誕生日の子どもたち

  • 文藝春秋
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本棚登録 : 288
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163208909

感想・レビュー・書評

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  • 初めてカポーティを読んだ。
    少年時代の無垢で純粋で傷つきやすい心情が見事に描かれている。全体的に物悲しいけど、ミススックといううんと年上の親友とクリスマスの準備をしたり、凧を贈り合う場面は幸福に満ちていて温かい気持ちになった。
    カポーティはアルコールや薬に溺れて生活は荒れていたようだけど、この様な小説を書けるのは、少年の頃の気持ちがずっと自分の一部として強く残っていたからだろうか。
    感謝祭の客が1番好きだった

  • 何この日常系のネタは。という、勝手に想像するアメリカ人の普通っぽい暮らしを描写しているだけ、って気もするのにいや嫌いじゃないな。要はどういうふうに表現して伝えるかがポイントで、無闇矢鱈に面白ければ良いってわけじゃないんやなー、って、勉強になるじゃないか。
    スックさんのお話とかだからどうしたっていうのか、みたいな話なのに、でも好きだわ。逆に微妙に不可思議系に持っていったヴィンセントさんの話はイマイチだったなー。まぁ偉そうに言うわけだけど。

  • カポーティの、あたたかいタイプの作品が多く収められていた。
    過去を懐かしむような、純粋で無垢な人物が出てくる作品。
    他の訳者で読んでいた作品もあったが、村上春樹訳は読み易いと感じた。
    「おじいさんの思い出」は切ない。
    誰も悪くない。
    過ぎた過去は戻らない。
    悲しい。

  • 『無頭の鷹』に寄せて
     ーー雨は砕け散るガラスのカーテン☆



     翻訳者に恵まれました!! この作品のことを本気で愛している方が手がけてくれたのは、喜ばしいめぐり合わせ★ 村上春樹さん(素晴らしい翻訳!)にとって、『無頭の鷹』は特別な想いのある短編なのだと言います。

     彼の馴れ初めとは比べようもないけれども、本作には自分も思い入れがスペシャルで、カポーティにしか書けない物語として認識しています。
     私の場合は、この作品に描かれている雨のイメージが、とても好きなのです☆ 物語のなかで降る、降りしきる、降り注ぐ、雨フレーズにはまったく夢中にさせられました。この雨に飽きる日は、私には絶対に来ないでしょう!

     冒頭でいまにも降り出しそうだった雨が、やはり、ついに、降り始めます。風景が奇跡のように濡れて輝き出します。それでいながら、奇跡の無造作感もある★ 文学にすると、いろんなことが何でも大袈裟になってしまうきらいがあるけど、この描写のさじ加減は魔法です。

     特にお気に入り表現は、
    「雨まじりの風が波のようなしぶきを窓に打ちつけていた」
    「粉みじんになったガラスのカーテンとなって、二人のあいだに降り注いだ」。
     破壊的な美しさ☆ 何度読み返して、その雨の様子を想像してみたことか分かりませぬ。
     乱暴です。雨を勝手に優しくしていないのもいいのです。打ちつけられるし、粉みじんにはなるし……。恍惚として読みました★☆

     もう雨の話しかしたくないのですが、忘備録も兼ねていますので、ちょっとだけ粗筋を書き留めておきましょう。
     画廊勤めのヴィンセントは、絵を売りにきたD・Jという娘に、強烈にインスパイアされます。会う者すべてをデストロネッリなる男(誰だ?)と結びつけるD・Jは、どうやら精神を病んでいる様子なのですが、ヴィンセントはすっかり彼女のトリコになってしまうのでした。
     そして、二人の間に、その、雨が降るのです。あまりにも素晴らしい雨が……☆

  • せつない。

  • 20151105

  • 名作

  • ちょうどクリスマスの頃に読んでいて、タイムリーだった。70歳の遠い従姉妹の親友がいる少年三部作みたいのが心温まりました。
    ただちょっとカポーティの作風は、自分は苦手だ。特に誕生日の子供たちはそんな終わり方?みたいな。終わりきれないから殺したようにしか思えなかった。文章がすばらしいからその力だけだよなあと思ったり‥‥物語性というか、全体のバランスが不安定な感じがして、苦手です。

  • 村上さんが付けた訳の言葉がどれも洗練されていて素敵

  • 表題作を含む短編集。最後の「おじいさんの思い出」だけは、カポーティの真筆かどうか疑問の声があがることも納得できる程、他の5編の比べて質が劣る。

    他の5編については、思い出を淡々と述べているようでいて、心にがつんとくる台詞や場面に、次第に物語りを築き上げていく手腕は、本当に見事で美しい。

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