対岸の彼女

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著者 : 角田光代
  • 文藝春秋 (2004年11月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163235103

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対岸の彼女の感想・レビュー・書評

  • 購入当時、なかなか私の頭の中に入ってこなくてすらすら読めず、途中で挫折をした「対岸の彼女」。第132回の直木賞受賞作で、当時ちらっと話題になりました。35歳の独身女性・葵と、同じ年の主婦・小夜子の二人の女性の生き方を描いた作品。

    今回はちゃんと読めました。仕事を初めて丸3年が過ぎ、仕事とプライベートと、友情と、よりリアルに彼女たちの感じる日常を想像できるようになったからかもしれません。

    小夜子は、一児の母。仕事もしていない専業主婦。結婚前はバリバリと働いていたけど、社会に出て人間関係がわずらわしくなったり、毎日に疲れることが多くなって、寿退社をした。結婚したら、子供ができて、旦那の言われるままにいい主婦をやっている。ただ、何か踏み込めずにいる自分に少しだけ失望している。私がこんなだから、娘も人とすぐに打ち解けられず、泣いてばかりなのではないかと、自己嫌悪の日々。

    働こうと思った。

    電話をかけた就職活動先の会社の社長が、葵だった。同じ年だった。破天荒に仕事にバリバリ、思いのままに生きているように見える葵に少しずつひかれていく。
    そんな葵の高校時代は、今からは想像もできないぐらい後ろ向きだった。いじめに合い、転校先でも自分を隠して、母との関係もぎくしゃくしている。そんなとき、出会ったナナコという同級生。二人のちょっと奇妙なだけど、とても共感できる友情の話。

    その二つが交互に語られるところに、同作の魅力があるんだと思う。対岸の右側と左側に立っているような彼女たちは、お互いをわかりあえることなどあるのだろうか。

    結婚と、仕事。それ以上に、女同士の友情とはなんなのか。
    大人になればなる程、傷ついた分だけ臆病になる。知恵をもったぶんだけ、嘘がうまくなる。本当の自分はいったいどこにいるのだろう。大人になってからの友情なんて成立しないのだろうか。

    という話。本当にわかり合える人に出会えるのって、すごい貴重だよなぁと改めて思ったりして。でもね、それは何歳になっても、奇跡やタイミングだけなんかじゃなくって、自分自身の勇気によるんじゃないかと思います。声をかける勇気。笑いかける勇気。本音を伝える勇気。自分らしくいる勇気。

    大人になると億劫になることは増えていく。まぁいいかなどと片付けてしまったり、取り繕ったりすることも。でもそれでも前に進む清々しさや、心から笑える人との出会いを知ってしまったから、年を重ねても人と過ごす時間を丁寧にしたい。

  • どうしてこんな物語が書けたのか、不思議になるくらい緻密で、でもつながっていて引き込まれた。かつ、読み終わったら、どこに特に心打たれたかもあいまいなままに泣けてしまった。
    人って孤独なのか、繋がりや友情が何かもたらしてくれるのか、家庭では、シングルの身では、いじめられている学生では、仕事の中では。うまく説明できないけど、どこか当てはまるんだと思う。

  • アラサー独身女性は読むべき!

  • なぜ私たちは年を重ねるのか。生活に逃げ込んでドアを閉めるためじゃない、また出会うためだ。出会うことを選ぶためだ。選んだ場所に自分の足で歩いて行くためだ。

  • 図書館で借りた本。旅行・掃除を請け負う会社社長の葵。葵の会社に採用された小さな子供持ちの小夜子。小夜子は掃除の仕事を通じ社長の葵と親しくなっていくが…葵の幼少期から高校の思い出が交差しながら話は進んでいく。いじめられっ子だった葵は住所を変え群馬に。女子校に進学し、ナナコという親友もできたのだが事件が起きてしまい…葵は程々の距離感がなぜ分からないのかと思っていたが、小夜子という似た者同士の気質だとお互いが側でずっと繋がりを持ちたいのかなと思ったりした。

  • 鬱陶しいなとか思いながらも面白かった。
    高校時代の瑞々しさに涙が出そう

  • 専業主婦の小夜子と、社長の葵。
    葵の高校時代の話と、いま現在の話が交互に出てくるけど読みやすかった。
    女同士の派閥とかを思い出した。

  • わけがあって読まなくてはならなくなり、正直しぶしぶ読み始めました。角田光代は名前は知ってますが、ベストセラー作家か…別にいいや。と全く気に留めてない作家でした。
    というわけで、初めて読む角田光代作品ということに相成りましたが、いやーおもしろかったです。
    確かに始めはうんざりするような鬱屈した女性心理が描かれてますが、過去と現在を行き来する構成も手伝って、先が気になってしまいます。

