- Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163249209
感想・レビュー・書評
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こうした小説を描ける作者が羨ましいな、と、素直に思いました。
内容は重いような、それを払拭するためかコミカルな場面もあり、
非常にテンポ良く、一定のスピード感をもって進んでゆくところに
共感を覚えました。
ヒロインがとてもパワフル、そして元恋人のエドもエネルギッシュでどの登場人物にも力が溢れている感じ。
世界的視野に立つって、どうゆうことなのかな、と、ちょっと考えます。
なかなか答えはでなそうですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
森絵都さんの作品では、勢い余って書いているような「つきのふね」や「カラフル」なんかのほうが好きだけど、この作品は森さんの上手さが余すところなく出ていて、まさに直木賞該当作だなぁ、と思う。
表題作の「風に舞いあがるビニールシート」。
暴力になす術もなく蹂躙される難民の象徴として何度も登場するビニールシートに、ラストでUNHCRのスタッフたちが、お花見の席で、どっかりと腰を据えて、シートに舞い上がる隙など一切与えない風情で宴会してるのが
とてもいい!
でも、この短編集でいちばん好きなのは「ジェネレーションX」。
石津の電話相手との会話から漏れ聞こえるだけのフジリュウやイワサキが、まるでそこにいるかのように生き生きと動き出してくる感じで、最後には野田ともども、木更津まで一緒に行ってやろうじゃないか!という気分になってしまう。
あまりにひとりひとりのキャラクター造形が鮮明なので、思わず頭の中で、ドラマ用に俳優さんをキャスティングしながら読んでしまった。。。 -
どの話も好きだったけど、「犬の散歩」「守護神」「ジェネレーションX」が特に好きだった。
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あったかくて、強い。
その通りだ。 -
キャラクター造型がものすごくうまい。
何かにこだわりがある、これだけは譲れないという
信念がある登場人物に、壁を乗り越えさせる物語。
バラエティ豊かな舞台設定。
「DIVE!」でマイナーなスポーツを描いてから、
どんなジャンルをも小説にしてみせるという自信が
みなぎっている。
表題作の冒頭の情景描写の巧みさに心を掴まれた。
エドの生き方がまぶしい -
人は悲しみから立ちあがろうとする時何が必要なのだろう?今も紛争に逃げ惑う難民がいるアフガンで
最愛の人、エドを亡くした順子。
彼女がどう生気を取り戻していくのかを模索しながら読み進めた。
「泣くよりもはるかにやるべきことがある」というエドの言葉が胸を打つ。
国連難民高等弁務官として紛争地域の最前線で支援を続ける者ならではの魂の言葉‥
「悲しみなんてそう簡単に受け入れるべきじゃない」とも。本当に‥私もそう思う。
茫然自失になってから「光」を見出すまでの過程を丁寧に綴っている。
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同時収録の「鐘の音」は三島由紀夫の「金閣寺」を思わせる、秀作。 -
”自分的”森絵都フェアー第5弾。直木賞受賞作。短編集。
働く女性に向けた、仕事と恋愛、趣味を題材に読みやすい文章で描かれてる。
巻末の表題作と、ジェネレーションXがとても印象に残った。 -
表題『風に舞い上がるビニールシート』もあんまりピンと来なかった、、、笑