- Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163203201
感想・レビュー・書評
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信仰とは、というテーマに弱い私は、ついつい★4を付けてしまいます。
主人公がただひたすらに、神の愛について考えているという、終始一貫した内容に、
じれったく、もどかしく、イライラする人も多いかと思いますが、私にはそれが良かったんです。
限定されてしまう例えですが、『ジョジョの奇妙な冒険』の6部に出てくるプッチ神父は、自らの行いこそが正義と信じている所が、歴代ラスボスの中で“最もドス黒い邪悪”と言われていますが、この主人公にも同じ匂いを感じました。
ちょっとしたミステリ要素もありますが、ミステリ好きならあっさりと気が付くと思うので、
よほど信仰とは、神とは、宗教とは、といった話題に興味がある人でないと、読後感がよろしくないと思われます。
でも、個人的には面白かったです。好きです。 -
貫井さんらしい相変わらずの後味ですが面白かった。
けっこうな厚さでも先が気になり一気にすらすら読めた。
読んでる途中で色々と考えさせられた。死を救いにすることはやはり許されないことなのか。
この作者の書く少年像が好き。
自己把握が的確な感じが堪らない。 -
主人公が殺人を犯すに至る動機には、うちが無宗教のためなのか、まっっったく共感も同情もできなかったけど、教会で育ってきた主人公と一緒に、無宗教ながらも神の存在というものについては真剣にけっこう考えた。これはミステリーとしても十分驚く結末が待っていて面白いけど、うちは、主人公が神についてウンウン悩んでる描写だけで満足。主人公はどっぷり信者なんで、あくまでも神はいると定義して、なぜは人間を不完全に創り、人間に不幸を与えるのかを考える。そもそも貫井さんは『慟哭』や『夜想』にもあるように、けっこう宗教に感心持ってるっぽい。だから宗教への考察の密度が濃い!!こんなズシっとした本でもスラスラ読めてしまうのは、さすが!!!
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結構好きです。元々宗教に興味・・・・というかその思想に関心があるからかもしれませんが。考えによってはこの本の中の登場人物の行動も、理屈に合うことになってしまう。一歩考え方を間違えれば、「相手の幸せを願ってする行為」と「客観的な悪」はイコールになりうる怖さを感じました。