逆転交渉術――まずは「ノー」を引き出せ

  • 早川書房
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152097712

作品紹介・あらすじ

商談、トラブル対処、賃上げ、家事の分担……これもすべて交渉。主張を押し付けられたり、譲歩したりしていませんか? 相手の「ノー」に耳を傾け、最後の「イエス」を引き出すこの方法を使えば、協力関係が深まり、最高の結果が得られます。全米ベストセラー。

感想・レビュー・書評

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  • 読み物として、FBIの立場で携わった交渉ごとのストーリーは面白いものでした。
    また交渉時に表出する事象に対して数々の洞察があります。

    ① 相手が本当に要求したいものを理解する必要がある。誘拐犯が金銭を要求しても、テロ組織の活動資金にしたいのか週末のパーティで豪遊したいのかで、交渉の進め方(優位性)が変わる。
    (声、戦術的共感、ラベリング、要約=「その通りだといわせる」)
    ② 相手が常に主導権を握らせる(ように見せる)。こちら側が相手を理解している、という関係性を構築する。
    (①+「ノー」と言わせる誘導)
    ③ こちらの「ゴール」にむけて、相手を誘導する。特に、「相手がこちらを理解して協力せねばならない」状況を作る。
    (アンカー、狙いを定めた質問)

    そのうえで『一般的なサラリーマンがビジネス本としてこの本を読む』という目線だと、
    ・かなり大きい交渉事(金銭が関連するもの)を想定されており、日常的な関係性構築に使うのは難しい手法では。会社間、部署間での交渉事には有用と思うが、近い組織や上司に対してなんでもかんでもこの内容を盛り込むと、なんというか、嫌われるのではないか。。。そのようなリスクに関しては書かれていない。(そういう読者は想定されていない?)
    ・少々内容が冗長に感じました。

    会社間の交渉ごとにこれからあたる方などは、一読の価値がある本と思います。

  • 交渉の極意がたくさん詰まっています。

  • <どんな本?一言で紹介>

    職場や家庭でのやりとりは全てが交渉。
    あえて「ノー」と言わせて本音を聞きだす、元FBIネゴシエーターの極秘テクニック。

    <どんな人におすすめ?>
    営業職、セールスが必要な人。
    組織を動かすときのコミュニケーションに悩んでいる人。
    リーダーになりたい人。

    <読んだら、どんなことが分かるの?>

    元FBIネゴシエーターのトップがおくる、現場での交渉経験とスクールでの交渉理論とを融合させた独自の交渉術。

    ・ 交渉の新しいルール―ハーバード流交渉術を超える
    ・ 相手のことばをくり返す―ミラーリングで説明を促す

    ・相手の痛みは、感じるのではなく言語化せよ―ラベリングと戦術的共感
    ・相手の「ノー」から交渉ははじまる―拒否の返事はこわくない

    ・どんな交渉もひっくり返す魔法のことば―要約で相手を誘導する
    ・現実のとらえ方を変えさせる―「公正さ」という武器の取りあつかい方

    ・理想の解決策を相手から引き出す―対決から協力に変える“狙いを定めた質問"
    ・実行すると保証する―重要人物全員の確約を得るには?

    ・値切り交渉は熱く―中間点で妥協しない戦略
    ・隠された情報を見つける―交渉を逆転させるブラック・スワンの在り処

    <日々の生活、仕事などに活かせるポイント>

    1.相手からの信頼を得ながら、情報を収集する

    まずは「アクティブ・リスニング(積極的傾聴)」。目標は「相手が何を必要としているのか」を見極めること。そして、要求について相手が少しでも話せるように、安心感を与えること。その時には、交渉をスローダウンさせるのが望ましい。こちらが急ぎすぎると、相手は「話を聞いてもらえない」と感じる可能性がある。

    また、相手との絆を形成するには、「ミラーリング」が効果的だ。「申し訳ないが……」と切り出し、相手の言葉をオウム返しのように反復する。そして、しばし沈黙することでその先を促す。相手が言った最後の言葉か、重大な言葉をくり返す。これは、相手からの信頼を得ながら情報を収集できる、確実な手法だ。「ミラーリング」の際は、深く柔らかな、落ち着いた理性的な声を使うと良い。この声で語尾を下げて話せば、「主導権はこちらにある」というメッセージが伝わる。

