まほろ駅前多田便利軒

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著者 : 三浦しをん
  • 文藝春秋 (2006年3月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163246703

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まほろ駅前多田便利軒の感想・レビュー・書評

  • 便利屋を営む多田の元に、高校の同級生・行天が転がり込んできて・・。
    仕事を通じて、困難に直面しつつも再生し自分を取り戻す作業を続ける2人。
    持ち込まれた仕事の面倒な状況に首を突っ込み、面倒な人間関係に関わるうちに、
    結局、多田は自分の内面にしまっておいた、封印しておきたい過去の出来事に
    向き合わざるをえなくなる。


    さて、2人(行天は気が向いたときに、ポイントを押さえた仕事をする程度なのだが)が
    扱った仕事の内容は、

    ペットの世話
    犬の引き取り先探し
    塾の送り迎え
    恋人のふり
    高校生の身辺警護
    納屋の整理

    様々な仕事内容もさることながら、仕事の依頼人もずいぶん変わっている。
    娼婦のルルとハイシー。(なんだかかわいい。ビブリアにも、似た雰囲気を持つ人が
    いたような。)
    小学生の由良公
    クスリの売人・星くんと高校生の清海
    木村さんと北村君

    そして、同級生の行天。
    謎の多いこの人は、痛めつけられたことで言うことを聞かなくなってしまった
    獰猛な犬のようでもあり、
    人の好さやためらわずに人の懐へぽんと飛び込める人懐っこさも併せ持つ。
    身近にいれば、近づき難い雰囲気を持っている人なのだろうが、
    本で読み、第3者として眺めていれば魅力のある気になる人だ。


    行天の元妻の凪子がいう。
    「愛情というのは与えるものではなく、愛したいと感じる気持ちを
    相手からもらうことをいうのだと」(P191)


    最近聞いたんだよね、こういう言葉。誰からだったろう・・・。
    そうだ、言ったのは年下の友達だった。
    「『幸せになる』って人はすぐ言うけどさ、幸せは『なる』ものじゃなくて、
    『感じる』ものなのにね。」
    「なるほど。メモしておかなきゃね」と私は笑いながらも、とても感心したのだった。

    どちらも能動的な自分の態度や積極性が生み出すものではなく、
    太陽の陽射しを浴びて、じんわりとした温かみが伝わってくるように、
    相手によってもたらされるものなのだ。
    対象となる人がいても、必ず与えられるものではないだけに、
    もたらされたとき、そこに喜びと感謝の気持ちが生まれるのである。

  • まほろ駅前番外地がドラマ化されたので今頃だけど原作を読んでみた。
    仕事は一生懸命なんだけどどこか飄々としている多田と
    多田の元に突然転がり込んできたかつてのクラスメイト・行天。
    この行天が多田に輪をかけて変人で 始めは二人のキャラに馴染めなかったけど
    様々な客からの依頼をこなすうちに 多田と行天の二人の過去が分かって来て 決して仲良くはない二人なんだけど絶妙なコンビに見えてきて
    笑いさえ生まれてくるから不思議だ。
    客との依頼にまつわる悲喜こもごもかと思いきや 結構危ない場面が多くて流血沙汰も@@
    後ろ暗い過去を持ち自分は孤独だと思う二人も次第に人の輪の中で生きてるのだと思えたラストはちょっと励まされた。
    サブキャラですが施設に入ってる曾根田のおばあちゃんの予言や路線バスが間引き運転しているに違いないと言って聞かない岡さん。面白い。
    番外地にも出てくるのかなあ。続編早く読みたい。

  • 友人が「これは地元のM市をモデルにした話だから」と言って
    貸してくれた。

    M市は、私が幼稚園から高校卒業までいたところ。

    方向音痴の私でも、市内は町の単位まで名前を覚えていて、
    作品の中で微妙に名前が変わっていても、
    すぐにどこのことを言っているかわかる。

    かつていた市のすべての町名が分かるわけではないけれど、
    一呼吸置いて、そうか・・・とニンマリしてしまうような感じだ。

    どこにでもありそうな便利屋のちょっと翳のある店主と
    ふらっと現れたかなり変わり者の元同級生が主人公。

    主人公たちが卒業した「まほろ高校」は、
    どうも私の母校をモデルにしているらしい。

    人称は三人称で、便利屋店主の視点で語られる。

    脇を固める人物たちも、変人揃い。

    私の周りにはこんな人たちにはいないと思うのだが・・・。

    でも、妙にリアリティーが感じられる。

    変な人たちだと油断していると、たまに、深いことを言ったりする。

    帯にも使われている結びの言葉が、私は、結構好きだ。

    「今度こそ多田は、はっきりと言うことができる。
    幸福は再生する、と。
    形を変え、さまざまな姿で、
    それを求めるひとたちのところへ何度でも、
    そっと訪れてくるのだ。」

