作品紹介・あらすじ

アメリカの歴史ある文芸誌《ニューヨーカー》。その掲載作から名アンソロジストが傑作を選出。最終巻となる第三巻はアリス・マンロー、スティーヴン・キング、カレン・ラッセルらの十四篇を収録

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ジョナサン・フランゼンの短編が収録されているので手に取った一冊。長編をそのままギュっと凝縮したような、あるいは特別面白い章を抜き出したような面白さだった。それ以外にもジョン・アップダイクの「満杯」が良かった。けれども一番の収穫はスティーブン・キング。言わずと知れたサスペンス・ホラーの巨匠だが、食わず嫌いでこれまで一度も読んだことがなかった(『ハンニバル』など、映画はいくつか観たが)。こんなにウィットに富んだ小説を書く作家ならぜひ他にも読んでみたい。

  • <ニューヨーカー>傑作集Ⅲは1990年代~2010年代の14編。トレヴァー「昔の恋人」がすごい。71歳のゾウイは、夫が昔関係をもった女とその親友、そして自分自身の40年間に思いを馳せる。ゾウイの想像の中に登場する女たちは、彼女自身を投影した姿でもあるだろう。何層にも重なりあう心の機微を鮮やかに見せて、唸るほど素晴らしい。アップダイク最後の短篇「満杯」は人生の苦い実感が沁みる。その他、短い頁に小宇宙を詰め込んだミルハウザー「ハラド四世の治世に」、Mスパーク、トバイアス・ウルフ、Jバーンズ等々、極上のアンソロジーでした。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

Willam Trevor Cox 1928-2016.
1928年、アイルランド・コーク州生まれ。
本書はペンギン社版
トレヴァー短編集『After Rain』(1996)の全訳。
邦訳書に、
『同窓』
(オリオン社、鈴木英也訳、1981年)、
『リッツホテルの天使達』
(ほおずき書籍、後恵子訳、1983年)、
『20世紀イギリス短篇選 下 岩波文庫』
(「欠損家庭」(ウィリアム・トレヴァー)所収、
 小野寺健編訳、岩波書店、1987年)、
『フールズ・オブ・フォーチュン』
(論創社、岩見寿子訳、1992年)、
『むずかしい愛  現代英米愛の小説集』
(「ピアノ調律師の妻たち」(ウイリアム・トレヴァー)所収、
 朝日新聞社、柴田元幸・畔柳和代 訳、1999年)
『フェリシアの旅  角川文庫』
(アトム・エゴヤン監督映画化原作、角川書店、皆川孝子訳、2000年)、
『聖母の贈り物  短篇小説の快楽』
(国書刊行会、栩木伸明訳、2007年)、
『密会 新潮クレスト・ブックス』
(中野恵津子訳、新潮社、2008年)、
『アイルランド・ストーリーズ』
(栩木伸明 訳、国書刊行会、2010年)、
『恋と夏  ウィリアム・トレヴァー・コレクション』
(谷垣暁美 訳、国書刊行会、2015年)、
『異国の出来事  ウィリアム・トレヴァー・コレクション』
(栩木伸明 訳、国書刊行会、2016年)、
『ベスト・ストーリーズIII カボチャ頭』
(「昔の恋人 ウィリアム・トレヴァー」所収、
 宮脇孝雄 訳、早川書房、2016年)、
『ふたつの人生  ウィリアム・トレヴァー・コレクション』
(栩木伸明 訳、国書刊行会、2017年)、
『ラスト・ストーリーズ』
(栩木伸明 訳、国書刊行会、2020年)ほか。



「2009年 『アフター・レイン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ウィリアム・トレヴァーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×