あるクリスマス
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この作品からのみんなの引用
みんなの感想・レビュー・書評
父や母に・・そしてクリスマスに幻想を抱く年頃の主人公が、醜い現実を突きつけられてしまう子ども心にとっては残酷なものがたり。
20分ぐらいで読めちゃうような短さ。
個人的には挿絵がいまいちだと思うんだけど・・。
“クリスマスの思い出”と比べたらとても残酷で辛いけれども、村上春樹が解説でこの作品より“クリスマスの思い出”の方が作中の時系列的には後って書いていたから、少し救われた気がします。
うーん…泣けるのは“クリスマスの思い出”のほうかな。
子どもがdisappointedするのはあまりにも悲しい。ほんのり灯りがともった暖かい部屋でパパとママに囲まれて、みんなでママの手作りの料理を食べる。そして何よりも、子どもにはそれを当然のことであると思っていてほしい。何の疑問も抱かず、無邪気に。
亡き父へ想いを馳せた、カポーティ生前最後の佳作。イノセントな少年の心に差し迫る現実の闇がしんしんと切ない、『クリスマスの思い出』の裏返しのような物語。銅版画の挿絵が素敵な単行本です。春樹訳。
本棚に目が行ったので、手にとってみた。銅版画が素敵だったので、読み返してみた。かつて読んだ、という確かな記憶が、よみがえることはなかった。もう何度も経験したぼくのクリスマスを、思い出すこともなかった。だって、暑い夜ことだったから。
カポーティは全然楽しくなかったそのクリスマスをふりかえり、書き残した。年をとっても著者の中にあったガラスハートの位置や、それが徹底的に傷つけられても還る世界が視えていたこと、書くという作業がもたらす浄化作用を教えてくれる。
後方に流れ去った日々を語るすぐれた文章は常に興味深く、カポーティ・クラスともなれば尚更である。過去は現在の眼によって編集され、実話は小説化される、その時に精神的な豊かさを獲得するのだ。酷い目にあったことを、美化せず"まんま"書こうとも、作家の仕事<小説化>がなされた読み物は、思いがけない優しさを湛えている。そういう作品に出会うと、読書の幸福を感じる。
<編集&小説化された、カポーティ少年のガラスハートランドをもう一度>
http://khipu.jp/php5/show.php/48429
人は子供時代に思いを馳せる時、どうしても美化してしまいがちです。
カポーティは感傷に流れることなく過去に向き合い、作品世界に取り込んでみせました。
とても哀しい話ですが、不思議と読む者の心を軽くしてくれます。
無垢な少年と残酷な真実、傷ついた彼を癒す年老いた従姉妹。
離れて暮らす父と過ごす初めて(多分これが最初で最後なんだろうな)のクリスマス。サンタクロースを信じる少年の前には年老いた女と情愛を絡めて踊る父や別れた妻である少年の母親の写真を見て酔うしか逃げ道を失った父の姿が映る。
現実は残酷だ。
大人になるためには避けて通れない道なのだろうけれど。
傷付いて家に帰った少年を優しく癒す年老いた従姉妹の優しさが沁みた。
美しい本です。
装丁も訳もだけど、トルーマン・カポーティやっぱり好きだなあ、と思う。
醒めてるけど冷めきらない、褪めない。
クリスマスなので読んでみました。
初めてのカポーティだけど、これかわ最後の作品らしい。
クリスマスなのに現実を突きつけられる厳しさが、幼い子供の目線で描かれていて、胸が締め付けられる。
訳者の解説が素晴らしく、より物語を味わい深くしてくれた。
「ティファニーで朝食を」の著者でもあるトールマン カポーティ、晩年に描かれたこの作品は、少年が父と過ごした切ないクリスマスの夜のお話。
この作品の数年後に他界、トールマン自信の父への思いが綴られていたのかも、しれなぃ。
この本を手にしたきっかけは、装丁と挿絵を手掛けた銅版画家の山本容子が好きだったから。
翻訳は村上春樹、贅沢な一冊かも。
カポーティーの自伝的な作品。山本容子さんの版画がとても美しい。美本。ご両親に、クリスマスのプレゼントとしてお渡しするのもよいかも。
「クリスマスの思い出」の一年前、6歳のバディーがスックたちと住むアラバマを離れ、父の住んでいるニュー・オリンズで過ごしたクリスマスのお話である。それはバディーにとっては『知らない人』である父と過ごしたクリスマスであった。この作品を発表する前年にカポーティは父を亡くしており、その悲しみがもう一つのクリスマス・ストーリーへと向かわせた――『僕は父についてそれまで一度も書いた事がなかった』と彼は語っていたそうである。そしてこの作品はまた、カポーティにとってまとまった作品としては最後の作品となった。
龍口直太郎訳。これに入ってる「クリスマスの思い出」の方がすばらしい。人生とか宇宙から見たらほんの一瞬、遠くて近い肉親と交わす優しさと愛情。その記憶もいつか、手元を離れて漂っていくのを見守るしかない寂しさと同時に味わう、どこかせいせいした感じ。同じ作品を村上春樹が鳴り物入りで訳してたけど、そっちはいただけなかった。春樹ファンなのに…!
クリスマスの思い出 の一年前の物語になるのが、「あるクリスマス」という作品です。
どちらを先に読むべきか、悩んでしまうかもしれませんね・・・。
父さんと過ごした最初で最後のクリスマス。『あるクリスマス』の前年、トルーマン・カーポティは父を失っている。触れあうことの少ない父子だった。カポーティ自身、すでに酒とクスリに蝕まれていた。この作品の翌々年、彼はこの世を去る。最後にみる夢、だったのかもしれない。