    いろいろあったけれども、
    それでも生きていけるという
    静かな宣言に思えるから。

  • 直木賞受賞作
    読んでて思った・・・便利屋は絶対儲からないと(笑)

    ストーリーは幸福の再生・・読んでいる時は気付かなかったけど、依頼人に対する真摯な接し方、くだらない仕事と思えることでもポリシーを持って行動する。背伸びするでもなく、できることだけやる。それでいてお金に見合わなくても最後まで仕事をやり遂げ、暖かく見守る。こんな男って・・いいなと思う。

    思うが、決してマネできない。が、それもいい。等身大でいいのだと、この本は教えてくれた。

  • ぐだぐだしてるかんじが好きだった
    面白い(^-^)

  • 映画を観て興味が湧いて読んでみました。なので比較感想になってます。

    映画の多田は、何かを諦めてるような風情でまぁ不機嫌で、過去の癒えていない傷をもてあましているような印象の人物だったけれど、小説の多田はそれプラス戦っている感があって、意外だった。
    ちゃんと主人公していた。行天のイメージが強いのは小説の方も変わらないけれど。
    『行天と暮らした1年近くのあいだ、多田は楽しかった。-略ー 楽しかったのだ。だから錯覚した。自分は変わったのではないか、忘れることができるのではないか、と』
    この一文で、多田ってほんとは変わりたかったんだぁ、とホロっとした。
    行天が不在で多田が1人なだけの場面など、多田の孤独やむなしさをさりげなく、でも縁取るように描写する。そういうところは、映像じゃなくて小説の領分なんだなぁと。(映画は映画で好きです!)
    読んでる人が全員、そこに気付かなくても、勝手に私が感じているだけでも。

    行天の印象は変わらず。
    ずっと松田龍平イメージで読了です!

  • 綺麗に上手く生きてくのは難しいけれど
    多少歪んでいても良いことってある

    生きるの贅沢じゃなくてもいいや
    と思える本。

  • 久しぶりの再読。
    やっぱりこのシリーズは好き。
    刹那的に生きる行天と過去の傷を引きずる多田。
    二人のアンバランスなようでピッタリのコンビが良いし、脇役キャラも良し。
    娼婦の二人や闇の男・星や、バスの間引き運転摘発に燃える岡など、これからの絡みも楽しみ。
    ハードボイルドなところや人情めいたところ、センチメンタルやコミカルなど様々な雰囲気が楽しめる。
    続編も読んでいこう。

  • 再読。
    番外地を先日読んで、あれ、もともとどんなだったっけ、と思い、探してみた。
    懐かしい。
    しをんさんの作品だったんだなあ、と、前は全然意識せずだったので、新鮮にも感じる。
    人とつながることを、やり直すことを、切ない祈りをこめて願うような物語。

  • 実はすごく重いけど、
    やたらと楽しく読める。

    「与えられなかったものを、
     今度はちゃんと望んだ形で、
     おまえは新しくだれかに与えることができるんだ。」

    負の連鎖の断ち切り方を見つけた。

  • 生々しい描写とか、闇社会の部分とか結構あったけれど、登場人物の一人ひとりに優しさが滲み出ていて、読んでいて苦ではなかったです。
    多田と行天の関係性に憧れます。

    続編があるらしいので、読んでみたいです。

    2014/04/24 読了

  • 便利屋さんのお話。多田と仰天。それぞれに事情がありそうで、その一端は分かりましたが、まだまだ謎がありそうな気がします。 淡々といていて、感情移入があまり出来なかったように思えます。そこが少し残念。

  • 脱力系男子2人の話。便利屋の話。組とギリギリまで関わる話。警察と関わる話。バツイチを経験したオジサン2人が苦悩する話。

    でも、最終的に多田と行天が過ごした一年が楽しかったと多田が思う話。

  • 相当面白かったと思う。
    知人に紹介されて読んだ。映画やドラマは見ていない。この作者も初。

    読みやすいのでどんどん読める。映像をイメージできてコミック的だと評価してる人が多いのも頷ける。

    参考になったり共感できるわけでは必ずしもないが、
    人とは違う価値観、生き方を強烈に感じることが出来た。
    こういう生き方もある。なんかちょっと今の自分の生き方
    と比べてみて、肩が軽くなった、軽くしてもらったなと。

    映像や続編にも手を出そうと思いました。

  • ドラマより断然原作です

  • 三浦しをんのエッセイは愛してるけど、小説は苦手…と敬遠していたものの、この作品の映画もドラマも大好きで大好きで、今頃原作に手を伸ばしました。

    萌えがふんだんに詰まっていて幸せですが、ストーリー自体はさらっと読んでしまうことも出来る。けど、立ち止まって覗きこんだらすごく深くて、最終章は何度読んでもため息が出ました。
    行天の、今まで何度も言われただろうけど、俺も言うよっていう言葉に当たり前に込められた優しさに、ほろり…。
    救われてほしい、けど救われてほしくない、その狭間から一人では抜け出せないであろうことが切ない。

  • 多田と行天のキャラはイイし、最後の伏線の回収もきれいに収まってるんですが…何と言うか、物足りない。もっと読みたい!と思う物足りなさの部分もあるんですが、これからなのに!って言う物足りなさ。続編を読めってことですね。

  • 久々の単行本です。やっぱよいですねえ~。図書室万歳!

