- Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163257204
感想・レビュー・書評
-
井の頭公園から川を辿って、目指すは海。
大人になってもこういう経験したいよね。
しかしこの小学生の作文のような文体は読みにくい…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「僕」と「仲間たち」の、神田川をたどる夏の旅。
「サマーバケーションEP」というCDみたいなタイトルからも分かるように、これは音の小説だと思う。
鍵となるのは語り手が顔を認識できないという「仕掛け」。登場人物は顔ではなく、セリフまわしや匂いで描き分けられるのだが、視覚ではない情報が増えると、まるでラジオドラマを聞いているような不思議な感覚が生まれるのだ。すごいぞ、古川日出男。
そして、旅が終わったとき、そこにはしっかり余韻が(夏の余韻が!)残っている。 -
僕は海を目指す……
井の頭公園で出会った相手の顔を見分けることのできない少年が、たくさんの大人と子どもと出会ったり別れたりしながら、川沿いを下っていく。
少年の視線で、淡々と描かれる物語はそれぞれの人との距離感が近すぎず、それでいて不安定で何か届かないもどかしさが残ります。
個人的にはそれぞれの登場人物の物語にもう少し深く接したいと感じました。 -
図書館ってすばらしい第4弾
古川日出男ってほんとにトウキョウが好きなんだな
この人の文章表現はだんだんと心地よくなってくるから不思議
エセトウキョウ都民でも知ってる地名がでてくると嬉しい
絶対マネしたくなる(冬は寒いな)ストーリィ
ほんとにもうラストがずるいこの人は
読み終わるのがモッタイナイ! -
井の頭公園で出会った老若男女が歩いて海を目指す。
古川日出男デビュー。なんだろう、口語?だけど舞城王太郎ほど慣れるには時間がかからない。音読したりするんだよね?なんか、もともとそうすることが前提であるような感じでした。
気になるので、他のも読んでみます。 -
氏のコッチ系の作品の中では抜群に好きな話。
夏の盛りの今の時期に読んだ、ということも多分に影響しているのだろうが、ちょっと変わった障害を持つ主人公の日常に何気なく訪れた非日常が、まさに夏休みの冒険絵巻としてつながっていく。
童心に帰るひと時。
東京の街を舞台にした青春グラフィティもいいけれど、でも「アラビアの夜の種族」や「ベルカ、吠えないのか?」みたいな物語をまた書いてくれないかな…。 -
古川さんの言葉のリズムが好き。
旅に出たくなった。
ずっとずっとずっときっと。 -
顔で人を識別出来ない主人公を中心に、井の頭公園から神田川沿いに東京湾まで、不思議な出会いと別れを繰り返しながら歩き続ける小さな旅。
夏休みの冒険は永遠の一瞬。静かにそして確実に熱くなっていく熱。
世界は素敵だと思える一冊。 -
夏にこそ読みたくなる作品。他人の顔の判別のできない男の子の目から見る東京という視点が新鮮で、
人との出会いと分かれも旅ならではのすがすがしいけど寂しさもあるなんとも言えない感じが伝わってきて本当におもしろかった。
いつかこんな風に歩いて旅したいな。 -
古川作品を今までいくつか読んできたけど、その中でも特に「話し言葉が生きてる」作品だなと思った。
わたしもこんなふうに、時間が永遠に続くような経験をしたことがあったかな。
それにしてもこの人は、東京についていろんなことを知ってるなあと作品を読むたびに思う。調べたらきっと東京にはいろんな秘密があるんだろうなぁ。
夏は嫌いなのに、早く夏にならないかなあなんて思ってしまうような本でした。