対岸の彼女

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著者 : 角田光代
  • 文藝春秋 (2004年11月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163235103

対岸の彼女の感想・レビュー・書評

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  • 学生時代も社会に出てからも女って面倒くさい。運良く私は学生時代にトラブルはなかったし、中学からの友達と今でも一番付き合いがある。そして、この人は信頼できるという前職の友人も何人かいる。
    でも、歳を重ねただけ友人だった人の裏切りにも合ったし、かつてあんなに一緒にいたのに今では名前も忘れるくらいな友人(?)もいたり…今でも職場では表でいい顔して、上司にあることないこと告げ口しまくっている年上女に悩まされたり…そんな面倒くさい関係がリアルに綴られていた。
    女って何でこんなに面倒くさいんだろうと何度も思いながらも自分も他人から見たら面倒くさい時があったりして、未だに抜け出せなくてもがく自分がいる。女って一生そうかもね。

  • いわゆる普通の主婦・小夜子と、小さな会社の女社長・葵の物語。同い年で大学が一緒だという過去の偶然がきっかけで、小夜子は葵の会社で働きはじめる。とても気が合いずっと仲良くやっていけるような気がしていたが、立場の違う二人はだんだんとすれ違っていき…。

    久々に本読んでて、何かがせり上がってくるのを感じた。感動して泣く、というのともまた違うんだけど。

    ひとつ、印象に残った言葉。
    「ひとりでいるのがこわくなるようなたくさんの友達よりも、ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと出会うことのほうが、うんと大事な気が、今になってするんだよね」

    なんか、学生の頃のこと思い出した。
    私も集団生活が苦手で学校生活もかなり苦戦したし、正直ひとりで居たほうが楽だと思ってたけど、でもやっぱり完全に孤立するのは怖かった。必死に頑張れる“何か”も見つけられてなかったから尚更。
    たまに人とつるむことにうんざりしてひとりで行動することはあったけど、それでも完全に孤立することはないようにって注意深く行動してた気がする。ひとりきりでもなんにも怖くない、とは言えなかった。

    大人になっても似たような繰り返しなんだって絶望して、その煩わしさを避けるように、ひとりでも出来る今の仕事を選んだ。
    社会に出ても学校の中の構図とほとんど変わらなかったから。仲間外れとか陰口とか、それらを避けるためにはうまく処世しなくちゃいけないこととか。ただ年齢が上がってるだけで、なんにも変わらなかった。その事実にぞっとしたんだと思う。

    結局は大人になってからも同じで、自分にとって大事なものが信念みたいな形で明確にわかっていれば、余計な横の繋がりなんてなくても大丈夫って思えるんだよね。
    今は無理に誰かと仲良くしなきゃとか全然思わないし、そういう中で違和感なく一緒にいられる人たちと出逢っていくんだってこともわかった。
    そういう感覚を学生のときに知ってたらずっとずっと楽だったんだろうけど、毎日続く学校生活ではなかなかそんな風には思えないよね。一段一段上ってきたから思えることであって、一気に全部飛び越えて強くなるなんて無理だから。

    そんなことを思った、思わされた小説。
    角田光代の小説にはしばしば打ちのめされます。こういうことあるあるって思う。特に女性はそう感じると思う。

    途中は葵に感情移入して辛くなったけれど、ラストは光を感じられるような終わり方でよかった。
    女同士って実際こういうすれ違い方をする。そういうことをリアルに感じられる作品でした。

  • 現在と過去の高校時代の場面の切り替えがとても巧い。
    混乱することなく、スムーズに読み進められる。

    ナナコは、『何もこわくなんかない。こんなところにあたしの大事なものはない。いやなら関わらなければいい。』と強い女の子の印象だが、実際は帰りたくないと泣き出し、葵と逃避行してしまう女の子。
    悲惨な境遇ゆえ学校では、どこにも属さないピエロを演じていたようだ。
    そんな不思議系ナナコには、好感を抱いた。

    葵の父親のグッドジョブな計らいで、再び渡良瀬川での再会のシーンは、嬉しいはずなのにどことなく永遠の別れを予感させる。

    高校時代、 夏休みの伊豆でのアルバイトと、現在の掃除の仕事、そして小夜子と葵との関係は重なり合うものがある。

    一人の人生ってそんなふうに、繰り返し繰り返し似たような相対関係が在るものなのかなと感じた。

  • 高校時代のパートはいいなぁ…すごくいい。
    アオイとナナコが生き生きしていて、どの場面も(苦しいところでも)魅きつけられる。
    彼女達の笑顔と、川や海の美しい光景も鮮やかに目に浮かんだ。
    行き着くところはどうあれ、二人が出会ったことは確かに眩しい幸福だった。

