植物診断室

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 172
感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163256306

感想・レビュー・書評

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  • 主人公の寛樹は中堅の商事会社につとめる四十代独身、親族や職場からの圧力もあり独身であることに引け目を感じている。彼は催眠療法のような「植物診断室」のセラピーに通い、本当の自分を取り戻そうとしている。そんな寛樹は離婚したばかりの幹子から子供の遊び相手になって欲しいという依頼を受け、母子との関わりを通して寛樹は・・・というお話です。

    男性の生涯未婚率は上昇の一途をたどっています。そんな中、わたしたちは独身という生き方をどう捉えるのか、この作品を通して問いかけられているように感じました。
    都議会議員が「結婚したらどうか」というヤジを飛ばした問題が少し前に話題になりましたが、世間には未だ「独身」という生き方について無自覚な偏見があります。
    本作は2007年に芥川賞候補となりました。7年を経た現在でもこの作品の声は生きていて訴えつづけているのだ思います。

  • 一人で暮らしていくことに疑問も不安もない男性が
    離婚して働きながら子育てをしている知り合いの女性の
    息子の相手をするようになって芽生えた気持ち。

    植物の診断室で治療みたいなのを受けるのは
    正直よくわからなかったんです。

    でもなんだか大変だ。
    男の子の子育ては本当にこじらせたら大人になってから大変だよね。。。。。
    お父さん、お母さん、に縛られない関係。

  • 1時間25分

  • テーマの着眼点は面白いが、踏み込みが中途半端。肝心の植物診断師の書き込みが不十分なためぼやけた存在に。結局伝わってくるものが希薄で後日振り返った時に何書いてあった本だっけ?となる類。

  • なんか色々考えさせられた。自分の孤独感が強くなった。

  • いくら役割があっても、
    事前に埋没しようとしても、
    自分は自分以外の何者にもなれない。
    家族になる、親になるとは一体どういうことなのか。
    父性もも母性も、親も子も
    思ったよりも簡単に反転するのかもしれない。
    親として強迫観念と思い込み、自己防衛がベースとなっている幹子。
    そんな幹子と、その子供である優太、夏海の中に自分の居場所や役割を感じて、自然に戻る一種の逃避から解放されたはずが、否定されたことでより深く孤独を感じたように思う。
    過去の密接なつながりは美化されて深く突き刺さり、その過去も目の前の現実も含めて、自然には埋没できない自分であり続けるしかない。

  • 私には合わなかった。
    よくわかんなかった。

  • シンプルに光と水と土があれば育っていける草花のように人間は強くはない。
    ただ人それぞれはっきりした形は決まっていなくても、人として生きるために必要なものがあって、それを自分の力で見つけていくことが成長なのかな。
    人生の散歩…いろんな発見をしていく小さな旅。
    なんとなく哲学的なお話に思えました。

  • 男性がうだうだしている話だった。

  • 俺俺が面白かったので、手を出してみました。純文学って苦手意識強いんだけど、この人の作品なら読めるんだよなー。筆致というか筆運びというか、行間の情報量が非常に心地よい。植物の描写は梨木香歩さんのが数段上。温もりという一点に絞ればだけど。独身男の孤独を癒すシングルマザーの存在。それよりも大きな存在がその子供2人である。男の子の強い独占欲や嫉妬心、自立心が二人の大人を動かしていく。読みながら、植物や歩くこと、ジャングリングに意味を見出そうとしている自分に気が付いたが、物語は既に後半。しっかりと読めなかった感が否めないので、再読しようかなーとか思ったけど、積読本が多かったため、とりあえず流す。もう一度しっかりと読みたいなー。

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著者プロフィール

1965年、 アメリカ・ロサンゼルス市生まれ。88年、 早稲田大学卒業。2年半の新聞社勤務後、 メキシコに留学。97年 「最後の吐息」 で文藝賞を受賞しデビュー。2000年 「目覚めよと人魚は歌う」 で三島由紀夫賞、 03年 『ファンタジスタ』 で野間文芸新人賞、11年 『俺俺』 で大江健三郎賞、15年 『夜は終わらない』 で読売文学賞を受賞。『呪文』 『未来の記憶は蘭のなかで作られる』 など著書多数。

「2018年 『ナラ・レポート』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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