とっておきのアメリカ小説12篇 and Other Stories

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本棚登録 : 127
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163105406

作品紹介・あらすじ

我らのアメリカン・ストーリーズ。選りすぐりの短篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • アメリカの12篇の短編小説集です。 1929年の O.ヘンリ-賞を受賞したドロシ-・パーカ-著の『ビッグ・ブロンド』が最も印象深い作品でした。禁酒法時代のアメリカで、男たちとの派手な生活に嫌気がさし、結婚して家に落着くも上手くいかず、やがて男と離別、アル中の生活に溺れ、ベロナ-ル(睡眠薬)で自殺を図ろうとする、一見華やかで心さびしき20年代のジャズ・エイジが風刺されています。

  • 古本屋、赤い鰊で、なんとなく買ってしまった本。

    内容については、特に深い感想はないけれど、内容がというものもあるし内容というよりは文章がというのもあるが、全体としてどの作品も良かった。
    私は特にロナルド・スケニック、村上春樹訳『君の小説』が良かった。

  • 米国文学はそれほど読んだことがないけれど、サリンジャー・カポーティ・フィッツジェラルドなどの描く世界と根底が似ている気がしました。いわゆるジャズエイジってやつですね。パーティピープルの馬鹿騒ぎと退廃、マイノリティの悲哀などなど、いずれも佳作でしたがあえて今後ほかの作品を追ってみようとまでは行かないかな。最後のドロシーパーカーの「ビッグブロンド」の結末、本人なりの必死さと結末の皮肉さにちょっと苦笑してしまった。誰もが自分を演じているけれども、思ったほど自分はやわじゃないって感じで。私はやはり欧州文学のほうが好きかな。

  • 好きな作家を増やしたくて、取っ掛かりにするつもりで手に取りました。とりあえずダイベックは再読しようと思いました。現代アメリカ文学を愛する人にはうってつけの一冊。

    「モカシン電報」W・P・キンセラ(1935〜)
    偽善と暴力をユーモラスに包み込み、しかし何とも言えないやりきれなさがこぼれ落ちて来る短編。世の中にはこんな風にしか語れない種類の悲しみがある。

    「三十四回目の冬」ウィリアム・キトリッジ
    カーヴァー推薦も納得の、リアリズム。庶民の生活。バイトで行ったスーパーで感じた、虚ろで絶望的な停滞感を思い出す。

    「君の小説」ロナルド・スケニック(1932〜)
    小説そのものに疑問を投げかけるポストモダン。わたしの貧弱な頭ではさっぱりわからなかった…というのは、ここで問題にされていることがわたしの人生では問題ないから。

    「サミュエル/生きること」グレイス・ペイリー(1922〜)
    以前ペイリーを読んだ時は、もっともっと訳分からなかった気がするんだけど、これは意外と良かった。こんなに簡潔に、切り取るように哀しみや苦しみを表現できるなんて。

    「荒廃地域」スチュアート・ダイベック(1942〜)
    このアンソロの中で一番好きかも。幸福な少年時代に対する祝福と、下町のさらっと乾いた感じ、ノスタルジーとペーソス、すべてがあまりに好みであった。愛おしい短編。

    「イン・ザ・ペニー・アーケード」スティーブン・ミルハウザー(1943〜)
    再読。大好きなミルハウザー。少年のポケットに詰められた宝石のような物語。魔法に満ちている。現実は虚構から成る。

    「夢で責任が始まる」デルモア・シュウォーツ(1913〜1966)
    まずタイトル(の訳)が最高。両親の過去を映画館で観る少年。この短編の良さを、わたしはまだうまく言えない。何度でも読み返したい。

    「彼はコットンを植えない」J・F・パワーズ(1917〜)
    黒人を題材とした小説。わたしがもしネイティブだったら、それかジャズが大好きだったら、もっともっと楽しめたはず。

    「レイミー」ジェイン・アン・フィリップス(1952〜)
    精神病のヒロイン。わたしは精神病の主人公の物語が大好きです。物語の狂気が妙に好き。それはもう疑わなくなった現実とのずれをもう一度疑いたいという気持ちであったり、わたしとまったく異なる「現実」を知りたいという好奇心であったり、逃避願望であったり、色々な理由があると思います。もちろんこれも好き。

    「嵐の孤児」メアリー・モリス(1947〜)
    ありふれた家族小説のように思えた。完璧なんてない。

    「ビッグ・ブロンド」ドロシー・パーカー(1893〜1967)
    1929年発表。アメリカの代表的短編のひとつとされているそうです。カポーティの「叶えられた祈り」でも言及があったそうですが、それも納得。フィッツジェラルドやカポーティを読んで感じた、この頃の享楽と栄光とその敗北がぎゅっと詰まっている。

  • ときどき思うのだが、どうして我々はそうも、幸せでない物語を読みたがるのだろうか。
    (問いかけだけで終了。)

    イン・ザ・ペニー・アーケードはどうしてか既視感があった。
    モカシン電報は、なんとなく好き。

    サミュエル/生きること は、何だかありそう、という感じがしてしまって好きじゃない。
    「レイミー」を良しとする感覚は、ぼんやりとだけれど掴める。


    でも、そう問いを立てたときに、小説以上でも以下でもないかつ快を少なく感じる。

  • 内容(出版社/著者からの内容紹介より)
    村上春樹が中心となって、柴田元幸、畑中佳樹、斎藤英治、川本三郎の五氏がそれぞれ秘蔵のアメリカ短篇小説を訳出したアンソロジー。

  • 村上春樹が中心となって、柴田元幸、畑中佳樹、斎藤英治、川本三郎の五氏がそれぞれ秘蔵のアメリカ短篇小説を訳出したアンソロジー

  • 「生きること」と言う短編が、うまく言葉で表せないけれど、すごい。本当、全てにおいて圧倒的。「レイミー」の静かな狂気が、何だかとてもいい。

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