バージェス家の出来事

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制作 : 小川 高義 
  • 早川書房 (2014年5月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (443ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152094599

バージェス家の出来事の感想・レビュー・書評

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  • ある一家の1年ほどを描いて、問題噴出なのにどこかユーモラスで、しかもあたたかい結末。
    アメリカの抱えるさまざまな問題がびっくりするほど関わってきます。

    バージェス家のジムとボブ、妹のスーザン。
    長男のジムは、やり手の企業弁護士。
    ボブはジムにばかにされながらも慕っている気のいい弟で、弁護士なのだが法廷には全然向かない。
    二人はニューヨークに出ているが、メイン州に残った妹のスーザンから連絡が入る。
    息子のザックが事件を起こしたため来てくれというのだ。

    ジム夫婦は、社長夫妻と一緒の休暇旅行を優先して、ボブだけに行かせる。
    ザックはモスクに豚の頭を投げ捨てたのだが、軽犯罪だからすぐ帰れるといわれて、ボブは内心途方にくれながらも逆らえない。
    高校からスターでいまや成功したジムの俗物っぷりは笑えるほどで、夫婦仲はいいのだが、それも事件の推移と共に崩壊の危機に‥?!

    スーザンは離婚して独り身。口が悪くてあまり性格は良くないのだが、それは母親に一番きつくあたられて育ったせいという哀しさも。
    無口でどこか未発達な息子のザックのことを、いつも心配してきた。
    バージェス家の父は事故で早く亡くなっていて、それも幼いボブが車をいじったせい。
    このトラウマを抱えているボブは、どこか気弱でたまに放心する癖がある。
    だんだんわかってくるのは、兄妹3人ともが、自分のせいだったと責めていたこと‥

    ザックの事件は連邦犯罪のヘイトクライムと扱われる危険が出てきて、ジムも駆けつける。
    田舎町にはソマリアからの難民が増えていて、見た目や風習の違いに、スーザンは違和感を覚えていた。
    ソマリ人の視点もあり、暴漢に襲われる危険に脅える心理も。
    ところが公判でザックを見たソマリ人は、その弱々しさに驚き、ただの寂しい子供だという説得に理解を示してくれるのです。

    ジムとボブが中心ですが、ジムの妻、ボブの別れた妻や、かかわる人間達が皆生き生きとしていて、なんとも人間臭い。
    抱えている問題は皆いずれは表面に出てくるもの、という印象。
    大変なことになってしまった窮地が少しずつ解きほぐされ、全員に希望が見えてくる展開が感動的です。

    「オリーヴ・キタリッジの生活」でピュリッツァー賞を受賞しているストラウト。
    作品数は少ないのに、とても尊敬されている作家のようですね。
    「オリーヴ・キタリッジ」はひとつひとつは短いのに濃くて、確かに読みでがありました。
    田舎町出身の兄弟や家族の話も、アメリカ人の琴線に触れることでしょう。
    読みきると案外、重くない、愛と希望に満ちた話でした。

  • 3人兄弟の成長ストーリー。あるべき姿に近づいていく過程が心の動きと共によく描かれていると思いました。幸せになっていく予感がラストから感じられてよいです。

  • なんだかみんな切ない
    さえない次男が・・・
    生き生きしてるの次男の元嫁だけ?!

  • うだうだ、ずぶずぶと進んで、終わり近くになってからぐいぐいと来る。

  • 兄と弟と妹。別の人生を送りそれぞれ葛藤があっても、つねに気遣い合っている。妹の息子が起こした事件によって起きる大きな変化に影響を受けて、彼らも周囲の人々も変わっていく過程がリアルで引き込まれる。どれほど嫌われてもウザくても、家族であることはずっと変わらないというセリフにしみじみした。無条件に家族を大切に思う気持ちだけは、肌の色、宗教、文化の違いに関係なく同じなのだ。あと、「善玉の超大型イモムシみたいなバス」には笑えた。

  • バージェス家の娘スーザンの息子ザックが起こした事件をきっかけにさまざまなことが露になり、変化していく家族。『オリーヴ・キタリッジの生活』のような毒気を期待すると戸惑うかもしれない。スティングの"Englishman in New York"を思い起こさせる物語。

  • 9.11後のアメリカを反映したストラウト作品。
    ザックはなぜ「豚の頭をモスクに投げ込んだ」のか?そこまで過激なことをしながら、理由が明らかにならないまま話が進むのでモヤモヤする。「傷つきやすいおとなしい少年」というだけではすまされないだろう。人種差別/宗教差別だったのか、単独犯だったのか仲間がいたのか…
    私は親側三人の過去のトラウマや浮気問題よりそっちのほうが気になったぞ。

  • それにしても2700円は高い

  • ぴかぴかとまではいかずとも、それなりに磨き上げ手を入れていたガラス窓に、ぴしりと小さなヒビが入った。じわじわと広がっていくそのヒビをくいとめる法などあるはずもなく、不安に思ううちにそれはしまいには窓は砕け散ってしまう。
    バージェス家の兄弟妹の生活が、それだ。とりあえず均衡を保っていたものがあれよあれよと崩れ落ちていく。
    きっかけは妹の息子がモスクに豚の頭部を投げ入れたことから始まる。少し昔の小説であれば、この息子の心理を探ることに物語の核があったのかもしれないが、息子のその暴挙の理由は「なんとなく」なのである。こちらのほうがいまや現実的に響くのであるから恐ろしい。
    前作のあとがきの、どんな「田舎町の日常にも、人の心の中まで見れば作家が書くべきものはある」という言葉が本作にもあてはまる。
    子どもの頃は、理由もなく「今の生活がずっと続く」と信じていた。自分が家庭を持ち、子どもたちが腰周りにべたべたとくっついている頃も、そんな風に思っていたものだった。はたと今の現実に気づいたところで自分の気持ちがついていかない。そんな主婦に私は自分が重なった。
    けれど、最後にはゆるゆると温かなものが流れてくれる。読んでよかった。

  • 「オリーブ・キタリッジの生活」と
    ガラッと違う登場人物たちの心理に
    最初は、入り込めずにいたけれど中盤以降の
    それぞれの思いが、じんわりと胸に来ました。

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バージェス家の出来事の作品紹介

成人してそれぞれの道を歩むバージェス家の三人の子供。その固まりきった関係を、ある事件が揺り動かす。家族のあり方を描くピュリッツァー賞受賞作『オリーヴ・キタリッジの生活』著者の最新作

バージェス家の出来事のKindle版

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