    この小説は女性心理をリアルに〜とか、勝ち組と負け組の女の対立がリアルで…とか言われますが、私はそうは思いません。物語の中心にあるものは、とっても少女漫画的、ファンタジーの世界です。
    女が少女だったころ、憧れたのではないでしょうか。こんな少女漫画に。孤独な女子が2人だけの世界をつくる。2人の間には親も入っていけない。死も友情を分かつことはできないだろう…。ゾワゾワするほど陳腐な少女漫画です。でも、それはやっぱり魅力的なのです。
    その象徴が読んだ人誰もを惹きつける存在、ナナコです。彼女は(これまた少女漫画的ですが)不幸な家庭状況にあって、決して汚れません。小説ではぼやかされてますが、彼女は虐待受けている可能性、また貧困から売っていたのかもしれません。しかし、彼女は健気にも孤高なのです。こんな子は、現実にはいません。ファンタジーの園に住む女の子なのです。なので、現在大人になっていたとしても、大人になった彼女はでてきません。永遠の少女だから。

     ファンタジーの園から出なければならなかった少女葵と、ファンタジーに憧れた少女小夜子が出会う。これまたご都合主義ではありますが、カタルシスがあります。また出会って、別れていくのかもしれない、だが新しい関係が始まり、変化し、それでこそ生きて行く意味があるのだという作者のメッセージで物語の幕は閉じ、爽やかな読後感が残ります。

     登場人物の中でディスられがちな小夜子の夫ですが、変わっていく奥さんを見て、なんとなく焦ったり戸惑ったりしたのではないかと思います。少ない描写からもマザコンか、もしくは母に恐怖していたのかもしれませんが、変わった妻との新しい関係で、夫もまた成長したんじゃないかな?と思います。
    それより木原の存在の方が不気味でした。何をするでもなくいるのに、盗んでいってしまう。なんだかこの描写リアル。もしかすると、大ベストセラー作家ゆえ、こういった男のトラブルに巻き込まれたか巻き込まれるのを見たのか、そういう経験があったのかも…と勘ぐってしまいました。

  • ずっと読みたかったけれども読むのが怖く、なかなか読み進められなかった。
    同世代の主人公。学生生活もああわかる、、、とページを進めた。


    印象に残ったのは


    ☆どうして年を重ねるのか、
    人と出会うため。


    ☆1人であることが怖くなくなる、何か。


    という言葉。

    ナナコはどうなったのだろう。

    小夜子の少しのでも確実な
    変化が旦那もあんな義母さえも包み込むというか、乗り越えるというか。

    間接的に励まされた。

  • 一気に読みました。読んでいるうちに気持ちが段々と苦しくなってくる。すごく鋭いなぁと思います。

  • 専業主婦の小夜子にダブるところがいっぱいあった。
    女の人特有の感情がよく出ていたと思う。
    自分自身にあてはめていって、心がズッシリ重くなった。

    私も一歩踏み出したい。

  • 対岸の意味するもの。自分と周りの人々の間の「川」(野坂昭如の男と女の間には~を思い出した。突然。対岸の~の内容感想とは関係ないです。)周囲との違和感を抱えた三人の女(ナナコ、葵、サヨコ)。その葵を挟む2ペアの織りなす物語が、時間を超えて、交互に語られる。人との出会いとは、何だろう。
    「ひとりでいるのがこわくなるようなたくさんの友達よりも、ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと出会うことのほうが、うんと大事な気が、今になってするんだよね」 そうなのだ、対岸の人々と一緒に群れる必要はないのだ。
    「なぜ私たちは年齢を重ねるのか。生活に逃げこんでドアを閉めるためじゃない、また出会うためだ。出会うことを選ぶためだ。選んだ場所に自分の足で歩いていくためだ」
     最後にサヨコは、葵の元に戻っていく。
     ナナコの存在感がよく出ている。

  • 高校時代の話はとても瑞々しくて繊細でもろい感情がすごく上手に描かれていて夢中になって読み進めた。
    大人になったら、ドラマチックなことはおきないけど。

    学生時代の友人に連絡がとりたくなった。

  • 高校編はまさにみずみずしい青春と一言でまとめられるくらいわくわくしながら読めた。全体的に大きなふり幅がなく最後の終わり方は物足りなかった。
    現代編は大きく揺さぶるような衝動がなかった。大人になると自分からアクションを起こさない限りルーチンワークのような平坦な日々が流れるだけなのだと実感。

