もつれっぱなし

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 57
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163165707

感想・レビュー・書評

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  • 以前読んだアデアの『閉じた本』の解説で同じ会話体の小説として紹介されていたものだが…こちらの方が面白かった。ちょっと芝居がかってて、リアリティに乏しい気はするが(笑。その分、読みやすい。
    「宇宙人の証明」
    神社でひろったナメクジを「宇宙人」だと言い張る彼女に困惑する彼氏(笑。
    「四十四年後の証明」
    個人的にこの中では一番面白かった話。主人公利彦のもとにコハクと名乗る少女から電話がかかってきて、いきなり「お祖父ちゃん」呼ばわりされる。コハクは利彦が作ったというタイムレシーバーなるもので四十四年後の未来から電話しているという…
    「呪いの証明」
    皆に嫌われていた上司の葬儀の後、会話する同僚男女。女は突然「自分が上司を呪い殺した」と言い出すが…
    「狼男の証明」
    人気男性タレントと女性マネージャーとの会話。先に控えた18日のコンサートをなんとか避けられないものかとタレントが恐れていた理由は…
    「幽霊の証明」
    彼氏の家を訪ねてきた彼女はいきなり「自分は幽霊だ」と言い出し…
    「嘘の証明」
    万引きを疑われた女子高生と担任教師の会話。終盤、驚きの展開になります。

    人が殺される話もあるけれど、全般的にはコミカルな会話劇なので、ファンタジーに分類(ちょっとブラックユーモア入っている話もあるが)。

  • 不思議な話の短編集でした。

    これもまた、以前読んだのに忘れて図書館で借りてしまいました。。。
    あっという間に読めるので、時間潰しにはよいのかもしれません。

  • わっはっは。井上夢人、この人は本当に多才!

    全編前行会話だけの構成だけど、シーンが浮かぶんだよね。そして読みやすいし、面白い。文章力とオチをしっかりとつける構成力が、とても際立つ!
    いやあ、面白いおもしろいっ。
    漫談や寄席を見ている気分になった。

  • (収録作品)宇宙人の証明/四十四年後の証明/呪いの証明/狼男の証明/幽霊の証明/嘘の証明

  • 各章ごとに一組の男女がある証明をするためにひたすら話し合う。とゆうか寸劇みたいな漫才みたいな。

    会話だけで構成されてるなんてことないもつれ話達。

    ほんとにもつれっぱなし。

    あたしがある特定の人に一生のどこかで出会う確率ってすごく、小さい。
    このめちゃくちゃに低い確率の出会いがいたるところで起きている。
    このめちゃくちゃに低い偶然は珍しくないけど

    あたしは運命だと思う。

  • 公園で宇宙人を救けたという彼女。だが差し出された小鉢にはナメクジそっくりの生き物が—「宇宙人の証明」、24歳の利彦に孫娘から電話が。しかも彼女は西暦2038年の未来からかけていると言う—「四十四年後の証明」、「オレ、満月の夜に狼男に変身するんだ」人気アイドルの告白にマネージャーは唖然— 「狼男の証明」など全6篇。男と女がコトバをつくせばきっとわかり合える…とは限らない!謎と笑いの対話体小説集。

  • これ、ラジオドラマなんかにしたらすごく面白そう。二人の人物の会話だけで構成されているんだけれど、その場の情景がすごくよく伝わる。まったく違和感なし。
    それぞれのタイトルは「○○の証明」となっているけれど、それが真実かどうかの決着は着かない。というかどうでもいい。ふとしたことから始まる奇妙な話、それがどういうふうに転がっていくか。それだけが充分なみもの。あやふやで「この先どうなるんだろうな」と想像力が騒ぐ終わり方でも、据わりは悪くない。
    とはいえ「嘘の証明」のように意外なオチがついているものもあって、気の抜けない一冊。

  •  オール会話文。それも「宇宙人を拾った」とか「狼男になった」とか、珍妙な設定の会話。意味なくポンポン読む。

  • 会話文だけで、情景や表情を描き出している。ユーモアが合って楽しい。一押しは「四十四年後の証明」。

  • おもしろかった。充分、文学だよね。

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著者プロフィール

昭和25年生まれ。昭和57年に徳山諄一との岡嶋二人名義で第28回江戸川乱歩賞を受賞してデビュー。平成4年に『ダレカガナカニイル……』(新潮社)で再デビューした。代表作に『ラバー・ソウル』(講談社)など。

「2020年 『平成ストライク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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