ボーン・トゥ・ラン 上: ブルース・スプリングスティーン自伝

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152096401

作品紹介・あらすじ

アメリカを代表するロック・ミュージシャン、ブルース・スプリングスティーンが七年の歳月を掛けて執筆した、史上初めての自伝。その生い立ちから代表的アルバムの誕生秘話まですべてを明かす!

感想・レビュー・書評

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  • 自分自身について書くことは、奇妙な体験だ……しかしこの種の企画では、執筆者はひとつ約束をすることになっている。読者に自分の心の内を明かすという約束だ。だからおれはこの本の中で、そうしようと心がけた。
    ―ブルース・スプリングスティーン(本文より)
    ロックンロールの伝説、ブルース・スプリングスティーンが7年の歳月を掛けて執筆した初の自伝『ボーン・トゥ・ラン』(鈴木恵、加賀山卓朗・他訳、解説:五十嵐正、上下巻、46判上製)を平成29年9月27日に全世界同時発売した。ニュージャージーでの子供時代、エルヴィス・プレスリーから受けた衝撃、バー・バンドのキングとして君臨した若き日々、Eストリート・バンドの黎明期、プライベートな苦悩、そして「明日なき暴走」「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」等の名曲誕生秘話が赤裸々に明かされる一冊。音楽史に残る、決定版の自伝です。

    自分を溺愛したお祖母さん、よそよそしく自分を受け入れず家庭内での競争相手として自分を扱う父親とブルースの確執。
    「ザ・リバー」は、17歳で結婚して苦労しながら家庭を守った妹ヴァージニアのことを唄った曲。
    弁護士の秘書としてバリバリ働いていた母からブルースは、基本的な道徳やプロ意識や自分が仕事をすることの喜びなどを学び、ブルースは母の期待に応えるよう頑張った。
    エルヴィス・プレスリーやビートルズでロックンロールに目覚めたブルースが、ギターを練習してバンドをやるためにバイトに専念した。
    自分のセールスポイントがソングライティングであることに気付いたブルースが、ボブ・ディランからどのような影響を受けたか。
    クラブやライブハウスで経験を積んだブルースが、Eストリートバンドのメンバーとどのように出会ったか。
    最初のマネージャー・マイク・アペルとブルースの関係。
    なかなかアルバムのセールスが伸びなかったブルースの突破口になった、ジョン・ランダウとの出会い。
    自分の音楽に対する権利を手に入れるための元マネージャー・マイク・アペルとの裁判では、ブルースは自分の欠点である人の気持ちを優先し過ぎるところを克服して頑張った。
    アルバム「闇に吠える街」の制作中にマイク・アペルが支払っていなかったスタジオの使用料などをブルースが代わりに払ったため金欠状態だったブルースは、レコーディング中にアニマルズやウディ・ガスリーの曲にインスピレーションを得て、自分が労働者階級出身であるというアイデンティティと自分の父親の人生を困難にした心理的要因と労働者を締め付ける政治的な問題を考えざるを得なくなり音楽的アイデンティティに目覚めた。
    アルバム「ザ・リバー」は結婚と血縁と家庭についてのアルバムだったけど、ブルース自身は自分を結婚に向かない人間だと思い込んでいた。
    アルバム制作後の全米旅行中にブルースは、自分が日常生活や恋愛から逃げ続けてきたことそしてひどく孤独であることに気付いた。
    家でもリラックスすることがなく心の中に閉じ籠ることが多かったブルースは、子供の頃その心の中の砦は家庭のストレスに耐えるためや自分のものを守るために役立ったけど、大人になると自分を不当に孤立させ疎外感を封印し自分の感情を押し殺す役割になってしまっていた。
    鬱症状を発症したブルースは、ジョン・ランダウと相談してカウンセリングを受けることにした。
    マイヤーズ医師とブルースの鬱と向き合うカウンセリングと治療は、一歩進んで二歩下がる闘いで、「1日1日、1回1回乗り切り自分は変われるかもしれない」とためらいがちに信じることが頼りの長い旅だった。
    「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」は、生まれた祖国に対する誇りと祖国に対する批判的な愛国心という矛盾した内容やレーガン大統領が間違った文脈で政治利用されたことから、ブルースの曲では最も誤解された曲。
    スティーヴ・ヴァン・ザンドがアルバム「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」制作中にEストリートバンドを脱退したのは、ブルースとジョン・ランダウの親密な関係にスティーヴが疎外感を感じたことやブルースが目指す音楽的方向性にスティーヴが賛成しなかったことやブルースの音楽の制作にスティーヴがもっと大きい役割を果たしたい不満もあるが、自分のグループを率いて自分のステージをやりたいスティーヴの気持ちが大きくなったため。その時のブルースの気持ちは、「ボビージーン」に表れている。
    後にブルースの最愛の妻となるパティ・スキャルファがブルースとEストリートバンドに与えた影響と役割は、Eストリートバンドが典型的なボーイズクラブ的なロックバンドから脱却して大人の人生を体現したロックバンドに成長させること。
    ブルースがEストリートバンドの活動休止した理由は、大人としての生活を確立したかったからとバンドの方向性に迷いを感じ燃え尽きた感じがしたから。
    アルバム「トンネル・オブ・ラブ」は、結婚生活で感じた不安や葛藤や愛を描いたアルバム。
    ブルースがパティ・スキャルファと深く愛し合うようになったのは、パティがブルースの内面をよく理解していてブルースがパティの前でありのままでいられたから。
    カリフォルニアでブルースの鬱は改善の兆しが見えたけど、パティはブルースのいいかげんな態度にブチキレ態度を改めるか別れるか決めろと大喧嘩になった。
    この大喧嘩がきっかけになって、ブルースとパティはより深く強い絆で結ばれた。
    反抗的な息子サムとの関係作りの中でブルースは、親が息子を尊敬しなければ息子は親を尊敬しない、親が日常生活の細やかなことに対してきちんと世話をしてくれるから子供は自分が尊重されていると実感して親を尊敬することが出来ると学んだ。
    ブルースとパティは、子供の学校行事や家庭行事を優先するライブなどのスケジュール作りをしたり、ブルースが曲作りしている時も子供が相手をして欲しがったら曲作りを中断して一緒に過ごす、ブルースが早起きして子供にご飯を食べさせたりした。
    オルガン担当のダニーやサックス担当のクラレンスの死の悲しみによるブルースが鬱を再発させたり、ダニーやクラレンスの不在にブルースがどう対処したか。
    ブルースと父親の和解などを赤裸々にブルース自身が語り尽くした、ロックそして人生そのものの自伝。

