ハプスブルクの宝剣 下

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163157108

感想・レビュー・書評

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  • オーストリアの為に尽しながらも、テレーゼからは冷たくあしらわれるエドゥアルト。努力しても努力しても認められない現実に嫌気がさした彼は、最終的にユダヤ人として生きる事を決意する。

    そのとたんに判明するエドゥアルトの出生の秘密。彼は本当はユダヤ人ではなかった。それを知ったテレーゼは、今までの冷遇が嘘のように変わり、エドゥアルトへのあふれる愛に身を任せ彼に受け入れてもらおうとするが、エドゥアルトは拒絶する。

    そして、フランツのローマ皇帝即位式の日。
    亡くした左目にダビデの星のマークを付けたエドゥアルトは、かつての恋人アーデルハイトと再会し、共に生きる決意をする。その時、アーデルハイトの許嫁の母であり、エドゥアルトを拷問し、逃げる際に死んでしまった許嫁の父の妻であるカロリーネから銃口を向けられる。

    両手を開いて銃弾を受け入れたエドゥアルト。
    彼が助かったかどうかは分かりませんが、どうか幸せをつかんでほしいと切に願った。

  • 2013/05/25

  • 私の中のマリー・テレーズ観が変わった。
    初めはすごく苛々したけど、中盤の成長はすごいなぁと思い、でも最後には呆れた。
    そんなに根が深いのね。

    主人公の真っ直ぐさが泣けた。

  • 宝塚の舞台と全然違う結末にツッコミを入れながら読み終えました。どうしてこうなった!どちらの結末もいいと思います。宝塚のは、あれは、舞台として綺麗な結末でした。でも、やはり原作のまま行ってほしかったという気も。そんな誰とも結ばれない(しいていえばフランツ?)のではゴーサインが出なかったんだと思いますが。

    女王としての才能を開花させるテレーゼが、対エドゥアルトだけには愚かなまま。差別意識と恋情で頑ななままです。それを彼女の不幸と、エドゥアルトが悟る。彼をユダヤ人だと知っていて、そこは問題にせず一貫して受け入れ続けてくれたフランツと比べると、彼がユダヤ人であることにこだわり続け、そして彼がユダヤ人ではないと知った途端に態度を急変させるテレーゼの愚かさが目立ちます。そんなテレーゼが最後に息子ヨーゼフに、前例や慣習に捕らわれるなと語るのは、自分は差別意識に捕らわれたことで幸せを逃したという後悔から。テレーゼの変化も、この物語の大きな流れだと思います。

    エドゥアルトは自分の居場所を探してさまよい、一度は捨てたユダヤに帰ると決意する。でも、それは彼がユダヤを捨てる時に犯した罪を償うことを意味していた。だから、銃弾を受け入れたのでしょう。彼が助かるのかどうかわかりません。シオン建国をエネルギーに生きる気力があるとも考えられるし、エリヤーフーとして生き直すということはつまりあのとき死んだというところに戻るのかとも。

    イスパニア風ココアとか果物の砂糖漬けとか、だから太るんだよ!と言いたくなるフランツ。儚げな青い瞳の青年だったのに…でも、儚げな青年がちょっとたっぷりとしたいい大人になったなら、喜ばしいと思います。居場所がみつかったってことですし。故郷を捨てて、新しい場所で生きなくてはならないというのが二人の共通点でしたが、エドゥアルトにはフランツにない炎の野心があり、フランツにはエドゥアルトにない広く受け止める心があった。一貫したフランツの友情があったから、エドゥアルトは炎に焼きつくされなかったのだと思う。

    金の亡者で吝嗇で計算高く、けれど気分屋でおしゃれコーディネート係で、金を使わされてはキレてばかりのジャカン。貨幣収集癖のあるヴァランタン。そんな小ネタ(なのかな)に笑う。とにかくジャカンがツボ。例の発言は、方向性は間違っていないけどもうちょっとうまくやるべきでした。でも、このキャラでは憎めない。いつでも貨幣!のゆがみないヴァランタンも好きです。フリードリヒ、バチャーニ、オイゲン公子、ケーフェンヒラーと、皆様かっこいいです。完璧じゃないからいい、そんな男たち。

    読んでいて、楽しかったです。

  • 情熱的で華麗なストーリー。まとめ方もすっきりしていて良かった。

  • ラストに近い場面のフランツの決断(というかエドゥアルトの決断の肯定)が印象的でした。物事にこだわらないというのが彼の属性のようですが,軽く見えてこれはかなり重い。周囲が唖然とする中,エドゥアルトに先導させる場面が泣けます。それにしても,ユダヤ教に改宗しようかとか,帝国も帝位も褒美にやろうとか,彼の本領発揮ってとこですね。
    エドゥアルトがあまりに波乱の人生なので,最初から最後まで一貫して変わらないフランツの側近2人になんか癒されました。

  • 宝塚星組、しかも柚希さんで上演するというきっかけで読んだ本です。
    宝塚では少々話が変わっていたそうですね。
    (見たかったのですが、見ていないのです。トホホ)
    原作はすごくスケールが大きく話に引き込まれていきます。
    主人公、すごい半生ですね、と思いました。
    話の流れとしては、途中“え”と思うんですが最後は腑に落ちたかな、という感じです。
    余談ですが当時高校二年生の私は世界史をとっていたのでわかる!わかるぞ!とムスカ状態になりながら読みました。ははは。

  • 上巻は異常に時間がかかったのに、下巻はあっという間に読んでしまった。
    まぁ、図書館から返却を迫られていたので慌ててた、っていうのもあるんだけど、やっぱり文体や読むことに慣れてきたのかな。

    結末があまりにも意外でびっくり。
    もちろん、舞台のあれはあれで、ないだろ~!とか思ってたので、結末が違うことには驚かなかったんだけど、結局ユダヤ人じゃないとか、どんだけ・・・!
    もう、そもそもこの話自体がひっくり返っちゃうようなことが起こっていいのだろうか?
    しかも、生きてるのか死んでるのかわかんない結末だしね。

    ちょっと、終わり方には不満がありま~す。

  • 2010年4月13日
    宝塚星組の公演を見て読んだ本。劇より内容が重い内容であった

  • ストーリが、昔読んだフランス文学の物語に似ていた。

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著者プロフィール

長野県生まれ。西洋史への深い造詣と綿密な取材に基づく歴史小説で脚光をあびる。フランス政府観光局親善大使。著作に、『新・三銃士』『皇妃エリザベート』『シャネル』『アンジェリク緋色の旗』『ハプスブルクの宝剣』『王妃マリー・アントワネット 華やかな悲劇のすべて』『幕末銃姫伝』『i維新銃姫伝』など多数。青い鳥文庫ではKZのほかに「妖精チームG(ジェニ)」シリーズ、『マリー・アントワネット物語』『三銃士』も手がけている。

「2019年 『探偵チームKZ事件ノート 特装版 校門の白魔女は知っている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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