の実感は感じにくくなる。もはや景気回復を主導するのは、圧倒的多数のミドルクラスではなく、桁外れの専門技術を持つひとにぎりの知識層である。

  • イノベーションのジレンマ 業界に破壊的な新技術や新市場が出現した時、すでに確立された企業はつまずいてしまう場合がほとんど。

    ソロスのように、パラダイムシフトを察知し、それに適応するたぐいまれな能力はスーパーエリートをつくる経済的な力の一つ

    ソロスの父 オーストリアハンガリー帝国の将校だった 革命的な変化に直面した時には革命的な行動をとる必要があることを理解していた

    ファイアストン 契機が安定していた戦後のアメリカで、成功するための構造を気づいていた。成功の方程式にこだわるのはいい。ただし、状況が安定している時に限る

    脅威が迫っているのを知りながら、その脅威への対応に、これまでと同じことを活発に行うばかりである

    リスクを発見できなければ、リスクのほうがあなたを発見する

  • 単なるありがちなルポかと思いきや、経済学や社会学の奥深いところまで考察した内容
    良書です

  • 主にアメリカベースではあるが、リサーチ内容が学術的でハイレベル。インタビュー対象もハイレベル。国境や国籍を超えた、スーパーリッチという少数民族がこの時代に生まれていることと、その生態の綿密な調査結果が記されている。この手の「格差」を取り上げる国産本とは明らかに違う目線であり、スケール感である。

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