    2.最初は「ノー」と言わせ、「そのとおりだ」に導く
    著者が交渉時にすすめるのは、「戦術的共感」。これは相手の感情を理解し、その感情の「裏」にも耳を傾けて、こちらの影響力を増大させることを指す。相手の感情を受け入れた後は、それを言語化し、共感を示す「ラベリング」の出番。「ラベリング」は、人の感情を受け入れることで、それを認証する手段だ。相手の感情に名前をつけて、相手の感情に自分を重ね合わせていることを知らせることができる。

    大切なのは、いったん「ラベリング」したら、黙って相手の話に耳を傾けること。また、相手から非難されそうな点については、事前に洗い出しておく「非難の聴取」によって対処するとよい。相手が言いかねない最悪のことをリストに書き出し、相手に言われる前に、先回りして口に出す。これによって、相手の感情をかなり弱められるはずだ。非難をこちらから口にすることで、相手に「そうではない」と言わせやすくなる。

    交渉を進展させるためのカギは何か。それは「ノー」「そのとおりだ」と答えさせること。「ノー」は交渉の起点であって、終点ではない。実際にはこちらが主導権を握っているのに、相手に「やり取りをコントロールしているのは自分だ」と錯覚させ、安心感を与えるのが重要だ。

    どんな交渉においても、最も甘美な言葉は、「そのとおりだ」。これは「相手の言ったことが正しい」と、自分の意志で公言したことになる。「そのとおりだ」を引き出すには、「要約」が有効。よい要約とは、言われたことの意味を声に出してくり返すこと。そして、その意味の背後にある感情を受け止めることである。つまり、言い換え+ラベリングだ。

    3.「狙いを定めた質問」を投げかけることで、こちらの思う方向へ誘導できる
    「対決」から「協力」に変えるには、「狙いを定めた質問」が有効。相手からの要求に対し、「どうしたら」「どうやって」など、イエスかノーかでは答えられない質問を返す。これにより、こちらの問題を相手に考えさせるという手法だ。「できない」と突っぱねるのではなく、直接「ノー」と言わずに「ノー」を伝える。そのうえで、相手をこちらの思う方向へ誘導するのが肝。
    たとえば巨額の身代金を要求されたとしよう。「どうしたらそんなに用意できるのか」という質問で返せばどうか。誘拐犯のほうが考えを巡らせ、歩み寄るかもしれない。狙いを定めた質問によって助けを求めることで、相手に「自分が主導権を握っている」と錯覚させるのだ。

    交渉では、相手の現実を曲げることも時に必要となる。その場合、現実の数字や事実ではなく、相手の感情に的を絞ってアンカー(錨)をおろすとよい。相手の恐れをすべて受け止める「非難の聴取」を行う。
    自分がオファーをする前に、それがいかに良くないものかを告げて、感情面のアンカーを固定しよう。アンカーで固定されると、「論理的」で「公正」な事実よりもむしろ、「不合理な感情」に左右されざるを得なくなる。

    数字を言う段が来たら、極端なアンカーをおくことで自分の「本心の」アンカーが妥当なものだと思わせるとよい。あるいは、数字に幅を持たせて、あまり強気だと思われないようにする。人は利益を得るためよりも損失を回避するために、より大きなリスクを取る。何もしなければ失うものがあるということを、相手にわからせることが重要だ。

    <感想>
    仲良くなることはできても、なかなか提案が通らない。そんな経験が多かったので、攻める交渉、戦略的共感ができる考え方や実践を知れるのはありがたい。上記以外にも、「交渉相手の3タイプ」や「ブラック・スワン」など、読みどころが多々ある交渉術の本。

  • 学生購入希望で購入した図書(2019年度)
    【所在】3F開架
    【請求記号】361.3||VO

    【OPACへのリンク】
    https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/book/187493

    これまでに学生購入希望で購入した図書の一覧は
    http://www.lib.tut.ac.jp/irai/kibo.html#konyu_kibolist
    こちらで確認できます

  • テロリストとの交渉という極端なシチュエーションながら、最後は価格交渉でのポイントにつながるなど、読み応えのある内容だった。

  • 前半はなるほどタフな交渉に関わってきた著者の体験談で成り、読み物としてもおもしろい上に含蓄のある、交渉での相手との向き合い方などがびっしりでしたが、後半になるにつれて同じような内容が繰り返されるようになります。

