わすれて、わすれて

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著者 : 清水杜氏彦
  • 早川書房 (2016年9月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152096395

わすれて、わすれての感想・レビュー・書評

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  • 前作「うそつき、うそつき」から、おそらくさらに時は流れて管理社会からは程遠く、世界は犯罪と暴力の国になった。

    奪われた少女たちが求めたものは復讐と忘却。
    魔法の本の使い道がちょっと残念。
    傷ついて、復讐に向かう美しい少女たちは何とも危うい。

    ロードノベルで青春小説だけど、ミステリではなかった。

  • 買ったのは発売直後の昨年9月か10月頃でしたが、約1年近くも積読にしていたことを悔やみました。こんなにハマるとは想像もしてなかったので。

    個人的に好きな要素しかありませんでした。ロードノベルであり、ノワール小説でもあり、少しSFの要素もあり、ミステリー風味もあり、ある意味で青春小説であり、そして百合でもある……。
    ジャンル横断的で、かつジャンル分け不要な作品だと思います。とてもユニークな小説です。

    何より文体がとても好みでした。基本的に描写は乾いていて無駄を適切に削ぎ落していますが、それと同時に、会話のテンポの良さが異常でした。何気ない会話でもしっかりキャラが立つように書かれているのが素晴らしいです。

    気付いたら、久しぶりに話にもの凄く深く感情移入しながら読んでいたので、展開の起伏に合わせて気持ちを揺さぶられるようでした。それもあって、本全体の約3分の1を残したところでのあの急展開の連続は、まさに頭を殴られるような衝撃でした。
    それでも、あの喪失はこの物語の主題を描く上で必要不可欠なものだと思います。復讐の連鎖に加わることを理性では反対できていても、いざ自分が大切な人を喪った時にどうするか。この葛藤が物語を貫く良いテーマだと思います。
    軽やかな文章運びでありつつ、難しい問いに対する真剣な姿勢を崩していないところも、この本に惹かれる理由かもしれません。

    読了した後には、喪失感と充足感を同時に覚えたような奇妙な気がしました。それこそ、この本を閉じた瞬間に自分も何か記憶を喪ったような。私自身、もの覚えが悪くてすぐ記憶が曖昧になる人間ですが、これだけ思い出の詰まったリリイ達の旅を、忘れたくはないと感じました。
    本の内容を忘れないでいるようにするためには、方法は一つ。何度も読むしかありません。時を置いてふと読み返したくなる本というものがごく少数ありますが、きっとこの本もまたいつか読み返したくなると思います。ふと旅に出たくなった時とかに。

    先の通り文体が非常に好きだったので、読んでいる途中からもう同作者の他の本も買うことに決めていました。個人的にファンになるには十分な1作です。

  • 荒廃したこの世界では理不尽な暴力で
    色々なものが失われる。
    両親を殺された少女、カレンは祖父から引き継がれた
    「記憶を消すことができるノート」を持ち
    リリイ・ザ・フラッシャーと綽名される
    早撃ちで有名な国一番の銃の使い手リリイと
    復讐の旅に出る。

    前作の「うそつき、うそつき」の世界観が
    好きだったので続編だと思って読んだのですが
    続編ではなかったですね…
    淡々とした文章と救いのない世界観は
    共通していたのですが淡々としすぎて
    印象に残らないのが残念ですね…

    物語のポイントは
    「忘れたい事を書くと、忘れられる本」。
    忘れる事で復讐の連鎖は断ち切れるのかというと
    どうなのだろう…と…
    カレンの「私は可哀想な被害者なのだから
    復讐してもいい」という考え方が哀しくも
    危なっかしく、それを否定できないほどに
    少女たちは幼い。
    美少女二人の復讐のロードノベルですが
    お菓子のように甘い雰囲気はなく
    全体に世界がモノトーンのように感じられる物語。

  • 記憶を消すことができるノートと、それを修正して思い出すことができるペン。この二つのガジェットの使い方で魅せてくれると思いきや、そこまで予想外でもないので面白味に欠ける。

    全体的に驚くような斬新さがない話。それなのに、ところどころの文章で、「私、センスいいでしょう?」という作者のドヤ顔が見えるようで、居心地が悪いと感じてしまう。
    これは前作「うそつき、うそつき」でも感じたことだ。作者の考える驚きのレベルが低すぎる気がする。この程度のネタではミステリーは書けないだろう。少女たちの復讐ロードノベルということで、ミステリーを期待してはいけないのかもしれないが……。

    また、アクション・シーンの貧相さに苦笑してしまう。想像で補うことが前提となっているようだ。しかし想像すると明らかにおかしいような動きがあるので困りもの。

    ラストも「正直あんまり考えていなかったのかな?」と思わせる微妙さ。テキトーだなぁ……と思ってしまった。

    色々書いたが、文字数は少ないしサクサク読めることは読める。不思議な雰囲気や世界観も、慣れれば意外と肌になじんでくる。
    凄くつまらないってわけではない。ジュブナイルとしてなら悪くないと思う。(だが、児童書にはこれよりも面白いものがいくらでもあるだろうなぁ。)

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わすれて、わすれての作品紹介

両親を殺された少女リリイは、同じく親を殺された親友カレンの復讐の旅に付き合う。カレンは記した事柄を忘れられるふしぎな本の持ち主だった。第五回アガサ・クリスティー賞作家の受賞第一作。

わすれて、わすれてのKindle版

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