まほろ駅前多田便利軒

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163246703

感想・レビュー・書評

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  • 架空都市・まほろの駅前に構える便利屋の話。以前から、読んでみたかった作品。登場人物にしっかりした人がおらず、全体的に緩い感じ。それが作品として、いいのだろうけど、期待以上ではなかったので、少し辛口に評価。自分を主張しない多田がシリーズを通して、どう変わっていくのか、楽しみ。

  • 映画を観て興味が湧いて読んでみました。なので比較感想になってます。

    映画の多田は、何かを諦めてるような風情でまぁ不機嫌で、過去の癒えていない傷をもてあましているような印象の人物だったけれど、小説の多田はそれプラス戦っている感があって、意外だった。
    ちゃんと主人公していた。行天のイメージが強いのは小説の方も変わらないけれど。
    『行天と暮らした1年近くのあいだ、多田は楽しかった。-略ー 楽しかったのだ。だから錯覚した。自分は変わったのではないか、忘れることができるのではないか、と』
    この一文で、多田ってほんとは変わりたかったんだぁ、とホロっとした。
    行天が不在で多田が1人なだけの場面など、多田の孤独やむなしさをさりげなく、でも縁取るように描写する。そういうところは、映像じゃなくて小説の領分なんだなぁと。(映画は映画で好きです!)
    読んでる人が全員、そこに気付かなくても、勝手に私が感じているだけでも。

    行天の印象は変わらず。
    ずっと松田龍平イメージで読了です!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「映画を観て興味が」
      映画になtっていたのですね、知りませんでした。
      読もうと思っている、三浦しをんの本では次の次(先に「風が強く吹いている...
      「映画を観て興味が」
      映画になtっていたのですね、知りませんでした。
      読もうと思っている、三浦しをんの本では次の次(先に「風が強く吹いている」)。その前にDVD借りようかな?
      2012/08/10
  • 友人が「これは地元のM市をモデルにした話だから」と言って
    貸してくれた。

    M市は、私が幼稚園から高校卒業までいたところ。

    方向音痴の私でも、市内は町の単位まで名前を覚えていて、
    作品の中で微妙に名前が変わっていても、
    すぐにどこのことを言っているかわかる。

    かつていた市のすべての町名が分かるわけではないけれど、
    一呼吸置いて、そうか・・・とニンマリしてしまうような感じだ。

    どこにでもありそうな便利屋のちょっと翳のある店主と
    ふらっと現れたかなり変わり者の元同級生が主人公。

    主人公たちが卒業した「まほろ高校」は、
    どうも私の母校をモデルにしているらしい。

    人称は三人称で、便利屋店主の視点で語られる。

    脇を固める人物たちも、変人揃い。

    私の周りにはこんな人たちにはいないと思うのだが・・・。

    でも、妙にリアリティーが感じられる。

    変な人たちだと油断していると、たまに、深いことを言ったりする。

    帯にも使われている結びの言葉が、私は、結構好きだ。

    「今度こそ多田は、はっきりと言うことができる。
    幸福は再生する、と。
    形を変え、さまざまな姿で、
    それを求めるひとたちのところへ何度でも、
    そっと訪れてくるのだ。」

    いろいろあったけれども、
    それでも生きていけるという
    静かな宣言に思えるから。

  • 裏路地のダークでハードなイメージがあって身構えていたけど、思ったより優しいお話で良かった!
    多田と行天、過去がつらくて、でも2人が会話することで救ったり救われたりして、便利屋さんとして地域の人たちと交流している様子も思いやりがあって良いなぁと思った。

  • 直木賞受賞作
    読んでて思った・・・便利屋は絶対儲からないと(笑)

    ストーリーは幸福の再生・・読んでいる時は気付かなかったけど、依頼人に対する真摯な接し方、くだらない仕事と思えることでもポリシーを持って行動する。背伸びするでもなく、できることだけやる。それでいてお金に見合わなくても最後まで仕事をやり遂げ、暖かく見守る。こんな男って・・いいなと思う。

    思うが、決してマネできない。が、それもいい。等身大でいいのだと、この本は教えてくれた。

  • ぐだぐだしてるかんじが好きだった
    面白い(^-^)

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ぐだぐだしてるかんじが」
      本人の心の底とは別みたいで、何だか少し悲しかった。
      行天は、あのままだったら、きっと早死にするだろうなぁ~
      近々...
      「ぐだぐだしてるかんじが」
      本人の心の底とは別みたいで、何だか少し悲しかった。
      行天は、あのままだったら、きっと早死にするだろうなぁ~
      近々「番外地」読みます。
      2012/12/25
  • 綺麗に上手く生きてくのは難しいけれど
    多少歪んでいても良いことってある

    生きるの贅沢じゃなくてもいいや
    と思える本。

  • 人と深く係わることを拒み、一人で便利屋を営む多田の前に突然現れた高校の同級生、行天春彦(ギョウテンハルヒコ)。
    破天荒でどこか危なっかしい行天と、世間にそっと背を向けて生きる孤独を背負う多田。

    男二人の奇妙な共同生活が始まった。
    正確には、多田の事務所にいつのまに行天が住んでいた…。

    便利屋=“何でも屋”
    便利屋の枠をこえ、まほろ町で起こる事件までも解決してしまう二人。
    しかし、これは多田の便利屋としての範疇を超え、たんに行天の刹那的な性格に巻き込まれて...。

    行天は何処からきたのか…。
    多田は何を抱えて生きているのか…。

    ふたりは何処へ行くのか…。

    「どうして楽になっちゃいけないんだ。」

    痛快だけど、ちょっぴり切ないヒューマン物語。

  •  東京都南西部、まほろ市で便利屋を開業する多田啓介は、仕事中に思いがけず高校の時のクラスメイト行天春彦と再会する。変わり者の行天とは高校時代一切口など聞いたことがなかったが、その行天が多田の元に転がり込んで、居候となる。便利屋の多田の元にはやっかいな事件が次々と転がり込んできて……。

     ハードボイルド、といえばちょっと違うような気もするし、過去の因縁を乗り越える友情物語と単純に括ってしまうのもなんだかなあ、という感じです。少し、物語に重さを感じます。「仏果を得ず」「風が強く吹いている」「月魚」「神去なあなあ日常」を読んできた自分にとって、三浦さんがこんな小説を書くんだ~とちょっと意外でした。ただ読み応えはあります。

     うがった見方かもしれませんが、三浦さんはやっぱり男の友情ものが好き、そんな気がしてなりません。

  • あかん、ツボにはまった☆

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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