介護入門

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  • 文藝春秋 (2004年8月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (106ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163234601

介護入門の感想・レビュー・書評

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  • YOとかに惑わされないよう、文体への注視を一旦やめ、物語のみに焦点を当てるという読み方をあえて自分に課してみた。
    そうすると印象に残ったのは、この物語が、孫が祖母を献身的に介護するという“いい話”で、主人公(=作者)が見た目とは違って実は“いいひと”だ、っていうこと。その証拠に、主人公が祖母に着せるのは「おむつ」ではなく「襁褓(むつき)」だ。

    だが、介護する青年のイイ話だけでは、ありきたり。既存にない独自の作品への昇華には、もう一歩突き抜けるための何かが必要。では、この作品のオリジナリティは何か? 私なりに考え、出した結論は、「敵を次から次へと作り出す上手さ」。

    作者が他より頭一つ突き抜けたのは、その文体だけではなく、正義ヅラした“クソ”として描かれる奴らを、筆の勢いでバッサバッサと斬っていくところにある。そう確信した。
    例えばそれは、祖母から見て実の子どもにあたるのに、祖母と寝食を共にして自ら汗をかくことを避け、たまに来ては綺麗事と自己保身しか言わない叔父叔母ども。そして一くくりに「介護地獄」とかキャッチフレーズ的に中身ゼロの放送しかしないワイドショー。果てには、よりによって国際線の機中で放映された国辱的にクダラナイ映画「踊る大捜査某」(というタイトルで登場)といったところ。
    私たち読者は、そういう主人公の快刀乱麻を断つ書きぶりにカタルシスが得られる。読者はそれでいいだろう。

    しかし、作家にとって、敵を次々と作るという作風は、他方で、危険な側面ももつ。少年ジャンプの連載漫画に限らず、敵を倒し、次に進もうと思えば、もっと強い敵を作らなければならないというジレンマが生じる。モブ・ノリオさんは果たして、この作品で偽善者どもを次から次へと引きずり出し、面の皮を剥いだ末に、作家としての昇華に至れたのだろうか?

    書いてるときは、そりゃ、気持ちよかったと思うけど…
    でも私たちは経験上知っている。その結果、恐ろしい疲弊と閉塞感が襲ってくることを。その作風から次に進みたいと考えたとき、その気持ちよさを超えるのは簡単な作業じゃない。ハッパなんかと比べ物にならない禁断症状がクルはず。

    本当は敵を作って切り捨てていく作風に走るんじゃなく、徹底して介護のリアルと人間心理に迫るっていうのが、作家として本当はカッコよかったんじゃないか、なんて思う。素人ながら一言だけ。
    (2012/7/10)

  • 介護によって
    溜まりに溜まった思いを
    吐き出した作品

    文句を吐きまくっている個所には
    やたら
    HAHAHA とか YO が頻出

    近代的意識が培養した
    デリカシーの欠如に対する無自覚

  • 骨折をして寝たきりになってしまった祖母を孫である俺は、介護をしている。その俺が読者に向かって語りかける手法で、話は進んでいく。
    明るくさらりとは読める。ただ年寄りのせいか、文末にくる朋輩と書いてニガーと読ませるのがいただけなかった。
    もう少し若い頃に読んでいたならば、すんなり受け入れられたのかもしれない。年寄りついでに、私の年だと祖父母の介護というよりは、親の介護のほうがしっくりくると思ってしまった。
    かなり辛口の感想となってしまったことを、お詫びいたしますm(__)m

  • 当時祖母の介護をしていたので興味を惹かれて購入。

  • すき

  • 8刷11月。図書館本。 70

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:913.6||M
    資料ID:50400877

  • 実験作が多いと称される芥川賞の中でも、かなり異質な作風といえるだろう介護とロックンロールの組み合わせ。
    始めは重たい題材を軽快に読ませる仕掛けとも捉えたが、どうも狙いは違うようで、全てを敵と思いながらも孤軍奮闘する介護に対する苦労と心無い外野からの声に反発し、反社会的になって当たり前だコンチクショーといった勢いを精密さと慎重さで鋭く切り込んだ一冊だと読み終えて思った。

    以下、鋭いと思った言葉の引用。
    『寝たきりの年寄りは家庭生活をゲリラ的に脅かす爆弾だ』
    《寝たきり老人介護イコール孤独のほったらかし》
    "経験も技術も持ち合わせぬ身を省みず、音楽を作りたいと親の会社を辞めたものの、これならかつての得意先から注文を取ってくる方が余程気楽に思え、そう思った途端捨てた生活を恨めしげに振り返る己の本音に青ざめ、何よりも恐ろしく俺は今を生きていないと怖気立つのだった"
    《派遣介護士の質は、人間の質である。》
    《己が恵まれ過ぎていることに気づく者は、恵まれぬ我が身を嘆く者より、感謝の情に恵まれる。》
    "安物のアルコールで己を誤魔化した阿呆どもが惰眠を貪る時間、死んでいる俺はグラム八五〇〇円の徹夜から、生きる光を探すのだ"

  •  あまり知ったような口をきくのもいけないような気がするほど、介護の様子が刻々と書かれており、気迫すら感じた。なんて言えばいいのか…。とにかく、現実と、真実と、愛がつまった一冊。涙が出た。読んで良かった。

  • 祖母の介護をテーマにした作品。芥川賞を受賞したので読んでみたくなった。
    実体験がもとになっているので、リアルで痛快。
    介護をする人間、される人間にとって何が一番大切なのか。人間の尊厳は何処まで守ることが出来るのか。
    考えさせられる作品でした。

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介護入門の作品紹介

俺はいつも、「オバアチャン、オバアチャン、オバアチャン」で、この家にいて祖母に向き合う時にだけ、辛うじてこの世に存在しているみたいだ。第131回芥川賞受賞作。

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