- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152096678
作品紹介・あらすじ
アメリカで薬物の過剰摂取による死亡者が増え続けている。厳しい取り締まりで防げないのはなぜか。薬物の人体への影響を調査し、さらに貧困や人種差別などの社会の分断と依存の関係を丹念に検証。「人生を棒に振る」ことを強いるのは薬物か、社会の不公正か。
感想・レビュー・書評
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アメリカのドラッグ政策の失敗を、黒人というルーツを持つ神経学者の立場から批判する本。
現在違法になっているドラッグの依存性は世間で言われているほど強くなく、ドラッグ依存による事件はドラッグそのものというよりも、黒人に対する差別やアメリカの階層社会が産んでいる、という主張が科学的事実を通して展開されていた。
実験結果に基づく政策批判のパートは面白かった。一方、著者が半生を語るパートがやや冗長で退屈だった。DJのところとかほとんどいらないような気がする。
貧困地帯に生まれた黒人の人生が詳細に綴られていたのは興味深かったが、伝えたい科学的事実と著者のエピソードをもう少し効果的に関連づけられていたら、より楽しんで読めたと思う。
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よくぞここまで書いたなと尊敬する。読んでいるこちらも辛くなるところがあった。
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摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50049519 -
P46
私は時間をかけて、いくつかの異なる「言語」を操れるようにならなくてはならなかった。具体的には、私の家やストリートで使われる、とかく非言語的な仲間言葉、メインストリームの英語、そして神経科学分野で用いられる高度な専門用語などだ。 -
黒人である筆者の自伝を踏まえた、黒人のアメリカにおける社会的状況と、実験から得られたドラッグの実態が書かれている。
ドラッグは言われているほど危険なものではないとする実験結果は受け入れるとしても、一律に刑事罰の対象から外すべきと言う主張は受け入れがたい。
製造と販売は厳罰を課し、使用については逮捕回数等で刑事罰とするか分けると言った対応を検討すべきか。 -
クラック・コカイン、粉末コカイン、ヘロイン、マリファナ、覚醒剤、などなど色んなドラッグの話題が出てくる。
マウス、ラット、サルを使った動物実験、人間を使った実験の結果など。
ドラッグのなかにはコカインのように明らかな離脱症状(禁断症状)が出ない薬物もある。
著者のカール・ハートは神経精神薬理学の分野で論文を発表してる黒人の教授で、黒人の視点から、黒人社会に浸透したドラッグがもたらした作用など、社会学的な視点もある。
黒人の彼がコロンビア大学に入って、学問の世界で地位を築くにつれ、白人社会の中で神経をすり減らした事なども書いてある。
アイヴィーリーグの名門校ですら、未だに、黒人差別が存在するんだ。