  • 主婦の小夜子と独身女社長の葵の物語。
    小夜子の目線と、高校時代の葵の目線の二つを通して物語は進んでいく。時を超えてシンクロしていく様がよかった。

    「ひとりでいることがこわくなるようなたくさんの友達よりも、ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと出会うことのほうが、うんと大事な気が、今になってするんだよね」

    葵の高校時代の親友ナナコの言葉が印象的。
    内気な娘、家事にも育児にも非協力的な夫、嫌味を言う姑、誰かを悪く言うために群れているかのようなママ友達、閉塞感の中から一歩抜け出た先で、小夜子が見つけた何かとは何だったのだろう。


    2015.8.25

  • 女同士
    だいすきだけどきらい。
    だいきらいだけどすき。
    ほんの少しのバランスが、女同士の付き合いには大切よね。

  • 高校時代のパートはいいなぁ…すごくいい。
    アオイとナナコが生き生きしていて、どの場面も(苦しいところでも)魅きつけられる。
    彼女達の笑顔と、川や海の美しい光景も鮮やかに目に浮かんだ。
    行き着くところはどうあれ、二人が出会ったことは確かに眩しい幸福だった。

    …この、高校時代だけで良かったなぁ、私は…。
    現在パートの始まったところでは興味の持てたアオイもサヨコも、好感は読めば読むほど失われてしまった…。
    まずアオイは何なの…。
    自分の満たされなさにナナコぶって(まあ下手な物真似!)他人を巻き込んでビジネスをさえ装うとか…。
    こんな経営者、私も辞めるわ。
    何で辞めた方が悪者みたいな描き方なのかわからない。
    そしてサヨコも何様なのか…。
    幼稚園ママ達が保育園を悪く言う場面が特に苛立った。
    サヨコに対しても、作者に対しても。
    全編通じて一面的なんだよね…。
    サヨコは働く母と家にいる母、両方がわかるはずだろうに、何で断罪目線なの何で自分は違うって目線なの。
    現在だけでなく、これまでも彼女はそうやって自分は違うと無意識に上から見ていたんだろうな…そりゃあ友達出来ないわ。
    で、働きたい、自分はそれが合ってる、と思うのはいい。
    それは個人の選択。
    でもそこで選ぶべきは中越典子の方だろう…。
    アオイに友情を感じていたから、ということにしたいんだろうけど、私には双方どちらも友情を感じられない。
    アオイは自分をナナコのように感じさせてくれるサヨコが便利、サヨコは自分を便利だと思ってくれるアオイが便利。
    結局、二人ともナナコの幻を介していて、お互いを真っ直ぐに見ることなしに終わる。
    アオイの次の会社も二人の仲も、また大して経たずに終わるだろう。
    バッドエンドとして書かれているなら私はむしろ納得したのだけど、ハッピーエンドなんだよね、作者としては…。
    高校パートは本当に良かったので、現在パートが私に合わなかったのがとても残念だった。

  • いや〜(´・ω・`)ノめっちゃ集中して読んでしまった。入り込んだー!
    私自身、子供がいないのでママ友とかの人間関係はないけれども、女ってホント友好な人間関係を築くって大変〜(>ω<、)
    知らず知らずのうちに人を傷つけているかも。
    登場人物では、ナナコと葵が好き。(あ、ほとんどですね…)
    彼女達のエピソードは、昔の友達を思い出して、電車の中で泣きそうになった。
    葵カッコいい。頑張って幸せになって欲しい。

  • 装画/根本有華 装丁/池田進吾(67)

  • 女同士って面倒くさい、でも、女同士って本当に楽しい。今はその面倒くささと楽しさが両方感じられるからか、時折はうんざりしながらもどんどん読めました。カースト制度、あったなぁ。制度外の人だった。だから時折最下層に入れられそうになったけど、ひらひら逃げてたなー。逃げ切れなかった時もあるけど、そんな鬱陶しい思い出も蘇り。ちょっとした立場の違い、環境の違い、その時その時の少しの違いで変わるものなんだ、女って。本の中でもほんの外でも。

  • 何のために歳をとるのだろう?小夜子の彼女なりの答えは素朴だけど素敵だなと思いました。

  • 魚子ちゃん…魚子ちゃん…魚子ちゃん……!(落ち着け、俺)

  • 面白い構成の本だ。
    高校時代と現在が交互に描かれる。
    人物の負う役割が違う。
    時を経て変わりゆくものと、変わらない想い。
    一人の女性の成長譚。

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