シリウスの道

著者 :
  • 文藝春秋
3.78
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本棚登録 : 555
感想 : 93
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  • Amazon.co.jp ・本 (510ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163240206

感想・レビュー・書評

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  • 力強い小説だ。一昔前の広告代理店を舞台にした企業小説であるとともに幼なじみ3人の邂逅の物語でもある。まず人物描写が抜群に好み。破滅的な生活を送りながらも優秀なサラリーマンである辰村がとにかくカッコイイし、周りを固める脇役もいちいちカッコイイ。特に後輩の戸塚が抜群。最初に登場した際には役にも立たない雰囲気を醸し出しているのだが、ページをめくるごとに魅力を増していく。この構造が見事。次から次へと問題が発生しちょっとバランスが大丈夫か?と思う場面もあるがラストまで一気に読ませ強引に畳み込む剛腕にも脱帽。面白い。

  • テロパラ、てのひら、に共通する空気感や人物像は安心感があるな。なんといっても、広告業界の壮絶?なビジネスシーンがあまりにもリアルで、ノンフィクションを読んでいるみたい。だけど、切ない恋や男気といった藤原さん特有の展開は、描写を敢えて控えることで、その空気が余計に浮き上がる。とにもかくにも楽しめる本でした。
    読みながら、このバー、記憶にあるなあと思ったら。。ファンなら分かるはずw

  • テロリストのパラソルを読んだことがある人なら、懐かしさも込み上げ評価が甘くなるのはやむを得ないだろう。ただし、そのことを差っ引いても名作であることに変わりはない。30歳を超えてサラリーマンをやりながら、自分にウソをつかずバカ正直に生きているつもりの自分が、主人公の辰村に共感しないわけがない。サラリーマン社会でハードボイルドに生きるとはこういうことなのだろう。作者が亡くなってしまったことが本当に惜しまれると再認識した。

  • なんて面白いんだ!登場人物全てが愛おしい。ハッピーエンドではない…と思うけれど、嬉しいのか悲しいのか涙が出てくるラスト。ストーリー途中のどんでん返しの数々も予想しない展開で驚いた。この本は家に置いて時々読み返したい本の一つになった。

  • 色んな意味で出木杉くんな気もする主人公だけれども、更に言われてみれば部長も、戸塚も、その他諸々の主人公の周りの人々は基本的に良い奴なうえに仕事もできるわけで、美人にももてて、もう何の不満もないかと思いきや気に入らないやつを見るとおんどりゃー、と向かっていく早漏気味なオヤジな設定なのかもしれない。
    ともあれ割と良い感じにいろいろできそうなのに、これがまた、うまくいかないことも多くて、結果だけ見れば失敗なわけですよ。
    でも結果だけじゃなくて、経過を見た時に、ベストメンバーでがっつり苦労して、それでも必ずしもうまくいかない、その虚しさというか、切なさというか、分かる、分かるぞ、ってなる。
    まぁ言うてもこの人広告代理店勤務のエリートだけども。
    それに比べてかっちゃんの人生どん底っぷりが泣ける。

  • 途中から夢中になって、読むことを止められなかった。
    余りにも魅力的な登場人物たちと、主人公を中心に進んで行く物語に頁を繰る手が止まらず。

    社会に出てそれなりにたったからこそ、登場人物一人一人に憧れるし、チームワークの良さにもしびれる。

    暴力的な描写と同じくらい純粋さを感じる描写があり、もう惹き込まれる惹き込まれる。

  • 情景描写がとてもうまい。読んでいると目の前で物語が展開しているような感じを受ける。ストーリーも最高!久々に読んでみたいと思う小説に出会った感激!

  • とりあえずおもしろかった。後半は一気読みしたくらい。登場人物それぞれが個性的で魅力的だったな。

  • 主人公かっこよすぎる。読み終わった後、読んで良かったと満足感を得られる良い作品

  • 大手広告代理店の営業部副部長,辰村祐介が子供のころ明子、勝哉という二人の幼馴染の間にもった誰にも言えない秘密・・・
    あれから25年経った今、3人の幼馴染を再開させる事件が起こります
    離れ離れになっていた幼馴染たちがどんな大人になり、幼馴染たちの事をどう思っているのか真相を追っていくうちに分かるのが切なかったです。

    事件と平行して広告代理店内でも祐介の戦いは続きますが
    理解ある女上司や中途入社の戸塚君の存在は◎
    特に戸塚君の仕事への頑張りや生き方は応援したくなり
    最後には涙が出てしまいました。


著者プロフィール

1948年大阪府生まれ。東京大学仏文科卒。85年「ダックスフントのワープ」ですばる文学賞を受賞。95年「テロリストのパラソル」で江戸川乱歩賞、同作品で翌年直木賞を受賞。洗練されたハードボイルドの書き手として多くの読者を惹きつけた。2007年5月17日逝去。

「2023年 『ダナエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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