    …この、高校時代だけで良かったなぁ、私は…。
    現在パートの始まったところでは興味の持てたアオイもサヨコも、好感は読めば読むほど失われてしまった…。
    まずアオイは何なの…。
    自分の満たされなさにナナコぶって(まあ下手な物真似!)他人を巻き込んでビジネスをさえ装うとか…。
    こんな経営者、私も辞めるわ。
    何で辞めた方が悪者みたいな描き方なのかわからない。
    そしてサヨコも何様なのか…。
    幼稚園ママ達が保育園を悪く言う場面が特に苛立った。
    サヨコに対しても、作者に対しても。
    全編通じて一面的なんだよね…。
    サヨコは働く母と家にいる母、両方がわかるはずだろうに、何で断罪目線なの何で自分は違うって目線なの。
    現在だけでなく、これまでも彼女はそうやって自分は違うと無意識に上から見ていたんだろうな…そりゃあ友達出来ないわ。
    で、働きたい、自分はそれが合ってる、と思うのはいい。
    それは個人の選択。
    でもそこで選ぶべきは中越典子の方だろう…。
    アオイに友情を感じていたから、ということにしたいんだろうけど、私には双方どちらも友情を感じられない。
    アオイは自分をナナコのように感じさせてくれるサヨコが便利、サヨコは自分を便利だと思ってくれるアオイが便利。
    結局、二人ともナナコの幻を介していて、お互いを真っ直ぐに見ることなしに終わる。
    アオイの次の会社も二人の仲も、また大して経たずに終わるだろう。
    バッドエンドとして書かれているなら私はむしろ納得したのだけど、ハッピーエンドなんだよね、作者としては…。
    高校パートは本当に良かったので、現在パートが私に合わなかったのがとても残念だった。

  • 誰でも一度は私ではない他の誰かになれたなら幸せになれる。と、見えない幸せを妬んで過ごしたことがあるんじゃないかなと思う。専業主婦から社会に再び出ることの難しさ、憧れと失望感を繰り返し日々過ごす小夜子の想い。葵の心にナナコはずっと寄り添っていて大人になりそれぞれ違う世界で過ごしていても葵は心に彼女を生かして生活している気がした。歳を重ねるということは出会いに喜び別れを忘れず想いを繋げていける人ではないかとも思った。作者の書き方がとても巧く心に残る一冊。

  • 直木賞受賞作

    「ひとりぼっち恐怖症」


    そんな私世代の既婚女性小夜子と未婚女性葵のお話。
    それぞれ対岸にいる二人の過去と現代を交差させたお話。

    共感できちゃうことばかり。
    友達がいないと世界が終わる・・・
    ずっとそう思って小さい世界を生きてきたなぁ。
    いつからだろう。
    ひとりでもいいって思えるようになったのは。
    必死になって誰かと繋がっていなくちゃって思わなくなったのは。


    そんなこと思いながら読みました。
    きっとものすごく前向きになれるお話なんだと思う。
    最後はハッピーエンドだし。
    でも、私には入り込めなかったかな。
    表現の仕方のせいなのか、
    最後の展開のせいなのか。

  • 今日から第3学期定期考査が始まりました。
    早い生徒は、1時間で今日のテストは終了。で2時間目から図書室に来ていました。

    そして、今日は教職員の「学年対抗バドミントン大会」が開かれ、
    司書含めの事務部は3学年に組み込まれ、体育館にて試合が行われましたが、私はもう年なので応援に回らせていただき、久々に声を張り上げ応援いたしました。
    そのかいあって(?)、なんと、3学年が優勝。みなさん、大変お上手でした。

    角田光代著 「対岸の彼女」

    第132回 直木賞受賞
      どなたかが以前おっしゃっていました。
      やはり、直木賞は違う。と。
      何と違うかは失礼になってはいけませんので・・・。

    『大人になれば、自分で何かを選べるの?』
    女の人を区別するのは女の人だ。
    既婚と未婚、働く女と家事をする女、子のいる女といない女。
    立場が違うということは、時に女同士を決裂させる』

    『高校生のころは友だちを作るのは簡単だった。
    一緒に学校を出て、甘いものを食べて、いつか分からない将来の話をしているだけで満たされた。
    けれど私は思うのだ。
    あのころのような、全身で信じられる女友達を必要なのは、大人になった今なのに、と』

    この本を読んだのはいつだったか。
    主人公の大人になった今と、思い出のように高校生時代が描かれていますが、私は高校生時代の思い出に心が惹かれました。

    子どもであるはずの高校生が、子どもでいられないとするなら、それらは全て周りの大人のせいです。

    分類 913/カ

  • 直木賞受賞作品。
    この人は女の心理を描くのがとてもうまい。
    読んでいるとだんだん自分にもこういうところあるな、と落ち込んでくるくらい。

    最後ちょっと明るい感じで終わって良かった。

  • 第123回直木賞受賞作品。

    小夜子、女社長の葵、あかり、ナナコ、中里さん。
    作品に登場する人たちは、みんなどこかであったことのある人みたいです。

    角田さんは、非常に器用な作家さんなのではないかなと思います。
    上手だな~、という感想。
    嫌味がなくって少々羨ましい。

    器用に生きられたらいいけど、なかなかそうはいきません。
    難しいですネ。

  • 既婚、未婚というそれぞれ違った立場にいる30代の女性同士の微妙な関係、みたいなふれこみで、何となく斜めな気持ちを持ちながらも、興味がないわけじゃなかったので手にとってみたのだけど、そんな陳腐なもんではなくて、なんと言うか、思春期の女子独特の儚さや脆さ、ピュアな幼さがひたひたとしみいってきて、自分の奥深いとこにある何かが揺り起こされるような感じがして、読後、爽やかなものが残った。頬を伝う汗や、エイトフォーの香りを思い出した。

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