爆発の三つの欠片(かけら) (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

  • 早川書房
3.56
  • (2)
  • (6)
  • (7)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 115
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (572ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784153350304
#SF

作品紹介・あらすじ

豚の頭をかぶる男、病気の患者を演じる女……。英国SF界のトップランナー、チャイナ・ミエヴィルが、人間のもつシュールで残酷な面を鋭く描き出し心に爪痕をのこす28の物語を収録した短篇集。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「ゼッケン」と「恐ろしい結末」は面白い。

  • (途中)
    1.2.表題作、新死(new death):情景はおもしろいが不条理。
    3.ポリニア:アイディア、ストーリーはわかるが盛り上がりに欠ける。
    4.蜂の皇太后:普通に面白かった。設定がかっこいい。セオリー的に主人公は破滅するだろうと思わせておいて救われるというのが意外だが、超自然的な法則を人間が出し抜いた感があってなかなか好き。おそらく恋人も同じようにカードを隠し持っていたんだろうな。
    5.山腹にて:イメージは美しいがオチがわからなかった…。
    6.クローラー:よくわからんが不穏な感じ。異形の種族との戦いは「ジェイクをさがして」の中の鏡の話に雰囲気が似ているな。
    7.神を見る目:よくわからなかった…船が来て、格言がどうとか…。
    8.9.9番目のテクニック、〈ザ・ロープ〉こそが世界:割とよくまとまっていた。「9番目」拷問に使われた道具を魔術のアイテムにという発想がおもしろい。「ザ・ロープ」はめっちゃ普通のSF。エレベータの中が一つのコミュニティになっていく様子はテッド・チャンの「バビロンの塔」に似ていた。
    10.ノスリの卵:リリカルというのかな…語り手の独りよがり感もあるのだが、そこも含めて切ない感じで良い。
    11.ゼッケン:処刑方法や、びちゃびちゃした袋が襲ってくるイメージの怖さは良かった。怪異の原因を推理→お祓いはダメ→自己流で解決→と思ったら結局ダメだった、って、オーソドックスなホラーの構成。しかし調べ方がネットでキーワード検索とかお手軽すぎるし(研究者だったから論文DB?に入れたという特殊設定はあるが)、司祭に見切りをつけるのが早すぎたり(ていうか置いていくなよ!)、猿がダメなら猫でOKとか、けっこうディティールが雑だな。いや、中世的な怪異に対してネット検索という現代っ子的解決手段のギャップは作者の持ち味っぽくて好きだが。
    12.シラバス:アイディアだけの掌編。こういう、特殊な世界設定の断片だけを小難しい専門用語を駆使してそれっぽく提示するのってかっこいい。
    13.恐ろしい結末:アイディアもおもしろいし話もよくまとまっている。
    14.祝祭のあと:動物の頭の描写の気持ち悪さが…。頭部を被っていただけだったのにその動物の足跡が出てくるのが、不穏さが出ていてよい。
    15.土埃まみれの帽子:わけわからな過ぎてしんどかった…。ただ道路とか海とかスケールのでかいものを擬人化というか意思のあるものに見立てるのは作者の作風っぽいな。
    16.脱出者:「クローラー」よりもさらに漠然としているな。「土埃」に続いてよくわからない流れでつらかった。
    17.バスタード・プロンプト:おもしろかった。
    18.ルール:人類最後に飛行機の真似をした子供という概念はなんかぐっとくるものがあったな。
    19.団地:ウサギの耳に刃物を仕込む等のエグいアイディアがすごい。
    20.キープ:比較的長い話なのに最後までわからない…終末観感はなんとなく出ていた。
    21.切断主義第二宣言:任意の表現と思われていたものが、観測不可能だった現実を再現あるいは予見していたことがわかるのって、「あなたの人生の物語」みたい。「バスタード・プロンプト」も同じ類型だな。こういうの好き。
    22.コヴハイズ:現実にあったプラットフォームの名前が出てくるのがリアリティあってかっこいい。巨大構造物が動くイメージもかっこよくて好き。
    23.饗応:不謹慎な作品に対してマスコミや色んな思想団体が騒ぐのが、ディティールがやたらとリアルでそれだけでも面白かったが、最後のお墓のくだりで、吸血鬼がほんとにいる…?みたいなことをにおわせていて、すっきりしないまま終わる。しかし「吸血鬼アンネ・フランク」はすごいな。なかなか思いつかない言葉の組み合わせだ。
    24.最後の瞬間のオルフェウス4種:1~3があまりにもくだらなくてオルフェウスあほなのかよと思うが、4できれいにオチをつけてる。
    25.不気味な額縁の描写が秀逸。最後にシムが自分の顔を額縁に入れてるのが怖い。
    26.鳥の声を聞け:全然わからん!
    27.馬:なんともいえない寂しさがある。
    28.デザイン:最後にふさわしい美しいイメージとちゃんとしたストーリー。主人公二人の静かな心の交流もいい。

  • やっと読み終わったよ。チャイナ・ミエヴィル”奇想”の人。よく判らない話、オチ、どこ?な話が多いよ。「セッケン」「デザイン」面白かった。積読の「ジェイクをさがして」「ベルディート・ストリート・ステーション」「クラーケン」どうするよ?

  • 暗く鮮やかな奇想溢れる28短篇。どれも密度が濃い。死体が見る者に対して常に足を向ける「<新死>の条件」や、医学生のために患者を演じる“模擬患者”となった恋人に異変が起きる「バスタード・プロンプト」、ある条件下で患者が壊滅的な症状を呈する「キープ」など、倒錯した「病」が世界を狂わせる物語が面白かった。思弁的な作風かと思えば、沈没した石油プラットフォームがゴジラの如く上陸してくる「コヴハイズ」や、ゾンビ同志が争う「クローラー」などB級テイストも。2000年前に起きた火山噴火まで、人間と羽根を持つ<コラボレーター>が共存していたという「山腹にて」も良かった。怖かったのは「ゼッケン」、何か邪悪な者の、じっとりとして濃密な気配に慄く(2015)

  • 著者名だけで無条件に読もうと思う作家の一人。
    28 の作品からなる短篇集。
    こんなに多くの奇想はいったいどこからやって来るのか。
    ただただ読むだけ。楽しむだけ。

  • ミエヴィルらしさがたっぷりつまった短編集。どの作品もイメージ喚起が半端ない。。正直、何が書かれてるのか理解できないのもいくつかあったが、それらも含めてとても面白かった。気に入ったのは、「ポリニア」(空に浮かぶ流氷!)「ゼッケン」(情景が詳細に頭に浮かんで怖すぎ)「祝祭のあと」(ブラックユーモア炸裂)「コヴハイズ 」(石油コンビナートの赤ちゃんに萌える)。

  • ミエヴィルの2冊目の短編集。28編収録ということで、ボリュームも読み応えもたっぷり。
    SFというジャンルからは外れているように思えるものも散見されるが、バラエティに富んでいるという意味でも面白い短編集だった。
    個人的には掌編サイズの短いものの方が、切れ味が鋭くて良かったと思う。

全7件中 1 - 7件を表示

チャイナ・ミエヴィルの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×