神のふたつの貌

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 135
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163203201

感想・レビュー・書評

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  • 難しかった。
    宗教に基づいて話が進んでいくため終始哲学的。
    それに加えて各章ごとの語り手に違和感。
    (これが伏線に繋がるのはおもしろかった)
    いろいろ疑ったり、考えたりしながら読んでいくことになるため、時間がかかる読書だった。

    最終的に読み終わってもキリスト教とはなんなのかわからない。
    久永や翔子のように盲目的に信じることが出来る人は幸せだということしかわからなかった。

    キリスト教の本質をつきつめ、福音を聴きたいと願った早乙女はそんな盲信的な久永の解釈を聞いて、自分なりの解釈をすすめる。
    どの解釈にも神は沈黙して肯定する。

    いろいろ考えるきっかけになる本だけど、読めば読むほど宗教がわからないと自覚する一冊になりました。

  • 信仰とは、というテーマに弱い私は、ついつい★4を付けてしまいます。
    主人公がただひたすらに、神の愛について考えているという、終始一貫した内容に、
    じれったく、もどかしく、イライラする人も多いかと思いますが、私にはそれが良かったんです。

    限定されてしまう例えですが、『ジョジョの奇妙な冒険』の6部に出てくるプッチ神父は、自らの行いこそが正義と信じている所が、歴代ラスボスの中で“最もドス黒い邪悪”と言われていますが、この主人公にも同じ匂いを感じました。

    ちょっとしたミステリ要素もありますが、ミステリ好きならあっさりと気が付くと思うので、
    よほど信仰とは、神とは、宗教とは、といった話題に興味がある人でないと、読後感がよろしくないと思われます。
    でも、個人的には面白かったです。好きです。

  • 貫井さんらしい相変わらずの後味ですが面白かった。
    けっこうな厚さでも先が気になり一気にすらすら読めた。

    読んでる途中で色々と考えさせられた。死を救いにすることはやはり許されないことなのか。

    この作者の書く少年像が好き。
    自己把握が的確な感じが堪らない。

  • 主人公が殺人を犯すに至る動機には、うちが無宗教のためなのか、まっっったく共感も同情もできなかったけど、教会で育ってきた主人公と一緒に、無宗教ながらも神の存在というものについては真剣にけっこう考えた。これはミステリーとしても十分驚く結末が待っていて面白いけど、うちは、主人公が神についてウンウン悩んでる描写だけで満足。主人公はどっぷり信者なんで、あくまでも神はいると定義して、なぜは人間を不完全に創り、人間に不幸を与えるのかを考える。そもそも貫井さんは『慟哭』や『夜想』にもあるように、けっこう宗教に感心持ってるっぽい。だから宗教への考察の密度が濃い!!こんなズシっとした本でもスラスラ読めてしまうのは、さすが!!!

  • 結構好きです。元々宗教に興味・・・・というかその思想に関心があるからかもしれませんが。考えによってはこの本の中の登場人物の行動も、理屈に合うことになってしまう。一歩考え方を間違えれば、「相手の幸せを願ってする行為」と「客観的な悪」はイコールになりうる怖さを感じました。

著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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