ジャック・グラス伝: 宇宙的殺人者 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5034)

  • 早川書房
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本棚登録 : 94
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (501ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784153350342

作品紹介・あらすじ

稀代の犯罪者ジャック・グラス。彼が起こす犯罪は、不可能にして宇宙的。彼はいかにして殺人者となり、そして伝説の男となったのか? 絶対に解けるはずのない謎解きに、ミステリマニアの変人令嬢ダイアナが挑むのだが……!? 黄金時代の香り漂うSFミステリ

感想・レビュー・書評

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  • 第一部の閉塞状況の息苦しさは堪らない。そこからの展開は驚愕。第二部からは召使いの殺人にミステリマニアのダイアナが浮かれるところ、不謹慎で嫌悪感を持ったが、ジャックを通しての痛烈な批評もあり、引き込まれる。終わってみれば、やっぱ本格ミステリはズルイ!感もあったが、面白かったです。

  •  ジャック・グラスという宇宙的に有名な殺人者の犯罪を書いたSFミステリ3編が収められている。ただし、登場人物の誰がジャック・グラスなのかは途中までわからない。
     第一話は監獄代わりの小惑星が舞台で、七名の囚人たちの極限状態での汗くさい暴力と策略が繰り広げられ、ラストはあっと驚く真相で幕を閉じる。この調子で突っ走ってくれるのかと期待は高まる。
     第二話は打って変わって、殺人ミステリ好きの富豪令嬢が召使のひとりが殺された事件を解明しようと張り切るストーリーが展開されるが、途中で自身を含む特権階級を狙ったテロが起き、雲行きが怪しくなっていく。事件の動機や真相のインパクトは他の二話に比べて弱い。
     第三話は第二話の続編に近く、グラスと令嬢に身の危険が迫るなか、ある強襲殺人事件の謎を解いていく。宇宙空間に浮かぶ密室状態の居住カプセルでどうやって狙撃されたのか、クラシカルな推理で謎を解き明かそうとするのだが、真相は常識をはるかに越えたぶっ飛んだもので、思い切り煙に巻かれると同時に驚いた。

     どのエピソードにも、人類を支配する特権階級と宇宙の貧民窟で暮らす人々との格差社会が背景として書かれており、さらに超光速移動にかかわるテクノロジーが密接に関わっていて、これが物語全体の伏線になっている。
     荒唐無稽なアイデアをぶち込んで、なおかつ途中までロジカルに進むSFミステリは貴重で楽しめたのだが、欲を言えばジャック・グラスの人物像をもっと書き込んでほしかったのと、もう少しボリュームが少なくてもよかった。

  • SFです。用語や世界設定がしっくりくるまで読み進めるのに苦労しました。ミステリ(謎解き)として読むには中途半端かな。全体読み終えるとうまくできてるなと思いました。

  • たしか、ブクログのあなたへのおすすめリストからピックアップした作品。しばらくSFジャンルから離れていたので、何も考えずに従ってみました。
    解説によると、日本ではあまり知られていない作家のようですが、スターウォーズやマトリックスのパロディも作っているらしく、マトリックスの科白の引用が出てきます。引用している登場人物は全く別の作家の作品と勘違いしていて、その勘違い具合が著者の遊び心に感じられます。

    ウラノフ一族に支配された、階級制度の厳しい未来の太陽系での、とある革命家の活躍の話。冒頭で、監獄・犯人探し(フーダニット)・密室ミステリの話であり、犯人が誰かも明示されています(厳密に言えば、必ずしも実行犯ではなく裏で糸を引いた犯人ですが)。

    第一部『箱の中』では、脱出する手段に唖然としました。それは真空中で有効なんでしょうか・・・ 最初からそれを想定して行動している犯人がすごい。

    第二部・第三部はだいぶSFっぽく、ミステリっぽくなってきます。恋愛要素も出てきます。軽く読めますし、種明かしは極くSFですし、恋愛部分に関してはちょっと哀れを誘います。

    続きが出て欲しい作品です。

  • まず最初に読者への挑戦がある。この作品の中で、監獄もの、フーダニット、密室殺人の事件が起きる。そのいずれもの犯人は悪名高い殺人者ジャック・グラスだという。それが分かった上で読んでも読者は驚かされるというのだ。そして、確かにびっくりした。特に監獄からの脱出方法には息を飲む。フーダニットは犯人探しよりも犯行方法の解明が印象的だった。そして、密室殺人。これは理屈を説明されても漠然としか理解できないが、物語の流れからするとごく自然だ。超人的で目的の為にはとことん冷酷になれるジャック・グラスが、最後に見せるすの素の自分が切なくて心に残る。わくわくする冒険ものとしても楽しめるし、とても面白かった。

  • SFミステリーのジャンルに属する作品。著者によると、ミステリー要素の方が多いとのことだが、私にはほぼSF作品だと認識した。SF要素は8割くらいだろうか。物語は宇宙を舞台にした、SFらしいものだ。特に第一部はSF要素が強い。ミステリ要素が増えるのは、第二部以降。殺人事件が発生し、謎解きマニアの高貴な少女ダイアナが前面に出て来てからだ。とはいえ、犯人は本書の冒頭で著者が暴露しており、フーダニットの楽しさはない。殺害方法を推理するのを楽しみにことになる。もちろん、ベースはSFなので、殺害方法はSF的なものになる。これを驚けるか落胆するか、読者のバックグラウンドによって評価が分かれるかもしれない。まあ、読みやすいし、SF作品だと思って読めば失敗しないだろう。

  • ミステリクラスタからもSFクラスタからも評価が高かったので購入。
    SFかと思わせておいてミステリになる(或いはその逆)という作品は多くあるが、そこに陰謀や権力闘争に絡む冒険譚、更にはラブストーリーまでぶち込んだ、エンターテインメント超大作だった。こりゃあ評判にもなるわ……買って良かった。

  • 私には…無理…

  • 監獄惑星に閉じ込められた囚人たちの抗争から始まって、使用人の殺害事件に大財閥のお嬢様が探偵役として活躍し、結果的に大宇宙を老教師とメイドと共にさすらうことになって再び殺人事件に邂逅し…

    そしてジャック・グラスの正体は判明するけど、彼が本当は何者なのかは謎のままだー!
    ユーモラスで凄惨な第一話はともかく、二話目三話目はお嬢様と老執事モノ(自称45才だけど)とも言えます。

  • SFでミステリなのかな?
    殺人犯は最初からわかっているし、革命家がいてもおかしくないような世界っぽいし、誰が?も何故?もどうやったか?も出てはくるけど、消化不良でもやもや…(-_-;)
    続くの??
    てか、表紙のハンサムガイはどこに出てくるのよーーー

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