超人の秘密:エクストリームスポーツとフロー体験

  • 早川書房
3.70
  • (8)
  • (14)
  • (6)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 169
感想 : 15
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152095725

作品紹介・あらすじ

命綱なしで絶壁に挑むフリーソロクライマーが超人的能力を発揮するのは、フローという完璧に集中した状態になれるから。世界のエクストリームアスリートに取材して秘密をさぐるノンフィクション

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 一流スポーツ選手が言う「ゾーン(フロー状態)」は、今や、エクストリームスポーツの選手にとっては、チャレンジから生還するための「前提」になっているという。彼らの常識外れの恐るべきチャレンジと、時に失敗(=死)を紹介しながら、フロー体験によって人類はどこまで壁を破り、どこまで達し得るのかを語る。
    もう、フローは有る無いの問題ではなく、そこに入るのが基本的な技術になっている世代が生まれている。有り体に言えば「ニュータイプ」が生まれてきているのだ。
    そして、極限スポーツの場だけではなく、日常的なビジネスの場であっても、軽度なフロー体験(熱中して時間が飛ぶような感覚)をものにしていくことが求められていくだろう。
    フローという劇薬を、脳内麻薬ジャンキーになることなく飼い慣らせるか。

  • フローやゾーンと言われる状態やヒューマンパフォーマンスの限界に関する研究や考察は、関連度の高いエクストリームスポーツ選手やアスリート、科学者、アーティストから得られる研究結果を元に飛躍的に進んでおり、アスリートでない人々に応用す事も含め、限られた人の持つ特別な能力でなく、汎化される技術やテクノロジーとしての可能性として追及されている側面があって、その一端を知る事が出来た。

  • エクストリームスポーツという馴染み薄い(しかしインパクト抜群)を題材に、人間の身体と精神の能力を飛躍させるFLOWという概念について、豊富な事例と科学とウィットをもとに、紹介してくれる名著。
    科学的説明や、エクストリームスポーツにおける歴史の紹介によって、FLOWがもつ怪しい側面の意味がだんたんと明らかになり、日常生活への活かし方も見えてくる。

    とはいえ、実践はかなり難しい概念だけれども、これを大真面目に仕事に取り入れることができたなら、確かに景色は変わるのだろう。まずは4%、無理めな目標設定をすることから始めてみよう。

  • フロートリガー(内部要因、外部要因、社会的サポート、創造性)を再度読み直して、日常で実践できる状態にしておくことで、フローに入ることが多くなり、幸福度の高い人生を歩める。
    エクストリームスポーツのアスリートの成功の90%が精神面によるものという試算があるが、計測できないため実証できていないという点に興味を感じた。

  • サーフィン、スノボなどエクストリーム系スポーツプレイヤーが極限状況になるフローを解説。
    フローがビジネスでも通じるところが面白い。
    所謂、全集中。

  •  フロー体験とはなにか?読んでいてとにかく「痛い」本である。
     本を読んで知った気になっていた自分が恥ずかしくなるぐらい実例が豊富であった。その実例の多くがエクストリームスポーツというのは偏りがあると言えばある。
     骨折したまま難易度の高い技を何回も行った、失敗して戻ってこなかった(死んだということ)などの実際の話しがてんこ盛りである。
     「フローに入れば楽ちんだ」などと軽く考えていたのが懐かしい。

  • エクストリームスポーツから見るゾーン体験。
    実に科学的。熟読。
    ここ数十年で人間が限界を超えた超人となる機会がこれほどまでにあふれている事実に驚く。
    そこから科学的に分析した事例を数多く掲載。
    今目の前にあることにいかに集中できるかが鍵でその全容が見えてきたフローの未来に期待したい。

