- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152094445
作品紹介・あらすじ
宇宙デブリの予報サイトを運営する木村は、不審な動きをするデブリを発見する。それは世界を震撼させるスペース・テロの幕開けだった……元ソフトウェアエンジニアが描く近未来テクノスリラー。
感想・レビュー・書評
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専門的な情報がおおく、視点人物がころころ変わる、細切れな前半。
最初は、キャラクターと設定がつかみづらく、入りこみにくい。
集まるべき人物が集まり、つながるべき人物がつながって、全体像が見えたところから、おもしろくなっていく。
宇宙に打ち上げられたものの意味と、地上で進行する計画。
アメリカの対応は?
和海たちは、立ち向かえるのか?
後半は一気に加速し、最後までノンストップで走り抜けるような作品で、読み応えがある。
最後はハリウッド映画のワンシーンのよう。
タイムリーなことに、作中時間は2020年。
刊行(2014年)当時には、ちょっと先の未来だったはずの世界は、まさに今リアルタイム。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
電子書籍用に書かれた小説を上製本の紙媒体にした作品。舞台は2020年の世界中。所謂近未来のSFサスペンスだ。作家の藤井太洋さんは、電子書籍の世界では有名らしく、ベストセラー作家だという。紙に固執する私は最近まで知らない作家だった。本は紙に限る!と信じて疑わない私にはショックだった。でも、結局売れ始めると紙になるのだから、まだまだ紙の需要は多いのではないかと思う。紙の質感、ページの厚さの重量感。インクの匂い。ページをめくる指の感覚。これは何物にも代えがたい。あ、内容に触れてませんでしたね。とにかくページを繰る手が止まらないのは間違いない。SFに不可欠なのはわくわく感。これが作品には充満してました。
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読み始めたら、最初とっつきにくいかなと感じた。しかし、読み進んでいくと、どんどん面白くなってくる。読むスピードも上がってきます。ラストもめでたしめでたし。
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悲しいかな宇宙空間のセンスとインターネットの知識に欠けるので,本来の面白さが十分に理解できていないのかもしれないけれど,それでも手に汗握るドキドキハラハラの連続.関口さんは出来過ぎの感があり,ちょっとずるいような気もしたが素敵なのでまあいいか.
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地球軌道上に数千万個浮遊している、
サペースデブリの中に紛れ込ませた、
数万個のスマホ大の宇宙機を使って、
現在、地球軌道上で運用されている、
GPS、通信、気象、偵察各衛星の、
全ての破壊を目論む北朝鮮において、
そのシステムを構築し、シアトルで、
そのテロを、実行しようとしている、
元JAXAの科学者の白石に対して、
偶然にも、その宇宙機を発見した、
日本の、天文Webサイトの和海と、
同じく、天才プログラマーの明利が、
成り行き的にシアトルに設置された、
CIAのテロ対策チームの中核として、
システムの基礎理論を考案したテヘランの科学者、
インド洋上で超高性能観測システムを持つ投資家、
地球軌道上で初の民間宇宙旅行を敢行した実業家、
の、4元を中継して、テロを食い止めよぅとする、
近未来クライム小説です…。
時代設定は、今から5年後の2020年…。
IT技術や宇宙技術が、実現可能な範囲で、
最大限に発達した、ごく近未来が舞台です。
問題提起の外堀(第1部)を埋め、
問題分析の内堀(第2部)を埋め、
テロリストと対決する本丸(第3部)へと、
すべての事象がとても丁寧に描かれており、
その分、文章量は結構なボリュームですが、
途中でダレることも、挫折することもなく、
最後まで、お話を楽しむことができました。
体系も、SFのジャンルでありながらも、
リアリティのあるクライム小説となっており、
今、そこにある危機を感じることができました…。
宇宙(開発)は、我々には、縁遠ぃ存在ですが…、
すでに、普段の生活の中で、
地球軌道上の各衛星があらゆる情報を介しており、
一度、衛星がダウンすれば、
忽ち、生活は成り立たなくなる状況にあります…。
その「一度」は、地球軌道上に数千万個浮遊する、
サペースデブリ(宇宙ゴミ)と、衝突しただけで、
容易に発生し得るものであり…、
特段、核兵器やBC兵器などを使用しなくても、
容易に、世界を大パニックに陥れることができる、
そんな危うぃ状況の中にある、何でもない日常は、
とても、不気味に感じました…。
最後は、宇宙開発系のお話らしぃ?、
壮大な幕開けで締めくくられてもおり、
ベストSF第1位の面目躍如でしたね…!
とても面白かったです!! -
構成がかなりしっかりしている上に、IT技術の裏付けもあってかなり興味深く読み進めた。エンターテイメント性も感じられ、映像化も期待したいほどの出来栄え。久しぶりにいい作品に出逢えた。
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あまり無理を感じないのがありがたい。途上国の宇宙開発のところが30年代の日本みたいで目が熱くなる。
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ノックアウトされた。最新のコンピューティングと宇宙と政治。見事なストーリー
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SF小説であるにもかかわらず、本題以外の「日本経済界の衰退」を感じてしまった。
かつて「政治三流でも経済は一流」と言われた技術大国ニッポン。
「まったくゆがみのないネジや球体」「最先端の精密機器や液晶技術」
技術が優れていた理由は、独特の探求心(凝り性)がもたらしたもので、生み出す技術自体が褒め称えられていた。
経済は、その技術に支えられて世界で一流となったはずなのに、拡大を夢見て「効率化」を推進した。技術はいつまでも「ある」と妄信して……。
やがて、「効率化」のために海外に生産拠点を移転しはじめ、次に税対策のために本社を海外へ移転する……いったい誰が何のために「効率化」しているのかわからなくなる。
そして、ネジ1個、ボールベアリング1個などに優れた技術を持っていた中小の町工場もコスト削減に進み品質も低下する。または転業や廃業していく。
幾度かの経済危機を経て、現在は経済も一流から脱落し、理系頭脳は海外へ流出してしまった。
政治は無策の果てに「美しい国ニッポン」といって「観光立国」を推進した結果、流出した頭脳などで一流となったアジアの国々から日本へ観光しに来るが、それもコロナウイルスで激減してしまう……。
生みだす人を貴ばない国は亡びる。
物語は、少し「日本人できすぎ君」で都合よく進みすぎだが、ハリウッド映画など「自国民できすぎ君」はよくあるから、あまり気にしないで楽しむこと。 -
壮大な物語。最後を除いて金持ち親子の章は無意味な印象もあるが人それぞれだな。
テンポが良くハリウッド映画になったら見応えがあるだろう。