    「交渉は戦いではない。発見だ」

    「人は『イエス』と言わされそうだと感じると守りに入る。わざと(なんでもいいから)『ノー』と言わせて、相手に主導権があるように勘違いさせよう」

    「『どうしたら〜できるというのですか?』という質問は相手に主導権があるように錯覚させつつ、相手を不安定にさせる。穏やかな『ノー』でもある」

    「相手の痛みを“理解”すること。共感する必要はない。理解して繰り返し言葉にだしていう。ラベリングとミラーリング。相手は、理解されたい、と思っているのだ」

  • 20年ほど前にハーバード大学の交渉術として相手の「Yes」を引き出す事、win-winなどの言葉がはやった。
    ハーバード流交渉術
    1.人(感情)と問題とを切り離す
    2,相手の立場(何を要求しているか)に囚われず、相手の利益(なぜそれを求めているのか)に焦点を合わせ相手の本当に望んでいるものを突き止める
    3,協力してwin-winの選択肢を導き出す
    4.その解決策が現実可能かどうかを判断するため互いが合意できる基準を選択する。

    本書はFBIのネゴシエーターのトップが自分の経験や、ハーバード大学の冬講座を受けた話などを基に、FBIのネゴシエーターの交渉術の骨格を紹介している。
    その本質は、ハーバード大学とは真逆の「No」を引き出せ。

    そもそもFBIのネゴシエーターが交渉するのは銀行に立ち籠っている凶悪犯など、おおよそwin-winの関係を築く事など最初から期待できないような相手。
    そんな相手と交渉して事件を解決に導くのだから、世間では激しいと言われるビジネスの交渉事などの比ではない。
    本文で「yes」を引き出しても、それは時間稼ぎで、実際にYesと言った事はしないという話があった。子供の勉強をさせるための様々な方法とその結果を考えると、Yesは改善には何も役立たなかったのだと理解しながら読んだ。

    とてもためになる事が数多く書かれたが、どうも翻訳が自分に合っていなかった様で、なかなか読み進められない上に、なかなか頭に入っていかなかった。

    文末に「交渉のためのワンシート」が書いてあった。今後の交渉をシナリオを考えるときに役立てたい。
    ・ゴール:最良と最悪のシナリオを熟慮しておくが、最良の結果を表す具体的なゴールだけを書き留める。
    ゴール設定のステップ
    1.楽観的だが合理的なゴールを設定し明確に定義する
    2.それを書き留める
    3.そのゴールについて仲間と話し合う(そうすれば弱音を吐きづらくなる)
    4.書かれたゴールを交渉にもっていく

    ・要約:交渉を行うきっかけになった既知の事実を要約して2,3分だけ書き出す

    ・ラベリングと非難の聴取:要約した事実について、相手がどのように感じているかを予想する。
    非難の聴取を行うためのラベルを用意する
    (  )はあなたにとって価値があるようですね
    あなたは(  )が好きではないようですね
    あなたは(  )に価値を置いているようですね
    (  )がそれを簡単にするようですね
    あなたは(  )には気が進まないようですね

    ・狙いを定めた質問:3~5の「狙いを定めた質問」を用意してあなたと相手にとっての価値を明らかにして取引を波状させる恐れのあるものを見つけ出して克服する
    私たちは何を達成しようとしているのですが?/それはどのように価値があるのですか?/ここでの問題の核心は何ですか?/それはどのように影響を及ぼしますか?など

    ・交渉テーブルの背後にある取引成立の妨げとなるものを特定するための質問
    これはあなたにどのように影響を及ぼしますか?/この決定に賛成しない人たちとはどのように認識を共有しますか?など

    取引成立を妨げる問題を特定し発散させるための質問
    交渉は驚くほど高い割合で金銭とは別の要素が決め手になっている

    取引成立を妨げる問題を暴くために使う質問
    ・私たちがぶつかっている問題とは何でしょうか?
    ・あなたが直面している最大の難題とは何でしょうか?
    ・もし何もしなければ何が起きますか?

    金銭以外の条件の提示

  • この本に三年前に出会っていたなら…。「人生とは交渉である」と著者は語る。
    著者はFBIの主席交渉人としてテロリストや立て籠り事件、誘拐事件の現場で相手側と対峙してきた人物。現場での交渉経験とスクールでの交渉理論とを融合させた独自の交渉術を展開する。
    職場や家庭でのやりとりは全てが交渉。様々なシーンで使える要素を実例で紹介しているので飽きずに読み進めることができた。

  • 非常に勉強になった。原書が英語ということで、日本語に言葉を翻訳した際に英語でのこの言い回しが日本語にそのままあてはまるかな?と疑問に思うこともあったが、9割以上は使えるテクニック集だと思う。

  • すべては論理で解決できない世界の交渉術。
    面白い!

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