  • フローの厳密な定義やその条件等、細かく突っ込んでいけば理論的に破綻しそうな点はいくつか感じられたものの、総論としては非常に興味深い一冊だった。
    Xスポーツのアスリートを中心にスポットを当て、彼らの脳内で何が起こっているのか? という考察がメインコンテンツとなっているが、例えば、フローになった時、その人の脳の中では自己意識も時間感覚も消失する、という説明や、現代社会で都市生活を営んでいる人は常に先々について考えなければいけないからフローに入りにくい、その点、"今"だけに集中しがちな若い脳は有利だ、という解説などはとても説得力があった。
    実際に体を動かなさくても、それをやっていることをイメージするだけで脳内の働きは等しい、というくだりも然り。

    何とかみんな辻褄を合わせてごまかしながら生きてはいるが、今の世の中がいかに動物としての人間の本質から外れているか、ということにも、発展して思いを馳せることになった。

  • プログラミングに使える集中力が欲しい。噂に聞くフロー状態を体験したい。そんな思いがどこかにあり、手に取った本。フロー状態がどういうものか、それはエクストリームスポーツの競技者が使いこなしているものであり、それはなぜかということをくどいほど丁寧に説明してくれている。フロー状態の理解、メカニズムが深まったが、一つ惜しいのがどうやったらフロー状態に入れるかという具体的方法が示されているないこと。だが、それは読み方によって示されているので、あとは自分で試行錯誤してみろということだろうか。

  • 人間の能力の限界に挑戦し続けるエクストリームスポーツ。

    その時に起こるフロー(ゾーン)体験をインタビューや取材などから考察していく。

    なるほど思う部分も多いが、事例が特殊なものばかりで共感出来る内容のものは少ない。

    フロー体験はエクストリームスポーツじゃなくても日常の生活でも起こると書いてあるがその共通性がこの本ではちょっと今ひとつ見いだせない。

    とはいえタイトルにもあるように超人達の成した偉業の数々はとにかく凄いとしか言いようがなく圧巻である。

  • 「集中力とは、ハラを決める事である」という柔道部物語( © 小林まこと)の名言が科学的に証明されている。

  • No.820

  • アスリートや芸術家たちが、極度に集中した時に体験する「フロー状態」についてのお話し。

    本作では主にクライミングやスカイダイビングなど、エクストリームスポーツのアスリートに焦点を当てている。彼らの競技は一般的なスポーツに比べフロー状態に入りやすいらしい、なぜなら極度に集中しなければ、地面に激突して死んでしまうからだ。

    フロー状態に入りやすい脳波というのは、低アルファ波/高シータ波の状態で、これはレム睡眠や瞑想の状態とほぼ同じらしい。つまり彼らはとてもリラックスした状態で、無意識に崖をよじ登ったり、バイクで宙返りをしているという事である。

    またフロー状態に入りやすくなるマインドセットとして、現状より4パーセント高い目標を設定する事、自分の能力を正確に理解する事や、「苦闘→開放→フロー→回復」という四段階のフローサイクルを経る、なんて話は大変興味深かった。

    個人ではなく集団の状態でもフローに入る事が出来るらしい、ジャズのセッションなどがその一例である。相手を否定せず、肯定的な態度で受け入れる事が集団フローのコツらしいのだが、この考えは仕事なんかにも共通するのかもしれないと思った。

  • 「ゾーンに入る」「フローの感覚」「ボイスが聴こえる」そういったアスリートの精神状態とパフォーマンスの謎に迫る。
    ビレイなしのフリーソロ,ベースジャンプやビッグウェーブサーフィン,カヤッキングなどエクストリームスポーツの実例が凄い…
    原書はディーン・ポッターがヨセミテでベースジャンプ→ウイングスーツで飛行中に事故死する前の刊行,邦訳にはその旨注釈があった。
    "Ultimate Rush: Dean Potter Freebase" を YouTube で見る https://youtu.be/iqEkFBNiP3c

  • Xミッション鑑賞前の予備知識というつもりで読んでみた。
    フローなる現象については何やら学術的な議論が繰り広げられている模様、という程度にサラッと読んだだけだったけれど、エクストリームスポーツを通して経験したフロー体験を語るアスリート達のインタビューが豊富で、ハラハラしながら読めました。

全15件中 1 - 15件を表示

スティーヴン・コトラーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×