風味絶佳

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著者 : 山田詠美
  • 文藝春秋 (2005年5月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163239309

風味絶佳の感想・レビュー・書評

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  • 己の欲望に正直な
    淫らで甘やかな感性と
    独特な言葉のリズム、
    そして美しくほろ苦い
    読後の切なさ。


    若い頃に山田さんにハマった時より
    ストンと腑に落ちるこの感覚。


    やはり彼女の小説は
    様々な経験を経て初めて
    味わいが増すし、
    理解できる質のものなんだなぁ〜と
    改めて思い知りました(^_^;)




    鳶職の男の三角関係と
    ミステリアスな友人との不思議な日々を描いた
    「間食」、


    料理で男の胃袋を掴むことにすべてを懸ける元主婦と
    ゴミ収集の作業員の恋を描いた
    「夕餉」、


    キャラメルが恋人だというお婆ちゃんと
    GSで働く孫とその恋人たち
    「風味絶佳」、


    離婚した母娘と
    引越し屋さんの触れ合い
    「海の庭」、


    汚水槽の作業員と
    スナックのホステスの
    濃密で変態チックな関係がコワい
    「アトリエ」、


    好きな女を
    火葬場で働く親父に取られた
    息子の葛藤を描いた
    「春眠」、


    などどれも
    ガテン系の仕事をする男たちの恋愛話だけに
    同じ職種の自分としては
    共感しやすかったです。



    そして、
    ミラノ風カツレツ、
    黄色い箱の
    森永ミルクキャラメル、
    出汁の染みた高野豆腐、
    バスキン・ロビンスのアイスクリーム、
    甘くてとろとろしたシュークリームなどなど、
    食べ物の描写が
    ゴクリと喉を鳴らすほどに
    美味しそうなのも
    特筆すべき点かな。



    個人的には
    大人の淫靡さで
    もう一度初恋をやり直そうとする男女を
    娘の視点から描いた、
    『海の庭』に
    酔わせてもらいました。


    サガンの「悲しみよこんにちは」を彷彿とさせる、
    思春期の少女の心の揺れが
    絶妙な塩梅(笑)



    それにしても
    「たったひとりにだけ、
    嫌といいは
    同じ意味になるんだよ」は
    心の名言集に
    しかと刻まれましたよ(笑)(^_^)v



    滋養豊富、風味絶佳な
    6つの短編集。


    甘くとろけて
    香り立つ、
    極上の後引く味わいです。

  • 肉体労働の男との恋愛話6編。
    昔は3Kといって嫌われた肉体労働が、草食男子が増えた昨今、逆に人気のようですね。
    佐川男子なんて言葉もあるし。
    でもやっぱり男には多少なりともワイルドさが必要でしょ。
    だから「風味絶佳」の志郎は振られちゃったんだよね。
    ジェントルなだけではつまらないから。

  • 風味絶佳、海の庭、春眠が好きです。共通してちょっと切ない。
    風味絶佳は、女性側から見ていると感じる。シュガーとスパイスの配分はセンスと経験かな。グランマの孫にしては志郎センスないな。
    海の庭は、日向子の本当の初恋物語。夏と海と青色の物語。
    春眠の弥生は、生涯において奇跡的に出逢うべき人と出逢えた。それが居場所だってことは自分だからこそわかるんだろうな。

  • 海の庭、アトリエ、が好みだった。
    作並くんのようなおじさんは素敵だと思う。歳とともに積み上げてきたものは確かにあるだろうに、それを感じさせない気負いのなさは少女が恋するに十分だという気がする。情けなさが愛おしいの表現も非常に共感できる。
    アトリエはちょっと怖かった。どっちもおかしい。彼女の気鬱は不幸への憧れのようなもので、幸福を与えることで抜け出せるようなものじゃない。痛めつけて不幸と思い込ませた方が彼女は幸せだったと思う。

  • 「哲学の基本でしょ?」「プリモピアットはラザニア」「なんというイディオットな」「死っていうのがいつも隣にあったんじゃないかな」・・・山田詠美節炸裂の短編集だった。二十歳の頃はこういうの大好きだったんだけどね、今はもうキツいという事が解った。あと、すごい年下と交際したり結婚したりする人間は男女問わず、かなり地雷だから注意して!って感じだった。

  • 「思いを馳せる過去は、既に何かを失っているからだ」心に響きます。何かの本で「青春とは何かを失っていく事だ」と読んだ事がありますが、こっちの言葉もいいな。”間食”の主人公はどうしようもないクズ男だな。誰もが愛されたいと願っていて、ちょっと切ない。あと、グランマはいい女。

  • 『間食』、『夕餉』はどきどきする作品だった。恋をしてようやく分かる自分の姿は恥ずかしいけれど誇らしい。

    『風味絶佳』は恋愛小説というより女性小説として読んだ。主人公は男の子だけど、グランマや乃里子の生き様のほうがより鮮烈に映った。

    『海の庭』は流れる時間がとてもゆるやか。進行もゆるやか。ラストは表面上の変化はゆるやかだが、主人公は確実に変わったと思った。

    『アトリエ』、『春眠』は少し退屈な話だった。わたしの集中力が途切れてしまったのかもしれない。『アトリエ』はよく分からなかった。また読み返して考えてみたい。


    ひとつひとつの短編のタイトルと内容のリンクに戦慄した。タイトルは皆内容を最小に凝縮したワードであると思う。特に『海の庭』などはどんな話だったかと聞かれれば海の庭の話だったと答えるのが一番しっくりくる。

  • 「間食」での言葉。
    「頬をこすり付けて、自分の匂いを移すためにあるもの。噛んだり、羽交い締めにしたり、つねったり。可愛がりたい気持ちが行きすぎて、ついそんな行動に出てしまいたくなる対象。」

    あまりにも表現が愛しすぎて
    号泣してしまいたい衝動に駆られてしまった。危ない。

    これには一ページ目からやられた。

    愛されたくて、愛された分だけ誰かを愛したくて。
    人がたくさんいるように、愛し方も同じようにたくさんある。
    無条件な愛情。

    生活の中で欠かせない職だが、表にはなかなか出ない仕事柄がよく出てきた。

    高3の時に風味絶佳シュガー&スパイス映画を観たけど、
    映画の印象とグランマ役の夏木マリの印象が強すぎ。

    金原ひとみが著者の影響を受けているなぁwってわかった。
    うん。とにかく、なんかすごい)^o^(

  • 恋愛モノは苦手だけど、これはすごく良い!完璧です。+★★
    料理欲のストーリーには共感。私もダーリンに手の込んだ料理を毎日食べさせてあげたい!(妄想)
    こりゃあ、女性向きだなと思って読んでたけど、読み終わったあとに主人公全部男なのに気づいてびっくり。
    女の強さが最大限に出ていて(少なくとも私はそう感じた)鼻が高い気分。

  • イキなグランマが登場する表題の小説もよかったですが、
    最後から2つのお話しは、死を意識した刹那さで泣けてきました。
    とても幸せそうな、その瞬間が本当に貴重な感じでした。

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