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この作品からのみんなの引用
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ミスター・リーは急に声をすぼめて、浅黒い腕を子供のように瞼にあてた。
「もう、トモコにころされてもいいです。こんなのじゃまなら、リーさん、しにます」
ひとしきり泣くと、ミスター・リーは乱れたベッドからシーツを抜きとって、立ちすくむ友子の体をくるんだ。
「てるてるぼうず。トモコ」
― 308ページ -
「ほんとは、けっこんなんかしてくれなくていいです。リーさん、すてられていい。トモコのアイレンになれるかもしれないっておもってね、うきうき、どきどき、それだけでいいです。リーさんかくごしてますから。おかあさんとあってね、おかあさんとトモコのことよくしらないけど、けつろんでてね、ぼくがやくにたってにほんにかえったら、もうすてていいです。再見、さよなら、しかたないです。かなしくないですよ、いちねん、とってもたのしかったからね。さいごにトモコとイタリアにきたの、リーさんいっしょうのおもいで」
― 305ページ -
「忘れたのなら、いいです。あなたもたいへんだったんだから、仕方ないです。でも、私は忘れられなかった。これだけがんばって、二十四年もがんばり続けて、それでも私、まだ悪い子ですか。悪いところがあるのなら、足りないところがあるのなら、教えて下さい。もう、どこが悪いのかもわからないくらい、私はいい子だと思います。教えて下さい。必ず直しますから。がんばりますから」
― 296ページ
みんなの感想・レビュー・書評
高倉健主演で映画化された短編『鉄道員』で有名な浅田次郎の、これまた短編集(7話収録)。 表題作『月のしずく』は目次の1行目に並んでいる。浅田作品でよくみる(といっても2集めだが)、なまりの効いた冴えない男性と不思議な女性、そしてうまくいかない男女関係という組み合せで、内容も他作品で見る感じだった。『花や今宵』も同様である。また、『ふくちゃんのジャック・ナイフ』もよくいう「古きよき時代」を舞... 続きを読む »
学もなく工場のラインで働く中年の辰夫。ひょんなことで家に泊めた女リエに惹かれていくが・・・『月のしずく』。深く自分を愛してくれる夫がいながら、昔の恋人を忘れられない『聖夜の肖像』。自分を捨てた母親に会いにイタリアへ行く『ピエタ』。
『鉄道員』と同じような感じの本でした。どれもそれぞれいいんだけど、スッと抜けてしまった。この人の作品はやっぱり長編がいいのかな。
浅田次郎短編
血とか親子の話が好きだなぁこの人。。
「聖夜の肖像」「琉璃想」が面白かったかな、微妙だけど。。
悲しかったり、辛かったり、諦めてたりする人生の中で、想定外の驚きとひと時の安らぎと言葉に表せない微妙な愛の形が語られているタイトル名作品を含む7編の短編集。いずれも、甘ったるさがなく、結末はハッピーになるかも知れないし、そうでないかも知れないという余韻を残して終わるのが、大人の恋愛小説っぽくて憎い。
他六編からなる短編集で、どれも心温まる良いお話でした。時に、肩肘張りながら、一生懸命生きている不器用な人間達が、いとおしいと思えた。もしかして、本当に大切な物は、案外近くにあったりするのかもしれない・・・。
浅田次郎の短編恋愛小説。
様々な主人公の織り成す深みの有る内容は心にグッときます。
が、それは読み終えることが出来たらの場合。話の雰囲気が軟らかいので、途中で飽きてしまうかもしれませんが、最後まで読むと、読んで良かったなぁとジ〜ンとしてしまう本です。
浅田次郎節炸裂!
彼の作品に心洗われる方には珠玉の一品になるでしょう。
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