- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163257907
感想・レビュー・書評
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父の本棚から拝借。
読みやすい短編7編。
時代背景が色々な、人情もの。
しんみりしすぎて、こんな雪景色の日に読むと暗い気持ちになってしまう。
決して暗い話ではないのだけれども。
かといって、夏に読むのはなんだか変。
エッセイ上の浅田次郎と、こんなしんみりする小説を書く浅田次郎が全く結びつかない。小説家ってすごいなぁ。 -
昔、歌舞伎町に「殴られ屋」がいた。下北沢には感情を籠め漫画を代読する「代読屋」が出没する。浅田次郎は「肉屋」でも「魚屋」でも「越後屋」でも「鉄道屋」でもなく、「泣かせ屋」だ。
「月島慕情」は表題作を含む7編からなる「涙の素」の短編集だ。近編の「月下の恋人」が今一つだったが、今回はどの話にも浪花節ならぬ浅田節の本領を発揮している。
「シューシャインボーイ」は先日、西田敏行、柳葉敏郎、大滝秀二で映像化された。
本編で考えさせられたのは「雪鰻」だ。福井晴敏の「ローレライ」同様、ソロモン飢餓戦は地獄絵のメタファーとしてしばしば引用されるが、著者解説で「新撰組を描くより難しい」と述懐するように、多くが作者のフィクションが過ぎている。
僕等の世代は新宿に出れば傷痍軍人がアコーデオンを奏でていたし、担任の先生は沖縄戦の生き残りで、大学の学長もソロモン戦従軍者だった。大学生の頃はそんな先輩世代とジャングルを駆け巡った。そこで聞いた様々な良い話し、酷い話し。僕に筆力があろうとも、果たして書く勇気があるか疑わしい。
「雪鰻」は、欺瞞に満ちた設定だと抗う気持ちで読み進めていても、ついには落涙させられる力があった。登場人物の活写、心根、覚悟に泣いてしまうのかもしれない。
著者は、自衛隊は「国民がその存在すら忘れた軍隊は最も誇高い軍隊」という。
作中の老師団長が語る。「人間にとって、一番大切なものは命ではない。己の命を見限った者だけが命より尊いもののありかを知る。だからこそ、人殺しを生業とする軍人は、その存在を許されるのだ」と。
(東京都在住 40代 男性) -
全ての話が良かったわけじゃないので評価低め。淡々と話が進んで起伏がないので疲れた時や何もしたくない時に読む本かも。初作家なので次に読む本がどんな内容か楽しみ
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本当に良い小説でした
流石、浅田次郎と言った感じです
特に、めぐりあいと
冬の星座が
良かったです -
この人の人情劇は本当にすごい!
どうしてここまで人の心を知り尽くしているの?と言わずにはいられない
相当の人生経験を積まれているかはたまた努力の賜物なのか
作家陣の中でも苦労人の類とみている方だからこそ書けるお話なのかなと感じている
シューシャインボーイと冬の星座が好き -
泣かせられる短編集。
基本、短編集は、あまり読まない。
だが、最後の『シューシャインボーイ』だけでも読む価値はある。
全編、浅田節が詰まった一冊。 -
人恋しくなると読んでる作者さん。なぜか今回はいつもみたいにサラッと読めなかったよ。切なくなった....
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七つの短編集。さすがの浅田節で一気にひきこまれ読みきりました。