藤沢周平のこころ (文春MOOK)

制作 : オール讀物 
  • 文藝春秋
4.33
  • (1)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 21
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784160086449

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 一冊まるごと藤沢周平。文春はもう何冊も藤沢周平特集を作っているはずなのだが、汲めども汲めども尽きぬ源泉が藤沢周平なのだな、と再認識した。新たな発見多し。

    おそらくファンには高値でついていたであろう、直木賞受賞作時の「オール讀物」1973年10月号から多くの記事を再掲していた。

    まだバリバリの業界誌編集者だった頃の、「普通人」藤沢周平の矜恃みたいなものが、当時のインタビュー記事から垣間見える。

    日教組を話題にしたら、「ハイ、支持しています。操のようなものです」完全な明言だった。ほおがしまって、「3年ぐらい前に、渡辺操先生という方が、火の中の子どもを助けにもどっていってなくなりましたね」目が光った。「あれです。現場の先生にはかなわないという気持ちがあります」(63p)

    ー部下には厳しいか?
    「ヤ、それが」(少し閉口)「甘くて、ダメです。ほんとうに」(略)
    ーサラリーマンの厳守事項は?
    (またばきしてから)「時間ってものを、きちんとすることでしょうね」(略)
    ー好きなペット?
    (きっぱり)「ありません」(感傷的でなく)「いまは、生きものがこわいんです。命のもろさが」
    ーもし、娼婦にぞっこん惚れられたら?
    (ごつい顔で)「誠意をつくすしかないですね」(65p)

    これらの言葉にコメントすべきことがあまりに多くて省略する。

    藤沢周平は、ほとんど現代社会に対して発言しなかった。1993年の城山三郎との対談では、わりと思い切ったことを喋っている。これもコメントし始めるとキリがないので省略する。

    私の数少ない好きな女流作家の「藤沢周平ラブ」の記事が三本(あさのあつこ対談、上橋菜穂子エッセイ、宮部みゆき評論)あったのも嬉しかった。

    確かに「完全保存版」だと思う。
    2017年5月14日読了

  • 直木賞受賞作暗殺の年輪、針の光、大はし夕立少女、白い顔の短編を掲載
    第69回直木賞選評は、結構辛辣な意見もあり、選者も大変だったことが読み取れる

全2件中 1 - 2件を表示
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×