機龍警察 火宅 (ハヤカワ・ミステリワールド)

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著者 : 月村了衛
  • 早川書房 (2014年12月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152095091

機龍警察 火宅 (ハヤカワ・ミステリワールド)の感想・レビュー・書評

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  • 機龍警察シリーズ短編集。
    長編シリーズの短編集というと、スピンオフの軽い内容なイメージなんですが、これはがっつりと重厚で、どれも素晴らしくおもしろかったです。
    登場人物たちを再度掘り下げると共に、本編への深い理解に繋がります。
    シリーズ愛読者には嬉しい。


    【火宅】仕事一筋の独身で、今は病気で弱っている男が新築の家にたった一人というのが悲しい。
    相変わらず疎まれる特捜部を描きながら、一転してそこに別の警察内部の闇を描きました。
    捜査のノウハウを教えてもらった上司に、その成果をこういった形で示してしまうという切なく渋い演出が光ります。

    【焼相】短編ながら非常に緊迫した立てこもり事件を描いています。次々と犠牲者が出る展開は戦慄。シリーズの過去の事件後、各部署がどのような状態になったか内部の力関係の描写もおもしろい。
    立てこもり犯に挑むかつてのテロリスト・ライザの変化と、それに気づく緑の姿が印象的。

    【輪廻】犯罪組織の幹部が何をしに日本に来たのか?という謎に驚くべき現実が明かされます。
    真面目に勤めている日本企業のサラリーマンが、世界の紛争に深く関わっているという事柄もショックですが、やはりその兵器や使用方法が怖い。恐ろしい未来を予感させるものの、現状で出来ることが何もないという厳しい現実を見せつけられます。
    ミステリアスな微笑みを浮かべる黒人に底知れぬ闇を感じる深い物語でした。

    【済度】IRFから逃走し特捜部に入る前のライザの物語。死に誘われながらも、贖罪の道を模索し流れるライザに謎の男からの依頼が舞い込む。
    電話だけの謎の依頼人とのやりとりや、ライザが単独で行動するのはスパイアクション小説みたいで楽しい。電話の相手の正体には驚きました。

    【雪娘】遠い地、ロシアでかつてあった1つの殺人事件が、月日を経て日本の事件と重なる様が見事。
    殺人事件の方法には大きな激情を感じますが、それとは反対の少女の静かで儚い姿には、言い知れぬ不安と悲しさを感じます。
    最後まで事件を追えなかったユーリの刑事としての心残りにも切ないものがありました。

    【沙弥】由紀谷の高校時代のお話。前にもちらりと出ていた、由紀谷が警官を志すきっかけとなったエピソードを掘り下げています。
    荒れた青春時代の中で、一つの事件を切っ掛けに友情と希望が描かれ瑞々しくも悲しい。
    由紀谷を取り巻く大人たちはどうしようもない人間も多いのですが、警官が最後に素直に謝り、由紀谷がそれを素直に受け入れたシーンが良かった。
    叔父に何も言えず、自分でも決心がつかず、それでも友人の意志を胸に刻んだラストも感慨深いです。

    【勤行】個性的な面々ばかりの特捜部にあって、家庭を持ち出世を気にする普通っぽさが貴重な宮近理事官。
    人間味のある姿に親近感が沸きます。
    特捜部を全体的に見たお話で、誰もが人知れず一生懸命なのがユーモアを交え描かれており、みんなをお応援したくなる楽しい1編です。
    庶務の桂さんがやっぱり素敵。

    【化生】同じ捜査主任でも由紀谷にスポットが当たる事が多いので、ここで夏川が登場したことが嬉しい。
    研究内容については予想できるものの、沖津部長が珍しく焦る姿が事態の重要性を感じさせます。
    タイムリミットが間近に迫っていることにふと気付くような事件で、今後の特捜部にシリアスな展開を予想させる締めの1編となりました。
    普段感情が読めない沖津部長が、夏川との会話で部下への信頼と尊敬に溢れていて素晴らしかった。

  • 機龍警察番外短編集。
    軽い話もあれば、機龍兵が活躍するアクション短編もあり、バラエティだ。
    長編を読んだあとに読むと一層楽しめる。過去の曰くあり、現在に繋がる話あり、官僚組織の軋轢あり。
    個人的には宮近さんの話とライザの話が面白かったかな。
    「勤行」って仏教用語で“お勤め”と言う意味らしいけど、まさに宮近さんの宮仕えの悲哀をリアルに描いた異色作だ。長編では描けないよね。
    最後の短編はまさかの最新作「狼眼殺手」に繋がる話で必読です。

  • 特捜部の普段の仕事を描いたような短編集。理事官の宮近に焦点を当てた「勤行」が、これまでの機龍警察ではあまり描かれなかった官僚としての仕事が描かれており、新鮮で楽しめた。短編集なので外伝的なものだと思っていたら、最後の「化生」は次作の「狼眼殺手」に直接つながる話になるので、必読。

  • 特捜部の面々が登場するオムニバス。事件解決の話もあるが、メンバーの過去が明かされる話もあったり。だんだんSF色が薄まって、警察小説になってきているように感じるが、面白さは変わらない。

  • ほんとうに短編。シリーズを読んでいると、なるほどという話ばかり。また、最初から読み始めるか。

  • 機龍警察シリーズの短編集。短編だなぁ〜と思う以上に短編だった。短い、でも8編もあるしテンポが良いし面白い。読みやすいのでシリーズ読んでなくても十分に楽しめる。でも長編4冊読み終えた後のこの短編は極上である。全体的に由起谷率が高かった印象。面白かったのは「勤行」で宮近理事官の素の感じが見れてとても良かった。機龍警察を読み始めた頃は名前と役職覚えるので大変だったけど、この短編読んだ後に1作目を読み返したらかなり読みやすくなってるだろうな。

  • 良いなぁ

     サイドストーリーというか短編集なんだが、さすがの物語が集められている。

     由起谷、ライザ、ユーリ、宮近、夏川などが活躍する姿が生き生きと描かれる。このシリーズ好きだなぁ。

  • 個人装着型の強力武器「機龍」その進化形である龍機兵を唯一保有する組織、警視庁特捜部。
    機龍を保有する、犯罪組織や国際テロリスト等に対し、その強力な武器で戦う暴力装置であるだけでなく、非常に優秀な特捜班を有し、従来の警察力では対応しきれない犯罪に対応する。

    機龍警察シリーズを、最新作である短編集から読み始めるという痛恨のミスをしてしまったのだが、そのお蔭で特捜部刑事が背負った過去、そして龍機兵搭乗要員の背景を把握することができた。
    これから、機龍警察シリーズを読んでいくのがとても楽しみだ。と、強がっている。
    本編に対する期待が、非常に高まる作品であることは間違いない短編集だった。

  • 短編集 あっさり

  • 宮近さんファンは買って悶絶するかもしれない。
    私は、した。
    宮近さんちゃんとパパしてるやん!

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