  • 本は脳を育てる:https://www.lib.hokudai.ac.jp/book/index_detail.php?SSID=5060
    推薦者 : 中村 重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター

    “ボス”と呼ばれるアメリカのロックンロール・ミュージシャン、ブルース・スプリングスティーンが7年をかけて執筆した自伝である。この本から彼の音楽に対する姿勢を窺えるのは当然だが、それ以上にアメリカ東海岸の労働者階級の家庭にアイルランド系、イタリア系、オランダ系という様々な血脈を受けて生まれ育ったスプリングスティーンが自分の出自を絶えず意識しながら音楽を作り演奏していく姿は、日本人のかなりの部分=日本(ヤマト)民族という出自を普段意識することのない存在には、強い印象を与えるであろう。彼の音楽が好きな人だけでなく、帰属意識(カタカナ言葉で言えばアイデンティティ)や、政治と音楽との関わり、あるいはアメリカショービジネスの現実といったことに関心がある人に広く薦めたい。
    ちなみに、この本の標題にもなっている彼の曲“Born to run”を、―この本でもおそらくは仕方なく使っているけれども―「明日なき暴走」と日本語訳したのは、本当に大迷訳だとつくづく思う。

  • ロック・ミュージシャンの自伝

  • 2022/7/24購入
    2022/8/13読了

  • 明日なき暴走の章に来た時の付箋量…とても丁寧に生い立ちやキャリアが描かれている。ただ、個別の曲を取り出して「これはこういう事を言っている」などと自分で解説しちゃってるのはいただけない。

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