蛇を踏む

著者 :
  • 文藝春秋
3.12
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  • Amazon.co.jp ・本 (169ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163165509

作品紹介・あらすじ

女は藪で蛇を踏んだ。踏まれた蛇は女になって、食事を作って待っていた…母性の眠りに魅かれつつも抵抗する若い女性の自立と孤独。第115回芥川賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 自身の小説を「うそばなし」と呼ぶ川上さんの、正に原点ともいうべき作品集。
    あとがきで「うそ」の国は「ほんと」の国がすぐそばにあって、ところどころには「ほんと」の国と重なっているぶぶんもある、と書いておられる。
    今回の作品集を読んで納得した。
    蛇をうっかり踏んでしまったことで女に化けた蛇に居つかれてしまったり、気配を残しながらも突然消えてしまったり、と多種多様な「うそ」の国に生きる主人公達。
    それらは我々の「日常」にはない「非日常」であるにも関わらず、私の心の奥がざわざわする。
    この感覚に似たものを私は秘かに持っている。

    特に『消える』の、結婚後徐々に縮んでしまったヒロ子にはとても共感した。
    他人から見たら余り変わっていないように見えるのかもしれないけれど、結婚後、私も縮んでしまった気がしてならない。
    川上さんに、心の奥にそっと仕舞っていた闇を一突きされた。

    • nejidonさん
      mofuさん、こんにちは(^^♪
      いつも素敵なレビューですね!
      まさしく私もこの作品をかつて読んで、それ以降川上弘美さんのものは読んでい...
      mofuさん、こんにちは(^^♪
      いつも素敵なレビューですね!
      まさしく私もこの作品をかつて読んで、それ以降川上弘美さんのものは読んでいないのです。
      なるほどー、読む人によって分かれるものだなあと、改めて思いました。

      ところで、mofuさんは本を読むスピードがとても速いのですね。
      レビューがどんどん載せられるので、のんびり屋の私はなかなか追いつけません。
      それでポチも遅くなりますが、どうかご容赦くださいね。
      2018/04/22
    • mofuさん
      nejidonさん、いつもありがとうございます。
      川上さんの、ちょっと不思議でふわふわした世界観が好きです。
      読んでいてゾクゾクします(...
      nejidonさん、いつもありがとうございます。
      川上さんの、ちょっと不思議でふわふわした世界観が好きです。
      読んでいてゾクゾクします(*^^*)
      でも確かに読む人を選びそうですね。
      ハマる人はハマりそう。

      本は色々なことの合間にちょこちょこ読んでいます。波に乗ると速いのかな?
      nejidonさんの本選びやレビューも楽しみにしてます。
      これからもよろしくお願いします(^∇^)
      2018/04/22
  • 惜夜記がいちばん好き、さまざまな形に変化しながら緩やかに流れているよく分からないリズム?が心地よかった。しかも何かおかしかった。
    我ながらよく分からん例えだと思うけど、洗濯機をあけて、洗濯物や水の流れを頬ずえついて眺めているような気がした。

  • 「このごろずいぶんよく消える。」

    不思議、陰鬱、不条理。
    でも乾いていて淡々としている。

    神話や昔話のイメージ。

    自分の状態によって
    受け止め方が大幅に変わる本。

  • なんとも形容しがたいとてもユニークで不可思議な短編集であった。

    でたらめだけどどこか現実味を帯びている「夢」の世界を文章化すると恐らくこんな感じになると思われる。

    非常に個性的な作品なので読む人を選びそうだが、夢とも現ともつかない世界観はある種の中毒性が潜んでいる。

    一度ハマったら抜け出せない危険なにおいのする作家だ。

  • いちど川上弘美をよんでみたい
    と思っていて選んだ本

    理科の先生をしていただけあって
    理科系の雰囲気がつよくただよいます

    うそばなしがだいすき!
    そのとおり、
    うそばなしが展開されていました

  • 読了してから芥川賞受賞作であったことを知った

  • 現実なのか空想なのかわからない話。言葉選びはすごく美しいが、結論など考えてしまう私には少しストレスが大きく「消える」まで読んで挫折した。

  • わかるような、わからんような。

  • 「先生の鞄」の川上さんの、原型質がここにある。読まずに彼女を好きな人は、一度読んでみるといい。なかなかな感受性があらわで、只者じゃない、すごい。

  • 「うそばなし」を3篇おさめた短編集。

    もともと筆者の文章は好きなのだが、これは少し読みづらかった。
    馴染みのない言葉がたくさん出てくるせいだと思う。
    しかし、自らが書く小説を「うそばなし」と呼び、そんな「うそ」の国で小さいころから遊んでいたと語る筆者のあとがきを読むと、この物語たちが得体の知れないものではなく、とても愛おしいもののように感じられるから不思議だ。
    『惜夜記』の少女が美しく思えて、惹かれた。

    <収録作品>
    蛇を踏む/消える/惜夜記(あたらよき)

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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