みずは無間 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)

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著者 : 六冬和生
  • 早川書房 (2013年11月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152094209

みずは無間 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)の感想・レビュー・書評

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  • 「それはあなたです」
    みずはの「飢え」を一歩退き、醒めた眼で見ていた筈の透は永い時の中で彼女の記憶に蝕まれ、いつしか雨野徹は単なるみずはの共鳴器に成り果てる。これがストーカー小説だというのは適切だろう。ハードSFかと言うと、色々な小道具について擬合理的な説明がついているとは言い難いが。永遠を生きる知性は果たしてまともな精神を保っていられるのか、その問いかけに空恐ろしい解を提示している物語。

  •  宇宙探査用の人工衛星に搭載されたAIは、退屈しのぎに人工の知性体を創りながら、大宇宙をさまよっている。その一方で、AIの元となった雨野透の恋人みずはのフラッシュバックが執拗に「彼」を悩ませる。
     ひとくちちょうだい。
     と、いつも口寂しく何かを食べていたみずはに振り回される記憶が、何万年にも渡る退屈な漂流とやがて始まる闘いの合間合間に違和感なく差し込まれる。日常と非日常が交差しながら、やがてみずはに関する記憶そのものが大宇宙の運命を左右させていく。
     壮大なホラ話になりがちなストーリーだが、過食症の恋人みずはのやや重い言動と緻密なハードSF設定が見事に融合された作品。

  • S-Fマガジン2014年1月号に第一部のみ掲載されていたので、続きが気になって手に取りました。
    読了してまず思ったのは、タイトルの付け方が巧いなぁと。
    リーダビリティに富んだ読み手を飽きさせない筆力でぐいぐいと物語に引き込んでくれる。
    思いもかけない展開になっていくわ、なんとも言えない読後感を残すわで、色んな意味で凄い作品だなと思います(良い意味で)。
    読み始めと、読後の印象がここまで変わる小説というのも面白い。
    あんまり人には勧めにくいけど、個人的にはとても良かったです。
    時間を置いてまた再読しようと思う。

  • 一気に読了。第一回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞の本作、期待を裏切らない面白さ。グレッグ・イーガンの「ディアスポラ」を彷彿とさせるが、日本型ディアスポラというか、最先端の宇宙論、物理学を下敷きにした世界感だけど、ラノベ的ストーリーを挟み込みつつ、しかしラノベ的まったり文体ではなく、きっちりした翻訳SFのテイストという、珍しいバランス感覚の作品。次の作品にも期待したい。

  • SF。
    無人探査機にコピーされた人間、雨野透の人格が主人公。
    可愛らしい表紙から軽めのSFかと思っていたら、なかなかにハードなSFだった。表紙の女性、少し細すぎなのでは…?
    大きく盛り上がるシーンはなかったように思うが、一冊を通して、スケールが大きく、奇抜な展開が続く。
    とにかく変わった読後感の作品でした。

  • 他の受賞作も読んでみたくなりました。

  • 日本人の若者の人格を転写したAIを載せた宇宙探査機の話と、地球に残してきた彼女との記憶の話が、奇妙なバランスで同居し、でも最終的にはどちらも共通のテーマで結び付いて大きなエンディングへ向かいます。

    自分が搭載されている探査機の筐体をどんどんカスタマイズし、オリジナルの知性体を創造して繁殖させ、自分のアイデンティティーすら簡単にコピーして分裂するようなAIの描写は、読んでいてどんどん引き込まれました。
    個人的に「こんなことまで出来てしまうのか」と思わせるようなテクノロジーが出てくるのがSFの醍醐味だと思っています。
    そしてこの前半のほとんど「暇潰し」でしたような行動が、後半で宇宙全体を揺るがす大迷惑に発展するのも楽しいです。

    それとともに、みずはとの生活の描写が生々しいくらいリアルで痛々しさが身に迫りました。こういう人っているよねという身近な要素ばかりで、宇宙の旅の話とのギャップを感じまくります。
    みずはが最期に透のことをどう思っていたのか、判明しないまま彼女の記憶だけが透の中で暴走を続けるのも皮肉的でした。

    結局人類は宇宙のどこまで到達しても、孤独からは逃れられないんだなあと思わせる作品でした。

  • 人格をコピーしたAIを搭載した宇宙探査機が宇宙を旅する話。
    序盤は暇つぶしに自己改造したり、人工知性体を作ったりする話。そんなミニエピソードが続くのと思いきや、元人格と依存症の恋人の「飢餓」を軸に、宇宙規模の崩壊が始まる。
    技術レベルや、話の規模がどんどんインフレしていく様子と、元人格の話がうまく組み合わさるところが良い。

  • 主人公は雨野透を元にしたAIを搭載する惑星探査機。他の惑星探査機と対話したり、地球に残した恋人みずはを思い返したりしつつ終わらない旅を続けていく……。情報知性体DなどにGイーガンの影響が色濃いものの、宇宙と共依存という縁遠い二つをまとめた手腕に脱帽。

  • 良くも悪くも日本人のSFって感じ

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みずは無間 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)の作品紹介

【第一回ハヤカワSFコンテスト受賞作】雨野透の人格が転写され宇宙を旅する惑星探査機。彼の中の、地球に残した元恋人みずはと過ごした記憶が、宇宙の危機を招来する……壮大な思弁的宇宙SF

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