    ドラマ化もしてるとのことで初三浦さん!
    すごい読みやすくて一日で読みました~。こういう日常切り取ったお話はやっぱ好きです。キャラクターのよさって大事。(合わないのはことん合わないけど)
    やはり行天がかわいいですね。「明日は晴れるかな。晴れるといいね。」ってところが好き。

    さいごもハッピーエンドでいい気分転換になりました♡

  • ちょっと前にDVDを観て雰囲気を気に入って、そのときに三浦しをんさんの小説が原作だと知って、でもすぐに原作を読む気にはならず、ほかの作品に手を出してみたら、がっつりハマッた。
    今、深夜にやってる『まほろ駅前多田便利軒 番外地』を観ていたら、そろそろ原作が読みたくなって借りてきました。

    映画を先に観ていても十分楽しめる。
    あの映画は、原作のイメージをうまく映像化していたんだとこれを読んで思いました。

    大きな事件は起きない。
    過去の出来事を後悔し続けて生きる男と、少しだけ心に闇を抱える男の奇妙な友情にセンチメンタル。

  • 多田がいい!行天がいい!
    それにつきる。
    個人的には通い慣れたまほろの、町田の街がいい。
    ちょっとした多田のつっこみも好き(笑)

    いい人過ぎず、悪人過ぎず、カッコつけすぎず。
    押し付けすぎずもったいぶるわけでもない。
    色んなもののバランスが絶妙で心地よいんだと思う。
    たんたんと進んで、最後に心がゆるむ。
    ちょうどいい。
    まさにそんな感じ。

  • 便利屋多田と高校の同級生だった行天が再会し、なんとなく流されるまま一緒に厄介ごとに巻き込まれて行く話。
    ブロマンス。
    全部で6章。章の始まりに下村富美の挿絵付き。かっこいい。
    キャラクターが魅力的。個性的。ルルが好き。星と清海のカップルも好き。
    読みながら情景が浮かぶ。食べ物の描写は少ないのに、とても美味しそうに感じた。

  • 多田と行天のボケツッコミ会話が面白く、はじめはコメディだと思って読んでいたら、多田も行天も心に深くて重たい闇を持っており、その闇の世界から青い空の下に戻ってくるまでが描かれたドラマでした。

    実は〇〇だった・・という種明かしのタイミングが絶妙にうまい!
    その時の、「そうだったんだ・・」という腑に落ちる時の胸打つドキッと感が大きかった。

    自分ではコントロールできない負の出来事によって、心の闇に迷い込んだことのある人、迷い込みそうになった人には、グッとくるものがあるのでは・・。
    人との出会いは、闇に囚われた心に、真に出口を示してくれることがあるものです。
    重過ぎない軽いタッチで、そんなことを伝えてくれる本でした。

    人は幸せになるために生まれてきたから、幸せになることを手放したらあかん・・・と思った一冊。

  • 直木賞受賞作。

    多田と行天・・・性格が正反対のふたりが主人公。
    多田は、何においても楽に生きようとしない男。
    学生時代に行天の指を切断させてしまったのも、自分のせいだと思い込むし、
    離婚してしまったのも、自分のせいだと思い込む。
    行天は逆に、なんでも楽に考えて生きている男。
    そんな二人が営んでいる便利屋が舞台。

    話の主体は、
    『幸福の再生』についてなんだよね。
    最後の章で、全部が紐解けました。
    一度切断されて縫い合わせてつながった、神経もかよわない冷たい行天の指を見て、
    多田は、いろんなことを考えます。
    一度自分から離れたもの・切り離したものをくっつけた気持ちを。
    行天はどうやって、その冷たい指を抱えているのかって。
    人生やり直しなんてきかないんだって。

    だけど、行天は多田に指を触らせて、
    「傷はふさがっている。ほかの指よりは冷たいけど、
    こすればじきに温もってくる。元通りにはならなくても、修復できる。」
    と言う。

    全てが元通りの生活にならなくても、幸福を感じることはできるし、修復もできるってこと。

    それが『幸福の再生』なんだって。
    最後にわかったとき、
    全ての章の話の筋道が明瞭に。
    それが言いたかったんだね。


    ほのぼのしたお話でした。

  • おもしろかった!続きも読みたい!

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まほろ駅前多田便利軒の作品紹介

東京のはずれに位置する"まほろ市"。この街の駅前でひっそり営まれる便利屋稼業。今日の依頼人は何をもちこんでくるのか。痛快無比。開巷有益。やがて切ない便利屋物語。

まほろ駅前多田便利軒のKindle版

まほろ駅前多田便利軒の文庫

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