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著者 : 皆川博子
  • 文藝春秋 (2005年12月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (171ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163245300

蝶の感想・レビュー・書評

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  • こちらもまた、戦前戦後の重々しい雰囲気の中に耽美さを感じる短編集。薄暗いイメージだけれど、セピアや白黒ではなく、はっきりと色が感じられるのが凄い。少し怖い内容なのに、それでも目を離せない魅力を感じる。セイレーンの歌声に魅了された船乗りのような…。

  • ずっと気になってはいたのですがあまりに格式高いイメージでわたくしめ程度では楽しめないのでは・・と震えながら手に取りましたが、予想以上に読みやすいわ面白いわで驚きました。
    全部良かった・・・戦時中~戦後の日本を舞台に薄暗くもうつくしい記憶たち。
    皆川博子先生作品・・・こりゃはまる人はドはまりするわけだ・・・と知りました。
    ホラーってか幻想小説っぽいんだけど、でも艶っぽくてさびしい・・・。
    人間の業や悪感情みたいなものもさりげなく散りばめられてて暗めなんですけど、でもそれが読んでてキツくなくてむしろ甘美とさえ思ってしまう・・・。
    皆川博子先生は欠陥とか不完全な人体すきな方だったりするのかしら・・・『蝶』収録の「空の色さえ」は内翻足の女の子視点で、「艀」の青年詩人も脊髄を傷つけてたな・・・横瀬夜雨・・・。
    「蝶」の男も自身の中の欠落した部分を自覚して・・・な話だったし・・・。不完全さという薄暗い美・・・。
    「想ひ出すなよ」は女子校の闇(っていうと安直だが)・・・こじらせた文学女子が・・・っていうオチでぶっ飛んだ・・・。
    皆川博子先生は最後まで穏やかに悲しく終わらせるオチだけじゃなくて一気にドンッて突き落とす系オチも書かれるんだなって思った・・・。
    だから「龍騎兵は近づけり」もすき・・・。
    「妙に清らの」が一番薄暗く病んでて、私は好きでしたね!眼球!眼球!!
    オチが超絶幻想的で耽美で病んでてたまらない・・・。
    あとあれですかね・・・皆川先生は「間接的に関わった教養あるうつくしい大人に憧れる少年少女」ネタおすきなのかな・・・いいですよね・・・ドキドキ・・・。
    「幻燈」は日本文学定番の奉公娘と奥様の百合でしたね皆川博子先生もそこは勿論外さないのですねさすがです先生。
    その娘が最後まで・・・っていうオチまで含めて本当に最高すぎますネタバレなのでここでは書けませんがこれだけは言いたいです百合は最高(ここまで一息)
    「遺し文」も「間接的に関わった教養あるうつくしいどこか欠落した女性に淡い憧れを抱く少年」という性癖タコ殴り作品だったんですけど、これもラストで突き落とされました・・・かなしくもうつくしい一瞬の邂逅なんだよなあ・・・最高だなあ・・・(恍惚)
    皆川博子先生作品、興味と期待がでかすぎてどこから手を出せばいいのか不安だったんですけど『蝶』から入って正解だったっぽいです・・・。
    短編集なんですけど長さも丁度いいしめっちゃ読みやすい・・・。
    性癖含めて全部名作だし・・・、先生の読み手を最後までさらさら読ませる技術もすごい・・・。

  • 最近皆川博子にやられっぱなし。
    少女性を持ち続けられるのは本当にすごいことだ。

    義眼と目の穴のお話「妙に清らに」に萌えた。

  • この人にしか書けない短編集だった。
    戦後の喪失感にあふれている。

  •  前向きでもなく、後ろ向きでもない。ただ「生き残ってしまった」「生きているのだ」という思いのもたらす鈍い痛みと悦びに、身を委ねるだけ。

     戦争が終わって、世の中の価値観はひっくり返って、けれど過去までもが消え去ってくれるわけではないのだ。
     ふわふわと彷徨い続けてはいるものの行き先はなく、鮮烈に焼き付いた記憶の影を未だ知らず追いかけているかのようだった。

  • この時代背景を描けるのは皆川先生ならでは。
    若手ではこうはいかない。
    http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/13285440.html

  • 綺麗だけど薄暗くて、思わず覗き込むと生々しいこわいものを見てしまった…みたいな雰囲気。

  • 暗い中の先に、絢爛な妖しいものがうかがえるような世界。目眩ましにあったように、ちょっとぼんやりする。

  • 本を閉じてから、心臓がバクバクして、しばらく現実に戻ってこれなかった。
    私の生まれたこの国は、仄暗さを秘めていて、私はそれをとても愛している。

  • ほの暗く、生臭いのにとても綺麗。子供の頃のよくわからない怖さを久しぶりに思い出した。

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